
フェラーリ 512 BB(ベルリネッタ・ボクサー)とは、1976年のパリサロンで発表されたフェラーリ史上初のミッドシップ12気筒フラッグシップ「365 GT4/BB」の進化版です。排気量を4.4Lから4.9L・360PSへ拡大し、「BB」の名にはクーペボディを表す「ベルリネッタ」と、水平対向(各バンクのピストンが向き合う)レイアウトの通称「ボクサー」の2つの意味が込められています。ランボルギーニ・カウンタックと並び1970〜80年代スーパーカーブームの象徴となった一台で、『サーキットの狼』では「悪役」として、そして大量の子供たちを夢中にさせた「スーパーカー消しゴム」の定番車種としても記憶に刻まれています。
この記事では、512 BBの開発の歴史・スペック・中古相場から、GT7での乗り方、そして『サーキットの狼』やカウンタックとの最高速争いといったカルチャーまで、まるごと解説します。
フェラーリ初のミッドシップ12気筒|512 BBの誕生
フェラーリの12気筒フラッグシップは、長年「フロントエンジン」が定石でした。365デイトナに代表される、ボンネットの奥に大排気量V12を積む王道グランツーリスモです。しかし1971年のトリノショーで、フェラーリはこの伝統に終止符を打つコンセプトを発表します。それが365 GT4/BBで、F1由来の技術を応用した水平対向(ボクサー)12気筒エンジンを、ドライバーの背後に搭載するフェラーリ初のミッドシップ12気筒ロードカーでした。
公道向けの生産仕様は2年の熟成期間を経て、1973年のパリサロンでデビュー。同年からデリバリーが始まりました。車名の「BB」には2つの意味が込められています。1つはクーペボディを示す「ベルリネッタ」。もう1つは、新開発エンジンが180度のバンク角を持ち、各バンクのピストンが水平に向き合う位置関係を持つことから付けられた「ボクサー」です。ボディデザインを手がけたのはピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティ。24年間ピニンファリーナに在籍し、後にピニンファリーナ・スタディ&リチェルケ(研究部門)のトップも務めた、フェラーリ史を語る上で欠かせないデザイナーです。
365 GT4/BBは1973〜1976年の間に387台が生産されました。そして3年後の1976年、パリサロンで早くも進化バージョンとなる512 BBが登場します。エンジン排気量は約600cc拡大され、4.4Lから4,942cc(4.9L)へ。車名の「512」は「5リッター・12気筒」を意味しており、それまでの「1気筒あたりの排気量」という命名法(365は1気筒あたり365cc)から、排気量とシリンダー数を直接示す表記へと変更されました。最高出力は360PS/6,800rpmに達し、ドライサンプ潤滑システムの採用、フロントチンスポイラーの追加、リアのNACAダクト新設、リアタイヤの拡幅(225→70 VR 15)など、走行安定性を高める改良が随所に加えられています。
512 BBは1976年から1981年まで生産され、総生産台数は929台。1981年には燃料供給をキャブレターからボッシュKジェトロニック式インジェクションに変更した512 BBi(1,007台生産)へとバトンタッチし、シリーズ全体では合計約1,936台が製造されました。BBiでは排出ガス規制への対応がしやすくなった一方、最高出力は340PS/6,000rpmに低下し、公称最高速度も302km/hから280km/hへと控えめな数値になっています。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 車名の由来 | 「ベルリネッタ」(クーペボディ)+「ボクサー」(水平対向レイアウトの通称) |
| 先代モデル | 365 GT4/BB(1973〜1976年・387台生産・フェラーリ初のミッドシップ12気筒) |
| 発表 | 1976年パリサロン |
| 生産期間 | 1976〜1981年(929台生産) |
| デザイン | ピニンファリーナ(レオナルド・フィオラヴァンティ) |
| エンジン | 180度V型(水平対向)12気筒DOHC・4,942cc |
| 最高出力 | 360PS(DIN)/6,800rpm |
| 駆動方式 | MR(ミッドシップ・後輪駆動) |
| 後継モデル | 512 BBi(1981〜1984年・1,007台生産・インジェクション化) |
出典・参考:Ferrari Berlinetta Boxer - Wikipedia/フェラーリ・512BB - 日本語版Wikipedia/supercars.net「1976-1981 Ferrari 512 BB」(生産台数929台・4,942cc・360bhp)/ROSSOautomobili「Leonardo Fioravanti: Designer Of Dreams」(フィオラヴァンティの経歴)。
ちなみに、当ブログには512 BBの後継モデルにあたる「フェラーリ テスタロッサ (F110J) '91」を扱った記事も別途あります。テスタロッサは512 BBiのさらに後の世代(1984年〜)にあたる兄弟車で、車体デザインも大きく異なります。本記事の主役はあくまで512 BB(1976年・キャブレター仕様)であり、テスタロッサとは別の車として区別してお楽しみください。
512 BB vs カウンタック|"公道最速"の座を巡る戦い
1971年に発表されたランボルギーニ・カウンタックは「最高時速300km/h(186mph)」を掲げていました。フェラーリは365GT4/BB・512 BBともに「最高時速302km/h(188mph)」という公式データを掲げ、これはカウンタックの数値を意識した「一枚上」の主張だったとされています。当時の日本では空前のスーパーカーブームが巻き起こっており、この2台の人気はほぼ二分。「公道での世界最速車」はどちらか、という問いは大きな注目を集めていました。
ただし、この「302km/h」という公称値には興味深い後日談があります。英国の老舗自動車誌Autocarが1978年5月13日に512 BBのロードテストを実施したところ、実測最高速度は163mph(約262km/h)にとどまりました。電子スピードメーターは174mphを示していましたが、テスト班は「150mph以上では著しく楽観的な数値になる」と指摘。エンジンの実回転数(ピーク6,200rpm)から逆算すると、公称値の188mphに到達するには6,900rpmが必要という計算になり、フェラーリの主張との間に開きがあったことを論証しています。一方でAutocarは、加速性能については「2,000rpm以上、あらゆるギアから優秀」と高く評価し、「フェラーリは素晴らしい仕事をした」と結論づけました。
つまり、512 BBとカウンタックの「最高速争い」は、当時のメーカー公称値どうしの張り合いという側面が強く、実測ベースで単純に優劣を断定できるものではありません。それでも、この2台が「公道の頂点」を象徴する存在として、当時の少年たちの憧れを一身に集めていたことは間違いありません。
出典・参考:Autocar「Throwback Thursday - was our Ferrari 512 BB fast enough? 13 May 1978」(実測163mph・電子計器174mph・6,900rpm計算・加速性能への高評価)/専門ソース各種(フェラーリ512BB公称302km/h、ランボルギーニ・カウンタック公称300km/hの意識・日本市場での人気二分)。
※当時のメーカー公称値と実測値には差があることが複数の一次テストで確認されています。本記事では特定の記録を「史上最速」と断定せず、両車の主張・実測の両面を紹介しています。
512 BBは今いくら?希少12気筒の相場を確認
512 BBは、フェラーリの12気筒ミッドシップという歴史的価値に加え、929台という限定生産、そして近年の旧車市場全体の高騰も相まって、相場は近年上昇傾向にあります。海外オークションハウスの2025年の落札実績を見ると、コンディションによる幅は大きいものの、いずれも高水準で取引されています。
- 2025年8月:Broad Arrow Auctions(モントレー)で1979年式が285,000ドル(現在のレートで約4,620万円)で落札
- 2025年3月:Gooding Christie's(アメリア島)で1980年式が238,000ドル(現在のレートで約3,860万円)で落札
- 2025年4月:Bonhams(グッドウッド)で1979年式が172,500ポンド(現在のレートで約3,180万円)で落札
- 2025年10月:RM Sotheby's(チューリッヒ)で1978年式が252,500スイスフラン(現在のレートで約4,650万円)で落札
より長期的な相場レンジを見ると、コンディション別の目安としてFair(要整備)で約190,000ドル、Concours(極上)で約354,000ドルという評価データもあり、状態によって2倍近い開きがあります。日本国内では流通台数自体が少なく、旧車専門店による相談・査定ベースでの取引が中心です。
出典・参考:RM Sotheby's・Bonhams・Broad Arrow Auctions・Gooding Christie's各オークション結果(2025年の落札実績)/classiccar-investment.net(コンディション別評価額レンジ)/旧車王「フェラーリ512BB/512BBLM」買取専門ページ。※為替はいずれも現在のレート(2026年7月時点・1ドル≒162円、1ポンド≒184円、1スイスフラン≒184円)で換算した目安です。
※相場は時期・状態・走行距離・個体のヒストリーで大きく変わります。オークション結果は個体差が非常に大きいため、あくまで参考としてご覧ください。最新の価格・在庫は各中古車ポータル・オークションハウスで必ずご確認ください。
「GT7で惚れて、いつか本物の512 BBに」。その前に、いま乗っている愛車の“本当の価値”を知っておきませんか。旧車相場が高騰している今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
当時の新車価格|米国で約38,000ドル
512 BBの新車価格は、米国市場で約38,000ドル。当時のレートで1ドル≒240円と換算すると、およそ912万円という水準です。当時のRoad & Track誌のテストでは175mphを記録し、「テストした中で最速の車」と評されたという記述も残っています。
1970年代後半は世界的なオイルショックの影響で自動車業界全体が縮小志向にあった時期でしたが、512 BBはその中でも「別格の存在」として、限られた富裕層・コレクターに向けて供給され続けました。
出典・参考:motogallery.com「Ferrari 512 BB: The Definitive History, Specs, and Legacy」(米国市場価格・Road & Trackの175mphテスト記録)。※円換算は1970年代後半当時の目安レート(1ドル≒240円)で算出した参考値です。
※当時の為替レートは時期により変動幅があり、本記事の円換算はあくまで目安です。正確な当時価格を知りたい場合は、当時の資料・為替統計をご確認ください。
グランツーリスモ7の512 BB|スペックと入手方法
グランツーリスモ7には、512 BBが「Ferrari 512 BB '76」という表記で収録されています。実車同様、水平対向(ボクサー)12気筒NAエンジンをミッドシップに積むMR(後輪駆動)レイアウトが再現されています。
- PP値:おおむね527〜528(パワー約354〜355HP・重量約1,400kg)
- 駆動方式:MR(ミッドシップ・後輪駆動)
- エンジン:NA(自然吸気・水平対向12気筒)
- ゲーム内価格:約29万〜31万Cr
- 入手方法:中古車ディーラー
実車の水平対向12気筒らしい低重心・低慣性モーメントが、ゲーム内でもしっかり再現されています。ミッドシップならではの回頭性の良さと、12気筒NAサウンドの伸びやかさが持ち味。フェラーリのフラッグシップ12気筒を、過給なしの「素のパワー」で味わえる一台です。
出典・参考:kudosprime.com(GT7内データベース・PP値527.63、354HP、重量3,086lbs、MR、中古車扱い)/gtdb.io(PP値528.32、354BHP、重量1,400kg、価格313,400Cr)。※両サイトで数値に若干の差がありますが、これはゲームアップデートによる変動と記録時期の違いによるものです。
※クレジット価格・PP値・入手条件はゲームのアップデートで変動します。最新はゲーム内でご確認ください。
ハンコンで乗るともっと気持ちいい|機材ガイド
GT7で512 BBをさらに楽しむなら、ハンドルコントローラー(ハンコン)がおすすめです。自分でハンドルを握る感覚は、コントローラーとは別物。ミッドシップ12気筒NAを操る楽しさが、グッと現実に近づきます。ここでは、GT7を“実車感覚”で楽しむための機材を「まず必須」と「あるとより楽しい」に分けて紹介します。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、“自分でハンドルを握る”運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は“より実車に近づく”ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
📶 オンライン対戦も楽しむなら|回線も“快適”に
GT7の醍醐味のひとつが、世界中のプレイヤーと走れるオンライン対戦です。
でも回線が遅い・不安定だと、ラグで思うように勝負できません。
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実車を維持する vs ゲームで乗る|コスパ比較
① 実車512 BBを所有・維持する費用
512 BBは1976〜1981年デビューの旧車で、しかも929台という希少12気筒車です。
維持費は一般的な旧車よりさらに高めになりがちです(水平対向12気筒の専門整備、13年超の自動車税重課、希少パーツの入手難易度等)。
年間の目安はこのくらいです。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(4.9L級・13年超の重課) | 約100,000円 |
| 任意保険(希少車・高額車両保険込み) | 約20〜40万円 |
| 車検(2年分を1年換算・専門ショップ前提) | 約15〜25万円 |
| 整備・部品(水平対向12気筒・希少パーツ) | 約40〜100万円 |
| 駐車場・保管(防犯・屋内保管想定) | 約10〜50万円 |
| 燃料・消耗品 | 約20〜30万円 |
| 年間合計(目安) | 約105〜245万円 |
さらに、購入費が2,000万〜4,000万円台(前章の中古相場)かかります。
② GT7で“実車感覚”を味わう機材コスト
一方、GT7で512 BBを「実車感覚」で走らせる機材は買い切り(初期費用のみ)。
一度そろえれば、あとは電気代くらいです。
| 機材 | 価格の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6.6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| ハンドルコントローラー(エントリー) | 約2.5〜4万円 |
| レーシングコックピット(任意) | 約2〜5万円 |
| PS VR2(任意・没入感アップ) | 約7.5万円 |
| 一式(目安) | 初期 約10〜25万円+以降ほぼ0 |
③ コスパ比較の結論
- 実車:初期 2,000〜4,000万円台 + 毎年 105〜245万円
- ゲーム:初期 10〜25万円 + 以降ほぼ0
ゲーム機材一式は実車のたった1年分の維持費以下でそろい、しかも事故・盗難・天候の心配なし。ハンコン+VRを使えば、水平対向12気筒の低重心・低慣性モーメントまで、かなり実車に近い感覚で走れます。
「いつか本物の512 BBを」と思っている人も、それまでの間はGT7で憧れの一台に乗り続けられます。
まずはハンコンから始めるのが、一番コスパよく“実車感覚”に近づく方法です。
さらに没入感を求めるならVRも。
実車の512 BBに触れる|博物館・展示
「929台限定なんて、本物を見る機会なんてないのでは」と思うかもしれませんが、フェラーリ自身が「デザイン史を変えた一台」として大切に扱っている車だからこそ、博物館での展示に出会える機会はあります。
🏛 デザイン史の12選に選出|MAUTO(トリノ自動車博物館)
2025年、トリノ自動車博物館(MAUTO)は2,000平方メートルの新しいカーデザイン専門展示スペースを開設し、最初の企画展「フェラーリ・デザイン 2010-2025」を開催しました。その中で「自動車デザイン史の基本段階」を示す12台の重要事例が選出され、1899年フィアット3½HP・1955年シトロエンDS・1974年VWゴルフ・1997年トヨタ・プリウスといった名だたる車と並び、「1976年フェラーリ512 BB」がラインナップされました。エンツォ・フェラーリの思考の大転換。新型エンジン・リアマウント・新しいボディデザイン言語の融合を体現した一台として、権威ある博物館に評価されている証です。
出典・参考:Auto&Design「A New Exhibition Space Dedicated to Car Design at MAUTO」(12台の重要事例リスト・512 BBの選出)。
🏎 マラネロのフェラーリ博物館|512 BB LMの収蔵
フェラーリ本社近くの公式博物館「Museo Ferrari(旧ガレリア・フェラーリ)」でも、512 BB系列の車両は定期的に展示ラインナップに登場します。競技用の512 BB LM(1978年型・1981年型)は、博物館にとって「絶対的なアイコン」の1つとして位置づけられており、フォーミュラ1のトロフィーやル・マンでの勝利、ブランドの技術革新をテーマにしたローテーション展示の中で見ることができます。
出典・参考:Museo Ferrari Maranello公式(512 BB LM 1978年型・1981年型の展示・ローテーション企画)。※展示車両・企画内容は時期により変わります。最新は公式サイトでご確認ください。
🏁 現役で走るヒストリックレース|GPS Classicの復元車
512 BB LM(競技仕様)は博物館だけの存在ではありません。イタリアのレストアラー「GPS Classic」が手がけたシャシー26685号車は、ヨーロッパのヒストリックレースイベントで現在も現役で走行しています。ミッドシップ12気筒レーシングカーらしい「非常に長く幅広いボディ、低くマウントされたヘッドライト、メッシュ状のリアエンド」という機能美は、専門メディアからも「カヴァリーノ・ランパンテ(跳ね馬)のシルエットそのもの」と評されています。
出典・参考:Petrolicious「The Ferrari 512 BB LM Is A Silhouette Of The Cavallino Rampante」(GPS Classic復元車・シャシー26685・デザイン評価)。
512 BBを見て楽しむ|ル・マン・サーキットの狼・映画
🏆 ル・マン24時間|512 BB LMの戦績
顧客からの要望を受け、フェラーリは1978年ル・マン24時間向けに512 BBの改造版を開発。その後、より過激な競技専用モデル「512 BB LM」の開発が承認され、GTXクラス・高速サーキット向けに特化した仕様が作られました。1979年1月から1982年11月にかけて25台が生産され、シャシーナンバーは22681〜44023の範囲に及びます。
ル・マン24時間での年度別成績は以下の通りです。
| 年 | 参戦台数 | 最高成績 |
|---|---|---|
| 1979年 | 3台 | 総合12位・クラス5位(完走はJean Blaton車のみ) |
| 1980年 | 6台 | 総合10位・クラス3位(Pozzi車) |
| 1981年 | 5台 | 総合5位・クラス優勝(Pozzi車) |
| 1982年 | 4台 | 総合6位・クラス3位(Spangler車) |
512 BB LMは第1世代(1979年冬・重量1,110kg・460bhp)→第2世代(1980年・大型ブレーキ装備・500bhp)→第3世代(1982年・エンジン位置を前方下方に変更・最軽量1,058kg)と進化を重ねました。1981年のル・マンでクラス優勝を果たした一台は、512 BB系列にとって競技面での最大のハイライトです。
出典・参考:Supercar Nostalgia「Ferrari 512 BB LM Guide」(世代別スペック・ル・マン年度別戦績・生産台数25台)。
📖 スーパーカーブームの象徴|『サーキットの狼』での役回り
日本で512 BBの知名度を決定づけたのは、1975年から週刊少年ジャンプで連載された池沢さとし氏の漫画『サーキットの狼』です。ランボルギーニ・カウンタックと並ぶ大型スーパーカーの2大巨塔として作中に登場し、その役回りは「悪役」でした。当時「公道最速」を競っていた2台が、揃って"敵役"として少年たちの前に立ちはだかる構図は、まさにスーパーカーブームそのものを体現していたといえます。
出典・参考:NostalgicHero「サーキットの狼世代へ スーパーカーの饗宴」(512BBが劇中で悪役として登場した記述)。※具体的な登場話数・詳細シーンまでは裏取りできていないため、「悪役として登場した」という事実にとどめています。
🖍 スーパーカー消しゴム|駄菓子屋を席巻した定番車種
『サーキットの狼』の大ヒットを受けて全国の少年たちを熱狂させたのが、駄菓子屋やカプセルトイで売られた「スーパーカー消しゴム」です。カウンタック・512BB・イオタなど、当時の人気スーパーカーをかたどった消しゴムが飛ぶように売れ、あまりの過熱ぶりに持ち込みを禁止する学校が現れるほどの社会現象となりました。512BBは、この消しゴム文化を象徴する定番車種の1つとして名を連ねています。
出典・参考:LE VOLANT WEB「【40選】カウンタック、BB、イオタ……。昭和の『スーパーカー消しゴム』一挙公開」/webCG「第101回:スーパーカーの熱狂 子供たちが夢中になった"未来のクルマ"」(持ち込み禁止の社会現象化)。
🎬 映画・海外テレビでの登場
512 BBは海外の映像作品にも多数登場しています。代表的なのは1981年公開のコメディ映画『キャノンボール』(Cannonball Run)。違法な大陸横断レースを描く同作にふさわしい"エキゾチックで、いかにも1970年代イタリア車らしい気まぐれさ"を体現する一台として描かれました。ほかにも、映画『60セカンズ』(2000年)、『Excess Baggage』(1997年)、『Pain & Gain』(2013年)や、英国の人気自動車番組『トップギア』にも登場記録が確認されています。
出典・参考:guessingheadlights.com「Ferraris in Film, Games, and TV That Stole the Show」(キャノンボール登場の描写)/IMCDb(Internet Movie Cars Database)「Ferrari BB 512 in movies and TV series」(60セカンズ・Excess Baggage・Pain & Gain・トップギア等の登場記録)。
※フェラーリ テスタロッサが有名なドラマ『マイアミバイス』への出演は、512BBとは別モデルであるため本記事では紹介していません。混同にご注意ください。
🎁 手元に置いて楽しむ|モデルカー
手元で512 BBを楽しむなら、プラモデルの選択肢があります。定番はフジミ模型「リアルスポーツシリーズ No.33 1/24 フェラーリ512BB」。設計図面から新規に起こされたモールドで、未塗装の組み立てキットとして発売されています。ヴィンテージ品としては、イマイ製の1/24モーターライズキット(スロットカーボディへの転用も可能な仕様)も知られています。
※イマイ製のヴィンテージキットは絶版品のため、入手は中古市場(ヤフオク等)が中心となります。
📖 書籍
512 BBについてもっと深掘りしたいなら、フェラーリのミッドシップ12気筒系譜(365GT4/BB・512BB・512BBi・テスタロッサ)を扱ったムック本や、スーパーカーブーム世代向けのクラシックカー専門誌の特集記事が参考になります。
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フェラーリ512 BBのよくある質問
Q. フェラーリ512 BBとは、どんな車ですか?
A. 1976年のパリサロンで発表された、フェラーリ史上初のミッドシップ12気筒フラッグシップ「365 GT4/BB」の進化版です。排気量を4.9Lに拡大し360PSを発揮。929台が生産された希少車で、ランボルギーニ・カウンタックと並びスーパーカーブームを象徴する一台です。
Q. 512 BBのスペック(馬力・排気量)は?
A. 180度V型(水平対向)12気筒DOHC・4,942ccエンジンで、最高出力360PS(DIN)/6,800rpmを発揮します。デザインはピニンファリーナのレオナルド・フィオラヴァンティが手がけました。
Q. 365GT4/BB・512BB・512BBiの違いは何ですか?
A. 365GT4/BB(4.4L・1973〜1976年・387台)→512BB(4.9L・1976〜1981年・929台・本記事の主役)→512BBi(4.9L・インジェクション化・1981〜1984年・1,007台)という3世代進化です。フェラーリ テスタロッサはさらにその後継モデルにあたります。
Q. 512 BBはカウンタックより速かったのですか?
A. フェラーリは512BBに「最高時速302km/h」、ランボルギーニはカウンタックに「最高時速300km/h」という公式データを掲げていましたが、いずれもメーカー公称値です。1978年のAutocar誌のロードテストでは実測163mphにとどまり、公称値との開きが確認されています。単純な優劣は断定できません。
Q. 512 BBの中古相場はいくらですか?
A. 2025年の海外オークションでは、コンディションに応じて238,000ドル〜285,000ドル(現在のレートで約3,860万〜4,620万円)程度で落札される例が続いています。状態・個体差で大きく変わるため、最新は各中古車ポータル・オークションハウスでご確認ください。
Q. グランツーリスモ7で512 BBに乗れますか?
A. 乗れます。「Ferrari 512 BB '76」として収録されており、中古車ディーラーで購入できます(収録内容・価格はアップデートで変動します)。
512 BBは「フェラーリの大転換」を体現する一台
フェラーリ512 BBは、長年フロントエンジンが定石だったフラッグシップに、初めてミッドシップ12気筒を持ち込んだ「365 GT4/BB」の正統進化版です。4.9L・360PSという出力もさることながら、ランボルギーニ・カウンタックとの"公道最速"争い、『サーキットの狼』での悪役としての登場、そして駄菓子屋を席巻したスーパーカー消しゴム。このどれもが、当時の少年たちの憧れを一身に集めた証です。
実車は2025年のオークションで2,000万円台後半〜4,000万円台という水準まで高騰し、維持にも相応の覚悟が必要ですが、グランツーリスモ7なら「Ferrari 512 BB '76」としてそのまま収録されており、維持費を気にせず"フェラーリ初のミッドシップ12気筒"のステアリングを握れます。展示で出会うならトリノ自動車博物館(MAUTO)の「デザイン史12選」やマラネロのフェラーリ博物館、見て楽しむなら512 BB LMのル・マン戦績や『サーキットの狼』での逸話も味わい深いポイントです。
ゲームで惚れて、いつか本物に。その入り口として、512 BBは"フェラーリの大転換"を体現するにふさわしい一台です。もし「実車を」と思ったら、まずはいま乗っている愛車の価値を調べることから始めてみてください。
フェラーリの系譜もチェック
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