TOYOTA MR2(SW20) GT-S '97の公式解説
1989年に登場した2代目のMR2、通称SW20型は、日本初の量産ミッドシップAW11の後継モデルだ。トヨタは実情に反してAW11をスポーツカーとは謳わなかったが、この2代目MR2では走行性能を高めたスポーツモデルであることを宣言した。SW20はボディサイズを5ナンバー枠一杯まで拡大し、初代とは一転した滑らかなスタイリングによって、ミッドシップらしさを表現していた。
ドライバーの背後に搭載されるパワーユニットも、1.6Lの4A-G系から2Lの3S-G系へと改められ、パワーはNAで165.1PS、ターボで225.1PSと圧倒的に進化した。しかし当初はこのパワーがあだとなり、ハンドリングがAW11以上にシビアなものとなった。その結果、91年12月にシャシーが見直され、SW20はいわゆるⅠ型へと進化を果たした。94年にはⅢ型がデビュー、ターボが245.1PS、31.0kgfmまで性能を高めた。NAも同様に180.1PS、19.5kgfmへ強化されている。シャシーでは足まわりのジオメトリーが見直され、スプリング、ダンパー、ブレーキにも手が入った。
さらに96年6月にはⅣ型へと進化。ここではG系グレードのMT車にヘリカルLSDが採用された他、全車にスポーツABSを標準装着したのがトピックである。そして97年12月、さらに一部改良が加えられてⅤ型が誕生する。このⅤ型では、NAエンジンにVVT-i (連続可変バルブタイミング機構)を採用し、200.1PS、21.0kgfmへと性能アップを果たしたのが最大のニュースだ。
こうした進化の過程でシャシーは大幅に熟成が進み、当初の扱いにくさは影を潜めた。特に最終型であるⅤ型のNAモデルは、パワーとシャシーのバランスに優れた、SW20のベストモデルといえる1台である。