Ferrari F50 '95の公式解説
F50は、フェラーリの創立50周年を記念したスペシャルモデルだ。開発コンセプトは「公道を走るF1」。ピニンファリーナがデザインしたボディはそれを反映したカーボン製。またF1マシンがオープンコックピットであることにならい、フェラーリのスペシャルモデルでは初のハードトップ付きオープンカーとなった。
中でもF50が最もF1マシンを彷彿とさせる点は、その基本構造である。車体のカーボン製モノコックタブに対してフロントサスペンションを直接マウントしただけではなく、モノコックタブのリア側にはエンジンを直接ボルトで連結し、そのエンジンにはギアボックスを、そしてギアボックスにはリアサスペンションをマウントするパワートレインフレーム方式を、ロードカーとして初めて採用した。これは当時のF1マシンの構造そのものである。
また搭載したV12エンジンもF1直系のエンジンだ。1990年のF1マシン、フェラーリ641用パワーユニットをベースとし、排気量を3.5Lから4.7Lへ拡大して扱いやすさを確保し、シリンダー間の厚みを大きく取って耐久性を向上させるなど、公道走行を前提に徹底的に手を加えた。F50のパフォーマンスは最高速度325km/h、0-100km/h加速3.87秒で、1987年のデビュー以来最強であり続けたF40を超えるものだった。