Jaguar E-type Coupe '61の公式解説
ジャガーの起源は1922年、ウィリアム・ライオンズのもとに協力者が集まり、イギリスでは「コンビネーション」と呼ばれるモーターサイクル用のサイドカーの製造を始めたことに端を発する。そのジャガーが1961年に発表したまったく新しい2シータースポーツカーがEタイプである。
Eタイプは、エンジンこそ1949年のXKシリーズから使われてきた古めかしいものだったが、フレームやサスペンション、ボディスタイリングなどには新しい時代を予感させる先進的なアイディアが盛り込まれていた。
最初のEタイプは、当時すでに第一線を退いていたライオンズが直接関わった最後のモデルでもあった。長く、幅広く、低いボディプロポーションは、レーシング・スポーツカーであるCタイプやDタイプの流れを汲むもので、その後の世界中のスポーツカーのスタイリングに大きな影響を与えることとなる。
ボディはドロップヘッドの他に横開きのテールゲートを持つクーペもあった。エンジンは3,781ccの直列6気筒DOHCに3基のSUキャブレターを装備し、269PS/5,500rpmを発揮。車重は1,219 kgと軽かったため、その最高速度は210km/hにもなり、0-100km/h速も7.2秒という俊足を誇った。
ブレーキはレーシングフィールドで鍛え上げられた4輪サーボ付きディスク。ディスクブレーキを採用した市販車としてはパイオニア的な1台である。
Eタイプはこれだけの性能を持ちながら、当時の価格で約265万円と極めて安価だった。EタイプのシリーズⅠは64年までに7820台が生産されたが、その90%以上は大西洋を渡り、アメリカに上陸したのである。