
三菱 ランサーエボリューションVIII MR GSR(CT9A)とは、2004年2月に登場した、量産車として初めてアルミ製のルーフパネルを採用したランサーエボリューションです。屋根という車の一番高い場所から金属を軽いものへ置き換え、ドア内部のサイドインパクトバーまでアルミ化することで、標準モデル比で約10kgの軽量化を実現しました。翌2005年には4G63にMIVEC(可変バルブタイミング機構)を得たエボIXが登場するため、VIII MRはMIVECを持たない4G63型エンジンの到達点という位置づけの1台でもあります。
この記事では、VIII MRが生まれた開発の経緯・4G63エンジンとスーパーAYC/ACDの仕組み・当時の評価から、中古相場、グランツーリスモ7(GT7)での乗り方、そして「IXとどちらを選ぶか」という悩みどころまで、まるごと解説します。
エボIV→Vに並ぶ跳躍|VIII MRという到達点
開発の系譜|「第三世代」2作目という立ち位置
ランサーエボリューションは、2001年に登場したVIIで大きな転機を迎えていました。ベースを、前年にフルモデルチェンジしたランサーセディアへ変更し、ボディが大型化。その分の重さを取り返すため、サスペンション取り付け部やボディフレーム結合部を補強し、専用の補強材とスポット溶接を追加してエボVI比で1.5倍の曲げ剛性を確保しました。ここから始まる型式CT9Aの3台(VII・VIII・IX)は、まとめて「第三世代」と呼ばれます。
2003年1月に登場したVIIIは、この第三世代の2作目にあたります。
プラットフォームこそVIIから引き継ぎましたが、中身は大きく作り替えられました。4G63型エンジンの最大トルクが40kgm台に到達し、後輪の駆動力配分機構は新方式の「スーパーAYC」へ、変速機はシリーズ初の6速MTへ切り替わっています。同じ年、ランエボはこれまでの日本国内・欧州中心の展開から、正式に北米への輸出も始めました。前年にスバル・インプレッサWRXが北米市場で存在感を示していたことも、この決断を後押ししたとされます。
出典・参考:Webモーターマガジン「センターデフを電子制御にチェンジ。新たな次元へと進化したエボリューションⅦ」/同「歴代ランエボ屈指の高性能車となったエボⅧ」(ベース変更・曲げ剛性・トルク・スーパーAYC・6速MT)。
スペックで見るVIII MR GSR
| 項目 | 三菱 ランサーエボリューションVIII MR GSR |
|---|---|
| 型式 | CT9A |
| 発売 | 2004年2月13日 |
| エンジン | 4G63型 1,997cc 直列4気筒DOHC ツインスクロールターボ |
| 最高出力 | 280PS/6,500rpm |
| 最大トルク | 40.8kgm(400N・m) |
| 駆動方式 | 電子制御4WD(ACD+スーパーAYC) |
| トランスミッション | クロスレシオ6速MT |
| ルーフ | アルミ製(量産車として初採用) |
| ホイール | ENKEI製17インチ(3.2kg軽量化) |
| ダンパー | ビルシュタイン製 |
| ブレーキ | brembo製 |
| シート | RECARO製フルバケットシート |
| 当時の新車価格 | 約357万円 |
※スペックは当時のカタログ値です。個体や仕様により異なります。
280PSという最高出力は、当時の国内メーカー自主規制の上限で、ライバル各社もここに並んでいました。
だからこそ、この時代の速さ比べは出力の数字ではなく、トルクの太さと駆動力の配り方、そして軽さで決まっていたわけです。VIIIで最大トルクが40kgm台に届いたことは、単なる数字の伸びではなく、この車が「曲がりながら踏める」性格へ踏み出した合図でもありました。
ブレーキにbrembo、シートにRECAROを備えているのも、VIII MR GSRの見逃せないポイントです。
公道での取り回しやすさを保ちながら、止まる・支えるという走りの根幹をレース用に近い部品でまとめているのが、この時代のランエボ上級グレードらしいところです。
4G63というエンジン|三菱のターボ史を支えた血統
VIII MRが積む4G63型エンジンには、ランエボより前からの歴史があります。ルーツは1979年に発表された「シリウス80」と名付けられたエンジンにさかのぼり、輸出仕様として初めて「4G63」の名を与えられました。1987年からは1,997cc直列4気筒DOHCターボとして生産が始まり、当初はギャランVR-4に搭載され、WRC参戦のためのホモロゲーション(競技公認)モデルとして役目を果たしています。ランサーエボリューションへの搭載は1992年の初代GSRモデルからで、以後I〜IXまで、約15年にわたって進化を続けました。
ターボの仕組みが大きく変わったのはIVの世代です。ツインスクロールターボという、単一のタービンに向けて排気の通り道を長短2本に分けて導く方式が導入され、排気の干渉を抑えるデュアル形状のエキゾーストマニホールドと組み合わされました。あわせて軽量スカートの鍛造ピストンや強化コンロッド、圧縮比とバルブタイミングの見直しも行われ、最大トルクは31.5kgmから36.0kgmへと大きく伸びています。VIIIはこの発展形にあたり、トルクはさらに40kgm台まで引き上げられました。
出典・参考:三菱・4G63 - Wikipedia(開発の起源・ギャランVR-4への搭載・ランエボへの採用時期)/ベストカーWeb「ランエボ躍進の原動力となった4G63の進化を振り返る」(ツインスクロールターボの導入・トルクの推移・トミ・マキネン選手の4連覇)。
6速MTの投入|シリーズ初の変速機
VIIIは、ランサーエボリューションのシリーズで初めて6速MTを採用したモデルです。GSRグレードにはこの6速MTが標準装備され、より競技寄りのRSグレードには17インチタイヤと組み合わせる6速MT仕様、15インチタイヤと組み合わせる従来の5速MT仕様の2種類が用意されました。
ギア比の狙いもはっきりしていました。
1速は発進の加速、2〜5速は追い越し加速とつながりの良さ、そして6速だけを高めのギア比にして最高速を伸ばすという設計です。フェイルセーフとして、リバースギアには引き上げ式のロックリングが備わっていました。
ACDとスーパーAYC|ベベルからプラネタリーへ
ランエボが「速い4WD」であり続けた理由は、エンジンだけではありません。ACD(アクティブセンターデフ)が前後の駆動配分を、AYC(アクティブヨーコントロール)が左右後輪の駆動力を、それぞれ電子制御で振り分けます。ACDはVIIから新規採用された機構で、トランスファとセンターデフの間に設けた多板クラッチを油圧ポンプで締結し、AYCと統合制御することで安定性と旋回性を高めています。
VIIIの世代で新しくなったのが、この後輪側の制御です。
従来のAYCはベベルギア式でしたが、VIIIではプラネタリーギア式に変更され、左右後輪へ移動できるトルクの量が従来比で約2倍に増えました。これが「スーパーAYC」です。左右へ振り分けられる力の幅が広がったことで、アクセルを踏むほど車の向きが変わっていくという感覚が、より強くはっきりしたものになっています。
出典・参考:Webモーターマガジン「歴代ランエボ屈指の高性能車となったエボⅧ」(ACDの採用時期・スーパーAYCのベベル式からプラネタリー式への変更・トルク移動量2倍)。
MRとは何か|屋根とドアから軽くする
MRは「Mitsubishi Racing」の頭文字です。各世代の終盤に、走行性能を煮詰めた上位版として与えられてきた称号で、VIII MRではビルシュタイン製ダンパー、アルミ製ルーフパネル、ドア内部のサイドインパクトバーのアルミ化が新たに与えられました。屋根とドアという、車の高い位置・側面にある鋼板をアルミへ置き換えることで、標準のVIIIと比べて車重を約10kg軽量化しています。
足元も同時に見直されました。ENKEI製の17インチホイールは3.2kgの軽量化。こちらはバネ下と呼ばれる、路面の凹凸に直接さらされる部分の重さです。
屋根・ドア・足元。上と側面と下、複数の場所から同時に軽くするというのが、VIII MRの考え方でした。
発売当時、プロジェクトマネージャーの岩田秀之氏は、VIIIとMRの違いについてこう語っています。
「エボVIIIまでは、各コンポーネンツが尖がっていた。MRはそれをよりハーモナイズさせ、チューニングの幅が大きく広がりました」
出典:レスポンス「三菱『ランサーエボリューションMR』乗った」
同記事では、VIIIとMRを乗り比べた記者が、ブレーキングやコーナリングなどコースのほぼすべての状況で違いを感じたと記しています。個々の性能を単に引き上げるのではなく、足まわりと駆動制御を噛み合わせて「まとまり」を作る。それがMRという称号の中身でした。
RSとGSR、ふたつの性格
VIII MRには、本記事の主役であるGSRのほかに、より競技寄りのRSというグレードも存在しました。GSRはエアコンやパワーウィンドウなどを備えた街乗り仕様で、RSはそうした快適装備を省き、走ることだけを追求した仕様です。ある試乗記では、RS(6MT)の車両価格が327.5万円、ビルシュタイン製ショックアブソーバーやBBSホイール、ディスチャージヘッドランプ、RECAROシートなどを加えたテスト車が380.5万円、車重は1,360kgと記録されています。
本記事のGSR(当時の新車価格約357万円)は、RSより快適装備が加わるぶん価格も車重もやや上がりますが、その代わりに日常の足としても使いやすい1台に仕上がっています。速さだけを求めるならRS、速さと日常使いを両立させるならGSR。同じVIII MRでも、グレードによって狙う客層が分かれていました。
出典・参考:webCG「三菱ランサーエボリューションVIII MR RS(6MT)【試乗記】」(RSとGSRの違い・RS車両価格・テスト車価格・車重)。
北米に渡ったVIII|同じ名前でも中身は別物
先述のとおり、VIIIはランエボとして初めて正式に北米へ輸出されたモデルです。前年にスバルがインプレッサWRXで北米市場での成功を収めていたことも、三菱の背中を押したとされます。ただし、北米仕様のVIIIは、見た目こそ日本仕様とよく似ていながら、中身はかなり違う車でした。
北米仕様の最高出力は271hp(275ps)/トルクは273lb-ft、変速機は5速MT。ここまでは「少し控えめ」で済む差ですが、駆動系統の差はもっと大きなものでした。日本仕様のVIIIが本記事で解説したACD+スーパーAYCを備えていたのに対し、北米仕様はビスカス式センターデフ+オープン式のフロントデフという、電子制御を持たない仕様だったのです。北米仕様のエボシリーズにアクティブヨーコントロールが搭載されるのは、後のXの世代からでした。つまり、本記事が解説してきた「踏むほど曲がる」という感覚そのものが、当時の北米ユーザーには体験できない仕様だったことになります。
出典・参考:Supercars.net「2003 Mitsubishi Lancer Evolution VIII」/Sun Rise Cars「Mitsubishi Lancer EVO VIII」(北米仕様の出力・トルク・5速MT・ビスカス式センターデフ+オープン式フロントデフ・北米仕様へのアクティブヨーコントロール搭載時期)。
VIIIとWRC|同じ「エボ」でも別の車だった
ランサーエボリューションといえばWRC(世界ラリー選手権)のイメージが強い車ですが、VIIIが発売された2003年当時、三菱ワークスチームがWRCで走らせていたのは、市販のエボVIIIそのものではありませんでした。
三菱のWRC活動は、2001年に導入した「ランサーエボリューションWRC」が思うような結果を残せず、2002年まで8年間勝利から遠ざかる苦しい時期が続きました。2003年は組織の立て直しにあてる活動縮小の年となり、2004年には6,000カ所以上を変更したという新型「ランサーWRC04」を投入しています。つまりVIIIは、市販車としては大きく進化した一方で、WRCの表舞台では三菱が苦戦していた時期の1台だったことになります。市販車の型式CT9Aと、ワークスが走らせたWRCマシンは、同じ「ランサー」を名乗りながら、実際には別の車として開発が進んでいました。
出典・参考:三菱・ランサーWRC - Wikipedia(ランサーエボリューションWRCの導入時期・成績不振・2003年の活動縮小・ランサーWRC04の投入)。
同時代のライバルたち|インプレッサとの好敵手関係
VIIIの時代、ランエボの前に立ちはだかっていたのがスバル・インプレッサWRX STIです。2000年8月にGC型からGD型へフルモデルチェンジしたインプレッサは、ボディを5ナンバーサイズから3ナンバークラスへ拡大し、17インチホイール、brembo製4ポットキャリパーを採用。エンジンは280ps・38kgmまで引き上げられ、変速機も6速MTを備えるという、VIIIとよく似た方向へ進化していました。
280psという最高出力の上限、17インチホイール、brembo、6速MT。
両社が同じ数字・同じ装備の周辺で競い合っていたのは、偶然ではありません。WRCという同じ舞台で戦ってきた2台が、市販車の世界でも真正面からぶつかり合っていた時代でした。この好敵手関係は、後継のエボIX・Xとインプレッサ後期型まで続いていきます。
出典・参考:車選びドットコムマガジン「スバルが世界と闘った名車 GDB インプレッサ WRX STI」(GD型インプレッサの仕様・280ps/38kgm・6速MT・17インチ・brembo)。
🚗 好敵手スバル インプレッサ WRX STI(GDB・涙目)とは同じ2.0Lターボ4WD。VIIIと同じ年代を戦った宿敵の詳細スペック。
VIII MRとIX、どちらを選ぶか
VIII MRの1年後、2005年に登場したのがエボIXです。この2台は1年しか違いませんが、性格と価格には差があります。
| VIII MR(2004年2月) | IX / IX MR(2005年〜) | |
|---|---|---|
| エンジン | 4G63 | 4G63(MIVEC) |
| 特徴 | 量産車初のアルミルーフ | 4G63エボの最終形 |
| 後輪制御 | スーパーAYC | スーパーAYC(IX MRは制御量を約10%増大) |
| 中古の支払総額 | 233.9万〜469万円 | 287万〜960.2万円 |
| 掲載台数 | 47台 | 39台 |
※中古価格は出典の調査時点。時期・走行距離・状態で変動します。
大きな違いはMIVECの有無です。エボIXで初めて4G63に可変バルブタイミング機構「MIVEC」が組み合わされ、低回転の扱いやすさと高回転の伸びが両立しました。IX MRではさらに、スーパーAYCの左右後輪への制御量が約10%増え、ACDの仕様も見直されて、より自然な旋回運動ができるようになっています。裏を返せば、VIII MRは「MIVECを持たない4G63」の到達点ということになります。
IXより手が届く|VIIIの現在地
ランエボ第3世代(VII・VIII・IX)の中古相場は、近年になって大きく動きました。
年式こそ20年以上前ですが、掲載台数が減り続けているぶん、状態の良い個体は年々見つけにくくなっているのが実情です。
| モデル | 掲載台数 | 支払総額 |
|---|---|---|
| ランサーエボリューションVII | 47台 | 98万〜350万円 |
| ランサーエボリューションVIII | 47台 | 233.9万〜469万円 |
| ランサーエボリューションIX | 39台 | 287万〜960.2万円 |
※出典の調査時点のデータです。中古相場は時期・走行距離・状態・修復歴で大きく変動します。最新は各中古車サイトでご確認ください。
一番人気は究極の4G63を積む「エボ9 MR」ですが、価格は完全にバブル状態
出典:カーセンサー「ランエボ第3世代の現在地」
同記事によれば、VIIIのボリュームゾーンは総額300万〜400万円程度で、グレードはGSRとMRがほとんどを占め、RSは掲載47台中1台のみと希少です。この価格帯を下回ると走行距離10万km超で修復歴ありの車が中心になり、上回ると程度の良いフルノーマル車やチューニング済みの車が視野に入ってくるとされています。走行距離が10万kmを超えていても、大切に扱われてきた個体では新車価格を超える350万円超という例も珍しくないそうです。
注目したいのは上限の差です。
IXが960.2万円まで伸びているのに対し、VIIIは469万円。台数もVIIIのほうが多く残っています。「MIVEC搭載の最終型」という肩書きが、IXの価格を押し上げているという見方ができます。
買うときに見ておきたいポイント
もし実車のVIII MRを検討するなら、価格だけでなく整備の履歴もあわせて確認したいところです。現役のランエボオーナーが運営する情報サイトによれば、タイミングベルトは4G63の生命線とされ、走行距離だけでなく経過年数でも劣化が進みます。交換時期を店側が答えられるか、テンショナーやウォーターポンプなど周辺部品を同時交換しているかは、購入前に確認しておきたいポイントです。あわせて、ラジエター上部やコアの継ぎ目からの水漏れがないかもチェック対象とされています。
こうした消耗品はパーツ交換で直せるものが多く、値引きや無償交換の交渉材料になる場合もあります。「20年前の4WDターボ」という前提を踏まえたうえで、車両価格の安さだけで判断しないことが大切です。
大気開放式のブローオフバルブやキノコ型のエアクリーナーへ交換されている個体は、前オーナーが機構への理解が浅いまま手を加えていた可能性もあるとされ、見送る判断材料になるという指摘もあります。純正に近い状態が保たれているか、整備記録簿とあわせて確認しておくと安心です。
出典・参考:「ランエボ 中古で購入するときに注意すべき事」(タイミングベルトの交換目安・ラジエター漏れの点検・交渉のポイント)。※個人の運営サイトの情報です。最終的な判断は購入前の実車確認・専門店でのチェックをおすすめします。
それでも20年前の4WDターボですから、車両価格に加えて維持の費用がかかります。この点はあとの「コスパ比較」の章で、実際の金額を並べて確かめます。
グランツーリスモ7のVIII MR GSR
グランツーリスモ7にはランサーエボリューションVIII MR GSRが収録されています。
実車では手が届きにくくなった1台も、GT7の中では誰でも走らせることができます。
GT7でのVIII MRの性格
GT7のVIII MRはとにかく安定していて、扱いやすい1台です。
4WDらしく発進で駆動が逃げず、コーナーでも4輪が仕事をするため、姿勢が急に破綻しません。
FRの名車で滑って苦労した方が乗り換えると、走りやすさに驚くはずです。実車で解説したスーパーAYCの「踏むほど曲がる」性格は、ゲームの中でも感じ取れます。アクセルを早めに開けたときの向き変わりの良さが、この車の一番の武器です。
走らせ方のコツ
- ブレーキは早めに終わらせる。4WDは向きが変わってからの加速が武器なので、コーナーの中まで減速を引きずると持ち味が消えます
- 立ち上がりでためらわない。前輪も駆動しているぶん、FRより早くアクセルを開けられます
- 雨のレースで選ぶ。安定方向の性格が最もはっきり効いてきます
- タイヤ選びを軽視しない。トルクが太いので、レースの性格に合っていないタイヤだと4WDでも空転します
- 6速MTの雰囲気をコントローラーでも意識する。1〜2速の力強さと6速の伸びという実車のギア配分をイメージして、パドルやシフトのタイミングを合わせると加速の乗り味に納得感が出ます
駆動方式そのものの違いや、ターボ車の扱い方は、それぞれ別の記事にまとめています。
🎮 まとめGT7の4WD車まとめ悪天候でも安定、初心者にも走りやすい駆動方式。収録車を一覧で。
🎮 まとめGT7のターボ車まとめ過給機がもたらすパワーとサウンドの魅力。4G63もこの系譜。
セッティングの考え方
GT7でVIII MRをさらに自分好みにするなら、セッティング画面での調整も試してみましょう。
実車のACD・スーパーAYCは前後・左右の駆動配分を細かく制御する機構でしたが、GT7でもLSD(リミテッドスリップデフ)の初期・加速・減速それぞれのトルク配分を調整することで、似た方向性の乗り味を作れます。
- 加速側のLSDを強めにすると、立ち上がりでの駆動力の逃げが減り、実車の「踏むほど曲がる」感覚に近づきます
- 減速側は強めすぎないのがコツ。VIII MRはブレーキを早めに終わらせる乗り方が向いているため、減速時の巻き込みは穏やかなほうが扱いやすくなります
- 車高・スタビライザーは標準寄りから。極端に硬くすると4WDらしい接地感が失われやすいので、少しずつ変化を確かめながら詰めるのがおすすめです
セッティングに正解はありません。
まずは標準の状態でコースを何周か走り、車の癖をつかんでから少しずつ調整していくのが、遠回りに見えて一番の近道です。
ハンコンで乗るともっと気持ちいい
VIII MRの持ち味は「アクセルを開けたぶんだけ前に出て、しかも向きが変わる」感覚にあります。
この感覚は、標準のコントローラーよりもハンドル型のコントローラー(ハンコン)のほうが伝わります。路面の反発がハンドル越しに返ってくるため、4輪がどれだけ仕事をしているかが手のひらで分かります。シフターを足せば、VIII MRのクロスレシオ6速MTを自分の手で操作する感覚まで再現できます。1〜5速のつながりと6速だけ高めというギア比の設計を、自分の手で切り替えながら確かめられるのは、パドルシフトでは味わいにくい楽しみ方です。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、"自分でハンドルを握る"運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
🎮 あわせて読みたいGT7おすすめハンコン比較G29から本格ダイレクトドライブまで、予算別に選び方を解説。
🎮 攻略グランツーリスモ7 攻略最初の1台・カフェ・ライセンス・お金の増やし方を順番に。
実車を維持する vs ゲームで乗る
ここまで見てきたように、VIII MRはアルミルーフ・6速MT・ACD+スーパーAYCという、当時の日本仕様だからこそ成立していた1台です。それだけに、実際に所有するとなると相応の出費が伴います。ここでは実車を持つ場合とGT7で楽しむ場合、それぞれにかかる費用を並べて比べてみます。
① 実車のVIII MRを所有・維持する費用
VIII MRは2004年の車です。
初度登録から13年を超えた車は自動車税が重くなり、4WDターボは駆動系・過給系の部品代も現行車より高くつきます。
年間の目安はこのくらいです。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(2.0L・13年超の重課) | 約51,700円 |
| 任意保険 | 約8〜15万円 |
| 車検(2年分を1年換算) | 約6〜9万円 |
| 整備・部品(4WDターボは特に希少) | 約15〜35万円 |
| 駐車場(地域差大) | 約0〜36万円 |
| 燃料(年5,000km・ハイオク) | 約10〜14万円 |
| 年間合計(目安) | 約45〜85万円 |
※地域・使用状況・個体の状態で大きく変わります。あくまで一例としてご覧ください。
ここに車両価格が乗ります。
初期に234万〜469万円、そのうえ毎年45〜85万円というのが、いまVIII MRを所有するということです。
② GT7で"実車感覚"を味わう機材コスト
| 機材 | 費用の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| ハンコン(Logicool G29等) | 約3〜6万円 |
| シフター(6速MT感覚を再現) | 約1〜2万円 |
| コックピット(固定・姿勢) | 約2〜5万円 |
| 維持費 | ほぼ0円 |
| 一式(目安) | 初期 約10〜25万円+以降ほぼ0 |
③ コスパ比較の結論
- 実車:初期 234万〜469万円 + 毎年 45〜85万円
- ゲーム:初期 10〜25万円 + 以降ほぼ0
ゲーム機材一式は実車の購入価格の1割以下でそろい、しかも事故・盗難・部品枯渇の心配がありません。実車では「VIIIかIXか」で悩むところを、GT7なら両方に乗って自分の手で比べられます。
「いつか本物のランエボを」と思っている方も、それまでの間はGT7で乗り続けられます。
まずはハンコンから始めるのが、いちばん費用を抑えて実車感覚に近づく方法です。じっくり資金を貯めながら、休日は本物に近い感覚をゲームで積み重ねる。そんな付き合い方も、この時代のランエボとの距離の詰め方としては悪くありません。
「GT7で惚れて、いつか本物のVIII MRに」。その前に、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。旧車相場が高騰している今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
本物のランエボを見に行く
いま買うには覚悟が要るVIII MRですが、実車を見るだけなら方法があります。
アルミルーフの継ぎ目やENKEI製17インチホイールの造形、brembo製キャリパーの色など、写真だけでは伝わりにくいディテールも、実物を前にすると一気に解像度が上がります。
愛知県岡崎市にある三菱オートギャラリーでは、三菱の歴代車両が保存・展示されています。
ランエボの実車を、写真ではなく立体として見られる場所です。
近くにはトヨタ博物館や産業技術記念館もあり、1日でまとめて回れます。
🗾 モデルコース愛知で"名車の実車"を巡るモデルコーストヨタ博物館・産業技術記念館・三菱オートギャラリーを1日で。
🗾 全国版GT7の名車が"本物"で見られる日本の自動車博物館ガイド実車を見に行きたくなったらこちら。全国の展示施設をまとめました。
※開館日・展示内容・見学方法は変わることがあります。お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
📣 あなたの「VIII MR目撃情報」募集中
街でVIII MRを見かけた、あるいは今も所有されているという方がいらっしゃいましたら、ぜひ教えてください。
ご連絡はお問い合わせフォームからお願いします。
手元に置いて楽しむ|ランエボVIII MRのモデルカー
アルミルーフ・ビルシュタイン・brembo、実車の見どころを1台にまとめたVIII MR。走らせるだけでなく、机の上で眺めて楽しむ選択肢もあります。ミニカーなら、塗装やホイールの造形まで細部を確認でき、実車では手を伸ばしにくくなった1台を、手元で好きなだけ眺められます。GT7の車種紹介ページでも見られない角度から車を楽しめるのも、模型ならではの良さです。
屋根の質感やENKEI製17インチホイールの造形は、精密なミニカーだからこそ味わえるポイントです。実車では気づきにくいディテールも、手のひらサイズでじっくり眺められます。
ランエボの歴史をもっと深く知る本
VIII MRという1台の背景には、第三世代(VII・VIII・IX)の開発の積み重ねと、1979年のシリウス80から続く4G63の歴史があります。専門誌やムック本でその流れを追うと、ここで紹介した6速MTやスーパーAYCがなぜ生まれたのか、そしてなぜ北米仕様にはACDが積まれなかったのか、より立体的に理解できます。写真や図解の多いムック本なら、文章だけでは伝わりにくい駆動系の構造もつかみやすくなります。
ランエボVIII MR GSRのよくある質問
Q. VIII MRの一番の特徴は何ですか?
A. 量産車として初めて採用されたアルミ製のルーフです。ドア内部のサイドインパクトバーもアルミ化されており、標準のVIIIと比べて車重を約10kg軽量化しています。車の一番高い場所を軽くすることで重心を下げ、コーナーでの姿勢変化を穏やかにしています。
Q. 「MR」はどういう意味ですか?
A. Mitsubishi Racingの頭文字です。各世代の終盤に、走行性能を煮詰めた上位版として設定されてきました。VIII MRではビルシュタイン製ダンパーやアルミルーフが与えられ、開発責任者は「各コンポーネンツをよりハーモナイズさせた」と説明しています。
Q. VIII MRとIXの違いは何ですか?
A. 最も大きいのはMIVEC(可変バルブタイミング機構)の有無です。エボIXで初めて4G63に組み合わされました。VIII MRはMIVECを持たない4G63の到達点にあたります。
Q. スーパーAYCとは何ですか?
A. 左右の後輪へ駆動力を振り分ける機構で、エボVIIIの世代から採用されました。従来のベベルギア式からプラネタリーギア式に変更され、トルクの移動量が約2倍に増えています。アクセルを踏むほど車の向きが変わっていく感覚を生んでいます。
Q. VIII MRはWRC(世界ラリー選手権)で走った車ですか?
A. 市販のVIII MRそのものがWRCを走ったわけではありません。三菱ワークスチームは2001年から、ランサーセディアをベースに専用開発した「ランサーエボリューションWRC」で参戦しており、市販車のグループA規定とは別の車として開発されていました。
Q. 中古でいくらぐらいしますか?
A. 出典の調査時点で、エボVIIIの支払総額は233.9万〜469万円でした。時期・走行距離・状態で大きく変動するため、最新は中古車サイトでご確認ください。
Q. GT7では初心者でも扱えますか?
A. 扱いやすい部類です。4WDのため発進で駆動が逃げにくく、コーナーでも姿勢が急に破綻しません。雨のレースではとくに差が出ます。
Q. 北米仕様のVIIIと、日本仕様のVIII MRは同じ車ですか?
A. 別物といえるほど中身が違います。北米仕様は5速MT・ビスカス式センターデフ+オープン式フロントデフで、ACDもスーパーAYCも搭載されていませんでした。本記事で解説したACD+スーパーAYCという駆動制御は、日本仕様ならではの装備です。
Q. 同時代のライバル車はいましたか?
A. スバル・インプレッサWRX STI(GDB)が代表的なライバルです。2000年のフルモデルチェンジで280ps・38kgm・6速MT・17インチ・brembo製ブレーキを備え、VIIIとよく似た方向へ進化していました。WRCという同じ舞台で戦ってきた2台同士の競争が、市販車の世界にも表れていたことになります。
VIII MRは「屋根から軽くした」エボ
- 量産車として初めてアルミルーフを採用。ドア内部のサイドインパクトバーもアルミ化し、標準VIII比で約10kg軽量化
- ENKEI製17インチで3.2kgの軽量化。上と側面と下から同時に軽くする考え方
- シリーズ初の6速MT。1〜5速は加速とつながり、6速だけ高めのギア比で最高速を伸ばす設計
- スーパーAYC+ACDで、踏むほど向きが変わる4WD。AYCはベベル式からプラネタリー式へ変わりトルク移動量が約2倍に
- MR=Mitsubishi Racing。ビルシュタインやbremboを備え、開発陣は「各コンポーネンツをハーモナイズさせた」と語った上位版
- 市販車はWRC活動とは別の車。三菱ワークスは2001年から専用開発の「ランサーエボリューションWRC」で参戦していた
- 北米仕様は5速MT・ビスカス式デフでACD・スーパーAYCを持たなかった。本記事のGSRが積む駆動制御は当時の日本仕様ならではの装備だった
- ライバルのインプレッサWRX STI(GDB)も280ps・6速MT・17インチ・brembo。同じ舞台で鍛えられた2台の競争が市販車にも表れていた
- 中古は支払総額233.9万〜469万円(調査時点・47台)。IXより手が届きやすい
- 維持費は年45〜85万円が目安。20年前の4WDターボは税も部品も割高
- GT7なら一式10〜25万円で、VIIIとIXの両方に乗り比べられる
エボの歴史では、どうしても「最後の4G63」であるIXに注目が集まります。
ただ、屋根とドアの素材まで変えて重心を下げにいったのはVIII MRでした。
数字に出ない場所で勝負した1台として、走らせてみる価値のあるエボです。
1979年のシリウス80から始まったエンジンの血統が、ギャランVR-4のホモロゲーションを経てランエボへ渡り、トミ・マキネン選手の4連覇を支え、VIIIで40kgm台のトルクとスーパーAYCという武器を得る。VIII MRは、その積み重ねの上に「屋根から軽くする」という答えを足した1台です。北米仕様がACDもスーパーAYCも持たなかったことを思えば、本記事のGSRが背負っている装備は、当時の日本市場だからこそ成立していた完成形だったとも言えます。
ランサーエボリューションの系譜
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