
Jaguar XJ220とは、1992年から1994年にかけてジャガーが生産したミッドシップ2シーター・スーパーカーです。もともとは1988年のバーミンガムモーターショーで発表されたV型12気筒・4WDのコンセプトカーでしたが、市販化にあたってV型6気筒ツインターボ・後輪駆動(RWD)へと大きく設計変更され、まったくの「別物」として世に出ました。1992年にはイタリア・ナルドリングで212〜217mph(341〜349km/h)という当時の市販車最速級の記録を樹立した一方で、好景気の中で殺到した予約と、その後のバブル崩壊で価格が暴落した"教訓的な"逸話でも知られています。
この記事では、XJ220の誕生秘話・スペック・中古相場から、GT7での乗り方、そしてル・マン失格劇やスーパーカー・バブル崩壊のカルチャーまで、まるごと解説します。
V12・4WDの夢からV6ツインターボへ|XJ220の誕生秘話
物語の発端は1984年12月、ジャガーのチーフエンジニアだったジム・ランドルが温めていた構想にさかのぼります。彼が目指したのは、フェラーリF40やポルシェ959に匹敵する、公道とサーキットの両方で通用するグループB規定の限定生産スーパーカー。この構想に賛同した有志エンジニアたちが週末に集まって開発を進めたことから、プロジェクトチームは「サタデー・クラブ(土曜クラブ)」と呼ばれるようになりました。参加者は12名のボランティア。デザインを手がけたのは、南アフリカ出身で英国王立芸術大学出身、当時ジャガーのシニア・スポーツカーデザイナーだったキース・ヘルフェット(後にXK180やF-typeコンセプトも手がける人物)で、彼の案が「もっともジャガーらしい」という理由で採用されました。
こうして1988年、英国バーミンガムモーターショーで「サタデー・クラブ」の集大成であるコンセプトカー「XJ220」が公開され、会場を沸かせました。搭載されていたのはV型12気筒DOHC・排気量6.2L・自然吸気で約500hpを発揮するエンジン。シャシー・エンジン・駆動系はジャガーのグループCレーシングカーをベースにしており、そこに試作のフルタイム四輪駆動(4WD)システムを組み合わせた、「グループCカーの魂を宿した公道車」という構想でした。
しかし、1991年の東京モーターショーで市販版が姿を現したとき、多くの人が驚くことになります。搭載エンジンはV型6気筒DOHCツインターボ・排気量3.5Lに変更され、駆動方式も後輪駆動(RWD)へと様変わりしていたのです。理由は明快で、V12+4WDのままでは車両重量・寸法が過大になりすぎ、当時強化されつつあった排出ガス規制への対応も難しかったため。プロジェクトを率いたトム・ウォーキンショー・レーシング(TWR)は、より軽量・コンパクトで、なおかつ同等以上のパワーを引き出せるV6ツインターボへの転換を選びました。
このV6エンジン、実は出自がとてもユニークです。ベースとなったのは、コスワース設計者デビッド・ウッドが手がけた「V64V」という自然吸気V6エンジン。もともとはオースチン・ローバーのMGメトロ6R4というグループBラリーカー用に開発されたものでしたが、1986年にグループB規定そのものが廃止され、行き場を失っていました。TWRは1989年にこの設計権を買い取り、パワートレイン部門責任者アンドリュー・バーンズとスイス人エンジンビルダーのマックス・ハイデガーが中心となって、ツインターボ化・排気量3.5L化を含む全面再設計を実施。コードネーム「JV6」として生まれ変わったこのエンジンは、まずレーシングカーのXJR-10・XJR-11に搭載され、その後XJ220へと転用されました。ラリー用の自然吸気エンジンが、紆余曲折を経てスーパーカーのツインターボエンジンになった、というのが、XJ220の心臓部に隠された物語です。
シャシーはアルミハニカム構造で、生産はTWRとジャガーの合弁会社「ジャガースポーツ」が担当。まさに「ロードゴーイング・レーシングカー」と呼ぶにふさわしい成り立ちでした。
| 項目 | コンセプト(1988年) | 量産車(1992年) |
|---|---|---|
| エンジン | V型12気筒DOHC・自然吸気 | V型6気筒DOHCツインターボ |
| 排気量 | 約6.2L | 3.5L(3,498cc) |
| 最高出力 | 約500hp | 542bhp(550PS)/7,000rpm |
| 駆動方式 | フルタイム4WD(計画) | RWD(後輪駆動) |
| 発表・生産 | 1988年バーミンガムショー発表 | 1991年東京モーターショー公開/1992〜1994年生産 |
| 生産台数 | 試作1台のみ | 約275〜283台(資料により差あり) |
| 車体構造 | アルミハニカム+カーボンケブラー案 | アルミハニカムシャシー |
出典・参考:Wikipedia(英語版)「Jaguar XJ220」(コンセプト仕様・V6エンジンJV6の開発経緯・Andrew Barnes/Max Heideggerによる再設計・ジム・ランドルの構想発端1984年12月・「サタデー・クラブ」12名のボランティア)/Wikipedia(日本語版)「ジャガー・XJ220」(コンセプトのV12・4WD計画、量産車のV6ツインターボ・RWDへの変更経緯)/Octane Magazine「Keith Helfet interview」(デザイナー本人へのインタビュー)。※コンセプトカーと量産車は設計思想からして異なる別モデルである点にご留意ください。
予約殺到からバブル崩壊へ|スーパーカーが教える資産の怖さ
XJ220が発表された1988〜1990年頃の英国は、マーガレット・サッチャー政権下の好景気の真っただ中。世界中の富裕層がこの新型スーパーカーに熱狂し、予約金1件あたり£50,000という高額な手付金にもかかわらず、1990年1月の時点ですでに約280〜350件の予約が集まっていたとされます。当初は220台程度の限定生産を予定していたジャガーも、あまりの人気に生産計画を350台へと引き上げるほどでした。
当時の価格は£290,000(1990年・VAT別)。ところが契約には「インデックス連動条項」がついており、経済指標に連動して価格が上乗せされる仕組みになっていました。実際に車が納車される1992年頃には、価格はなんと£470,000まで高騰。約£200,000もの上乗せが発生していたのです。
そしてこのタイミングで、英国経済は1990年代初頭の不況に突入します。高性能車・ぜいたく品への需要は一気に冷え込み、予約者たちは重大な岐路に立たされました。「契約通りに購入すれば£470,000。しかし納車された瞬間、中古市場での実勢価値はその半額程度になってしまう」という、いわば"新車を受け取った瞬間に大きな含み損を抱える"状況が現実味を帯びてきたのです。
一部の予約者は、コンセプトカー時代のV12・4WD仕様と、実際に納車される量産車のV6ツインターボ・RWD仕様が異なることを理由に「契約は無効だ」と主張し、法廷闘争に持ち込みました。しかし判事のジョン・ドナルドソンは「(量産車の)スペックは契約内容と一致している」と判断し、ジャガー側が勝訴。結果として22台が売れ残る事態となり、1998年のTop Gear取材では、定価£415,000の残存在庫車が£150,000という大幅ディスカウント価格で販売されていたと報じられています。同じ時期にライバルの「マクラーレンF1」プロジェクトが進行していたことも、富裕層の関心を奪う一因になったとされます。
出典・参考:Wikipedia(英語版)「Jaguar XJ220」(予約金£50,000・価格£290,000→£470,000への高騰・訴訟の経緯・22台売れ残り・1998年Top Gearでの£150,000販売報道)/AUTOCAR JAPAN「過小評価される1990年代の名車 ジャガーXJ220」(マクラーレンF1プロジェクトとの関係・「愛されなかった」背景)。※価格・逸話の詳細は資料により若干の差異があるため、あくまで当時の経緯を伝える参考情報としてご覧ください。
XJ220のスペック|世界最速級の心臓部
量産版XJ220のエンジンは、3.5L・V型6気筒DOHC・ツインターボ(ガレットT3タービン×2)。最高出力は542bhp(550PS)/7,000rpm、最大トルクは476lb-ft(645Nm)/4,500rpmに達します。駆動方式はミッドシップ・RWD(後輪駆動)で、車両重量は約1,470kg前後(資料により差あり)。0-60mph加速はおよそ3.6秒台、0-400m(クオーターマイル)は11〜12秒台とされています。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 型式・通称 | Jaguar XJ220(量産版) |
| 発表・生産期間 | 1991年東京モーターショー公開/1992年〜1994年生産 |
| 生産台数 | 約275〜283台(資料により差あり) |
| エンジン | JV6型 3.5L V型6気筒DOHCツインターボ |
| 排気量 | 3,498cc |
| 最高出力 | 542bhp(550PS)/7,000rpm |
| 最大トルク | 476lb-ft(645Nm)/4,500rpm |
| 0-60mph加速 | 約3.6秒(資料により差あり) |
| 駆動方式 | MR(ミッドシップ・RWD) |
| 車体構造 | アルミハニカムシャシー |
| 生産 | ジャガースポーツ(TWRとジャガーの合弁) |
出典・参考:Wikipedia(英語版)「Jaguar XJ220」(エンジン仕様542bhp/7,000rpm・トルク476lb-ft/4,500rpm・生産台数275〜282台)/各種パフォーマンスデータサイト(0-60mph・クオーターマイルタイムは測定条件により3.6〜3.9秒程度の幅)。※測定条件・個体差により数値は変動します。
※スペック数値は資料により多少の差異があります。最新・正確な情報は専門書籍・公式資料でご確認ください。
ボディサイズも当時としては相当特殊で、全長約4,930mm・全幅約2,220mm・ホイールベース約2,640mmというワイド&ロングな寸法。ブレーキは前後とも通気孔つきのクロスドリルドディスクで、フロント径13インチ(約330mm)・リア径11.8インチ(約300mm)。特筆すべきはタイヤで、ブリヂストンが専用開発した「エクスペディアS.01」という非対称・方向性パターンを装着。ホイールはスピードライン製の1ピースアルミで、フロント9J×17インチ・リア14J×18インチという前後で大きく異なるセッティングでした。
出典・参考:Conceptcarz「1993 Jaguar XJ220 Specifications & Dimensions」(全長・全幅・ホイールベース・ブレーキサイズ)/Wheel-Size.com「Jaguar XJ220」(ホイールサイズ前後異なるセッティング)。※ブリヂストン製専用タイヤの詳細は複数の専門資料で一致確認済みです。
ナルドリングでの伝説|212〜217mphの真実
1992年、ジャガーはイタリアのナルドリング(高速周回テストコース)でXJ220の最高速テストを実施しました。まず触媒コンバーターを装着したままの標準トリム(7,400rpm制限)では、212.3mph(341.7km/h)を記録。続いて、触媒コンバーターを撤去し、リミッターを7,900rpmまで引き上げた記録用トリム(出力が約51PS向上)では、1990年ル・マン優勝ドライバーであるマーティン・ブランドルのドライブにより217.1mph(349km/h)まで到達しました。この217.1mphという数値は当時ギネス世界記録に認定され、「市販車として世界最速」の座を獲得しています。
ここで大事なのは、この217.1mphという記録はあくまで触媒撤去・リミッター拡張という条件下でのものだということです。実際にオーナーが公道や通常のサーキットで走らせる標準状態のXJ220は212.3mph前後が基準であり、両者を混同しないよう注意が必要です。とはいえ、標準状態の212.3mphという数字自体も、1992〜1993年当時としては十分すぎるほどの「世界最速級」の記録でした。
- 標準トリム:212.3mph(341.7km/h)/触媒装着・7,400rpm制限
- 記録用トリム:217.1mph(349km/h)/触媒撤去・7,900rpmまで拡張・マーティン・ブランドルがドライブ・当時ギネス世界記録認定
- 1992〜1993年当時、市販車として世界最速級の座にあった
出典・参考:Wikipedia(英語版)「Jaguar XJ220」(ナルドリング記録・標準トリム212.3mph/改造トリム217.1mph・マーティン・ブランドルのドライブ・ギネス世界記録認定)。※改造トリムでの記録と標準車の性能は条件が異なるため、区別してご覧ください。
XJ220S|わずか9台の“さらなる軽量化版”
1993年1月、TWRとジャガースポーツはレース専用車「XJ220C」の発表と同時に、ホモロゲーション要件を満たすための限定生産・公道仕様「XJ220S」を発表しました。ドアパネル以外のほぼすべての外板をカーボンファイバー製に置き換え、ステレオ・エアコンなどの快適装備を撤去する徹底した軽量化を実施。エンジンは同じ3.5L・V6ツインターボをベースに約690hpまでチューニングされ、0-60mph約3.3秒、最高速約228mph(約367km/h)に到達したとされています。生産はわずか9台(うち公道仕様は6台)。標準のXJ220をさらに研ぎ澄ませた、行き着くところまで行った一台です。
出典・参考:Supercars.net「1994 Jaguar XJ220 S TWR」(生産台数9台・軽量化仕様・690hp・0-60mph 3.3秒)/HotCars「Here's What You Didn't Know About The TWR Jaguar XJ220 S」(ホモロゲーション目的・1993年1月発表の経緯)。※XJ220Sは市販版XJ220をベースにした限定改造モデルであり、標準のXJ220とはスペックが異なる点にご注意ください。
マクラーレンF1・フェラーリF40との“世界最速リレー”
1980年代後半、ポルシェ959やフェラーリF40が「市販車200mphの壁」に挑み始めたことで、世界の自動車メーカーは最高速レースに突入していきます。XJ220の構想開始は1987年頃、ライバルのマクラーレンF1は1988年。前者はル・マン等の耐久レース、後者はF1を「母体」に生まれた点が対照的です。最高速では、1992年にXJ220が217.1mph(349km/h)を記録し当時の世界最速に。しかし翌1993年、マクラーレンF1が221mph(約356km/h)で記録を更新します。フェラーリF40は約201mphで、200mphの壁を最初に破った存在感はありますが、最高速自体はXJ220・F1に一歩譲りました。
| 項目 | Jaguar XJ220 | McLaren F1 | Ferrari F40 |
|---|---|---|---|
| 発表年(構想開始) | 1988年(構想1987年頃) | 1992年発売(構想1988年) | 1987年発表 |
| エンジン | 3.5L V6ツインターボ | 6.1L V12(BMW製・自然吸気) | 2.9L V8ツインターボ |
| 最高出力 | 542bhp | 627bhp/7,500rpm | 約478bhp |
| 最高速 | 217.1mph(記録用トリム) | 221mph(1993年記録) | 約201mph |
| 生産台数 | 約275〜283台 | 106台(レース仕様含む) | 1,311台 |
| 開発の母体 | 耐久レース(グループCカー) | F1(フォーミュラ1) | 288GTO・創業40周年記念 |
出典・参考:CarBuzz「The Jaguar XJ220 Was The World's Fastest Road Car Until The McLaren F1」(1993年マクラーレンF1が221mphで記録更新した経緯)/Hagerty「The British supercar dream of the '90s: Jaguar XJ220 vs McLaren F1」(両車の開発背景・出力比較)。※各車の数値は測定条件・年式・資料により差があるため、目安としてご覧ください。「世界最速」の座はわずか1年ほどで入れ替わった、各メーカーが本気で殴り合った激動の時代でした。
1993年ル・マン|勝って、負けた一台
1993年、TWRはXJ220をベースにしたレース専用車両「XJ220C(XJ220 LM)」を製作し、ル・マン24時間レースのGTクラスに3台を投入しました。ジョン・ニールセン/デビッド・ブラバム/デビッド・クルサード組が駆るXJ220Cは、24時間を走りきりGTクラスで優勝(ポルシェに2周差)、総合15位という結果を残しました。他の2台はエンジントラブルによりリタイアしています。
ところがレース終了から約2週間後、大きな判定が下ります。XJ220CはIMSA GTカテゴリーの規定でエントリーしていたのですが、大会中にシニア・スチュワードのアラン・ベルトーが「触媒コンバーターを装着していない」とクレームを入れたのです。これはIMSAカテゴリーとしては正しい仕様だったのですが、議論の末、レース中は抗議下での出走が認められました。しかしレース後、FIA支持のもと控訴では一旦は勝訴したものの、主催者であるACO(自動車クラブ・ド・ウエスト)が「控訴期限に間に合っていない」として、最終的に失格が確定してしまいました。
「クラス優勝を勝ち取ったのに、後から記録が取り消された」。この一件は、XJ220Cの実力と、レギュレーションを巡る当時の混乱の両方を物語るエピソードとして語り継がれています。なお、このXJ220CはあくまでTWRが製作したレース専用モデルであり、市販されたXJ220本体とは別の車両である点にご注意ください。
出典・参考:Classic Motorsports「What would have been the last Jaguar to win at Le Mans」(1993年ル・マン・GTクラス優勝からの失格経緯・触媒コンバーター規定違反・ACOの控訴期限判断)/RM Sotheby's「1993 Jaguar XJ220 C LM」(ニールセン/ブラバム/クルサード組のGTクラス優勝・ポルシェに2周差)。※XJ220Cはレース専用のTWR製車両であり、市販版XJ220とは異なるモデルです。
XJ220は今いくら?暴落からの復権
1990年代にバブル崩壊で値崩れしたXJ220ですが、近年の旧車・ネオクラシックカー市場の盛り上がりを受けて、価格は着実に回復・上昇しています。CLASSIC.COM調べでは平均価格$539,249とされ、2025年7月には$310,500という比較的手が届きやすい成約例もありました。米国Hagertyの評価額も、直近2年で£304,000から£365,250へ約20%上昇しています。
オークション市場ではさらに顕著な動きが見られます。2025年9月、Bonhamsのグッドウッド・リバイバル・セールで£460,000という高値が記録されましたが、2026年3月にはRM Sotheby'sのアメリア・セールで$687,000(約£525,000)が落札され、この記録を上回りました。1998年当時、定価£415,000のところ£150,000まで値崩れしていたことを思うと、実に3倍以上への回復です。
- 平均価格:約$539,249(CLASSIC.COM調べ)。2025年7月には$310,500の成約例も
- Hagerty評価額:直近2年で£304,000→£365,250(約20%上昇)
- オークション最高値:2026年3月RM Sotheby's(アメリア)で$687,000(約£525,000)
- 1998年当時との比較:定価£415,000のところ£150,000まで値崩れした過去から、大幅に回復
出典・参考:CLASSIC.COM「Jaguar XJ220 Market」(平均価格$539,249・2025年7月$310,500の成約例)/Hagerty UK(評価額推移£304,000→£365,250・2025年Bonhams£460,000・2026年RM Sotheby's $687,000)。※為替は目安レート(2026年7月時点・1ポンド≒207円、1ドル≒162円)で換算した参考値です。
※相場は時期・状態・走行距離・個体のヒストリーで大きく変わります。オークション結果は個体差が非常に大きいため、あくまで参考としてご覧ください。最新の価格・在庫は各中古車ポータル・オークションハウスで必ずご確認ください。
「GT7で惚れて、いつか本物のXJ220に」。その前に、いま乗っている愛車の“本当の価値”を知っておきませんか。旧車相場が高騰している今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
グランツーリスモ7のXJ220|スペックと入手方法
グランツーリスモ7には、XJ220が「Jaguar XJ220 '92」という正式表記で収録されています。エンジン型式表記は「JRV-6-XJ220」で、実車のツインターボV6エンジンをそのまま反映した名称です。
- PP値:約592.62(サイトにより599.59とする情報もあり)
- パワー:515HP(515bhp/7,000rpm)
- 車重:約1,372kg(3,025lbs)
- 駆動方式:MR(ミッドシップ)
- ゲーム内価格:約55万Cr前後(アップデートにより548,000〜615,000Crと変動)
- 入手方法:ブランドセントラル内「レジェンドカー」ディーラー。カフェメニューブック#4「ハイスピードリング・トラックデイ」達成でブランドセントラルが解放され、その後購入可能に。エクストラメニュー#37の達成条件にもなっている
収録は2023年4月27日のアップデート1.32から。実車のPP値・出力はGT7の中でも高めの部類に入りますが、面白いのはエンジン換装にも対応している点です。同じジャガーのレースカー「XJR-9 '88」に搭載されているV12エンジンに乗せ替えることで、515HPから最大749HPまで引き上げることが可能。実車では叶わなかった「もしV12のままだったら」という夢を、ゲームの中でなら味わえるというのも面白いポイントです。
操縦感覚としては、ミッドシップならではの回頭性の良さと、ツインターボV6の分厚いトルクが持ち味。標準状態でも十分にパワフルで、GT7の中でも「当時の世界最速級」の名にふさわしい速さを体感できる一台です。
出典・参考:kudosprime.com(GT7内データベース)(PP値592.62・515HP・車重1,372kg・エンジン型式JRV-6-XJ220・アップデート1.32収録)/GTDB.io(PP値599.59・レジェンドカーディーラーでの入手方法・エクストラメニュー#37・XJR-9エンジン換装で749HPまで引き上げ可能)。
※クレジット価格・PP値・入手条件はゲームのアップデートで変動します。最新はゲーム内でご確認ください。
ハンコンで乗るともっと気持ちいい|機材ガイド
GT7でXJ220をさらに楽しむなら、ハンドルコントローラー(ハンコン)がおすすめです。自分でハンドルを握る感覚は、コントローラーとは別物。515HPのミッドシップを操る楽しさが、グッと現実に近づきます。ここでは、GT7を“実車感覚”で楽しむための機材を「まず必須」と「あるとより楽しい」に分けて紹介します。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、“自分でハンドルを握る”運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は“より実車に近づく”ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
📶 オンライン対戦も楽しむなら|回線も“快適”に
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実車を維持する vs ゲームで乗る|コスパ比較
① 実車XJ220を所有・維持する費用
XJ220は1992〜1994年デビューの旧車で、約280台前後という希少車です。
専用部品の希少化・13年超の自動車税重課・専門ショップ前提の整備等で、維持費は一般的な旧車よりさらに高めになりがちです。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(3.5L級・13年超の重課) | 約88,000円 |
| 任意保険(希少車・高額車両保険込み) | 約20〜40万円 |
| 車検(2年分を1年換算・専門ショップ前提) | 約15〜30万円 |
| 整備・部品(専用ターボ・希少パーツ) | 約50〜120万円 |
| 駐車場・保管(防犯・屋内保管想定) | 約15〜60万円 |
| 燃料・消耗品 | 約20〜35万円 |
| 年間合計(目安) | 約120〜290万円 |
さらに、購入費が3,000万〜8,000万円超(前章の中古相場)かかります。
② GT7で“実車感覚”を味わう機材コスト
一方、GT7でXJ220を「実車感覚」で走らせる機材は買い切り(初期費用のみ)。
一度そろえれば、あとは電気代くらいです。
| 機材 | 価格の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6.6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| ハンドルコントローラー(エントリー) | 約2.5〜4万円 |
| レーシングコックピット(任意) | 約2〜5万円 |
| PS VR2(任意・没入感アップ) | 約7.5万円 |
| 一式(目安) | 初期 約10〜25万円+以降ほぼ0 |
③ コスパ比較の結論
- 実車:初期 3,000万〜8,000万円超 + 毎年 120〜290万円
- ゲーム:初期 10〜25万円 + 以降ほぼ0
ゲーム機材一式は実車のたった1年分の維持費以下でそろい、しかも事故・盗難・天候の心配なし。ハンコン+VRを使えば、515HPを受け止めるミッドシップの荷重移動まで、かなり実車に近い感覚で走れます。
「いつか本物のXJ220を」と思っている人も、それまでの間はGT7で憧れの一台に乗り続けられます。
まずはハンコンから始めるのが、一番コスパよく“実車感覚”に近づく方法です。
さらに没入感を求めるならVRも。
実車のXJ220に触れる|著名な所有者と展示
「300台に満たないなんて、本物を見る機会なんてないのでは」と思うかもしれませんが、XJ220は当時から著名なコレクターに愛された一台でもあります。誰がこの車を所有していたのか、そのエピソードを見ていきましょう。
👑 ブルネイ国王一族の大量所有
1990年代、豊富な石油収入を背景に世界中の高級車を買い集めていたブルネイ国王(スルタン)とその弟プリンス・ジェフリは、1992年から1995年にかけて実に20台ものXJ220を購入したとされています。中でもプリンス・ジェフリは既製品では飽き足らず、イタリアの名門カロッツェリア「ピニンファリーナ」に特別な1台の製作を依頼。専用ボディに加え、Williams F1製のパドルシフトまで搭載した、世界に1台だけの「XJ220ピニンファリーナ」が誕生しました。しかしその後、財政危機の影響でブルネイ王室は保有車両の大半を手放すことになります。
🌟 著名人の所有歴
ブルネイ王室以外にも、XJ220は多くの著名人に愛されてきました。サー・エルトン・ジョン、F1関係者として知られるフラビオ・ブリアトーレ、そしてプロジェクトを率いたトム・ウォーキンショー本人(TWR創業者)も、自らXJ220を所有していたことが確認されています。開発者自身が完成した車を愛用していたというのは、なんとも説得力のあるエピソードです。
出典・参考:Motor Authority「Ex-Brunei Royal Family Jaguar XJ220 Up For Auction」(ブルネイ王室の20台所有・財政危機での売却)/Supercar Nostalgia「Jaguar XJ220 Pininfarina Speciale」(プリンス・ジェフリ特注のピニンファリーナ製ボディ・Williams F1製パドルシフト)/各種専門メディア(エルトン・ジョン、フラビオ・ブリアトーレ、トム・ウォーキンショー本人の所有歴)。
🏛 博物館で見る|British Motor Museum(英国)
実車を見られる場所として代表的なのが、英国ゲイドンにあるBritish Motor Museumのコレクションセンターです。ジャガー・ダイムラー・ヘリテージ・トラスト所蔵として、V12エンジンを積んだオリジナルの1988年プロトタイプと、プリプロダクション(量産前)のV6エンジン搭載シャシー#8が保管されており、通常の博物館入場料でコレクションセンターの見学が可能です。2018年には「Jaguars at Gaydon」というイベントで、XJ220誕生30周年を記念した特別展示が行われ、デザイン・開発に携わったチームメンバーやオーナーが招待されました。
🏁 走る本物を体験する|Jaguar Classicドライビング・エクスペリエンス
「見るだけでなく体験したい」という人向けには、ジャガー・クラシック公式のドライビング・エクスペリエンスがあります。ジャガーの開発・テストコースで、XJ220を含む歴代の名車を運転できる半日プログラムが用意されており、プロのテストドライバーとのホットラップも体験可能です。過去にはゲイドン・プルービング・グラウンドで、テストドライバーが運転するXJ220の同乗走行を180mph超で体験できるイベントも開催されました。開催時期・条件は変動するため、参加を検討する場合は公式サイトでの確認をおすすめします。
出典・参考:British Motor Museum公式「Collections Centre」(V12プロトタイプ・シャシー#8の保管・入場方法)/British Motor Museum「'Jaguars at Gaydon' 2023」(XJ220誕生30周年記念展示)/Jaguar Land Rover Classic公式「Driving Experience」(ドライビング・エクスペリエンスの内容)/CarThrottle「Jaguar Experience Day」(ゲイドンでの同乗走行体験)。※開催内容・料金・スケジュールは変動するため、最新は各公式サイトでご確認ください。
XJ220を見て楽しむ|映画・ゲーム・グッズ
🎮 ゲームでの登場|Need for Speedシリーズの常連
XJ220は、1996年発売の「Need for Speed II」で、ゲーム開始時から使用できる高速車として収録され、イタルデザイン・カラと並走するイントロ映像でも印象的に登場しました。以降も「Need for Speed: Rivals」(2013年)、「Need for Speed: No Limits」(2019年のイベント)にも継続して登場しており、レースゲームの世界では長年にわたる常連です。ちなみにXJ220自身も、1992年にAmiga向けの自作タイトル「Jaguar XJ220」というレースゲームが発売されていたという、少しマニアックな逸話も残っています。
🎬 映画での登場|アンジェリーナ・ジョリー主演作にも
映画では、2001年の「トゥームレイダー」(アンジェリーナ・ジョリー主演)にXJ220が登場していることが確認されています。90年代の象徴的なスーパーカーとして、時代を代表する存在感を映像作品でも放っています。
出典・参考:Need for Speed Wiki「Jaguar XJ220」(Need for Speed IIでのイントロ登場・Rivals/No Limitsでの収録歴)。※映画・ゲームでの登場作品数は情報源により差があるため、確認できた範囲を記載しています。
📺 テレビ番組での対決|Top Gearが企画した"200mphの元祖対決"
英国の人気自動車番組「Top Gear」では、シリーズ29でXJ220とフェラーリF40を並べて「どちらが真の200mphパイオニアか」を検証する企画が放送されました。同時代に200mphの壁に挑んだ2台をあらためて比較する内容で、90年代スーパーカーへの根強い人気がうかがえる企画です。また1998年の別企画では、当時値崩れしていたXJ220の残存在庫が定価より大幅に安い価格で販売されていたことも取り上げられ、この記事の「バブル崩壊」エピソードを裏付ける放送内容にもなっています。
🇯🇵 日本での評価|「過小評価された名車」という再評価の声
日本国内では正規輸入こそ行われなかったXJ220ですが、近年はAUTOCAR JAPANやWebモーターマガジンといった専門メディアで「過小評価される1990年代の名車」「ライバルより速いのに愛されなかったスーパーカー」といった切り口の再評価記事が複数掲載されています。バブル崩壊という時代背景ゆえに正当な評価を受けにくかった一台が、旧車ブームの中であらためて注目されている、という構図は、日本のバブル崩壊とも重なるところがあり、日本の読者にとっても共感しやすいポイントかもしれません。
出典・参考:TopSpeed「Top Gear, The Ferrari F40, and the Jaguar XJ220」(Top Gearシリーズ29での対決企画)/AUTOCAR JAPAN「過小評価される1990年代の名車 ジャガーXJ220」(日本語での再評価記事)。
🎁 手元に置いて楽しむ|プラモデル
手元でXJ220を楽しむなら、プラモデルが充実しています。定番はタミヤの1/24「ジャガーXJ220」(品番24129・スポーツカーシリーズ)。ツインターボV6エンジンの再現、開閉式のクリアリアエンジンハッチ、細部までこだわったインテリアが魅力で、国内正規品として入手性も良好です。ミニカーでは、1990年代に発売されたMaisto製1/18スケールが長らく定番でしたが、2016年頃に生産終了。KYOSHO取り扱いのTOPMARQUES製1/18(メタリックブルー・品番TOP039B)も存在が確認できますが、こちらも生産終了品の可能性が高く、入手には海外専門店や中古流通の確認が必要です。
※Maisto製・TOPMARQUES製の1/18ミニカーは生産終了品の可能性が高いため、本記事では紹介にとどめ、購入を推奨するリンクの掲載は見送っています。
📖 書籍
XJ220についてもっと深掘りしたいなら、英語文献ですが「Jaguar XJ220: The Inside Story」(Mike Moreton著)が決定版です。著者のマイク・モートン氏はTWR/ジャガースポーツ側のプロジェクトマネージャーを務めた本人で、序文はトム・ウォーキンショー自身が執筆、コンセプトカー時代の章はジム・ランドルが担当するなど、開発の内側を知る関係者による証言がまとめられています。もう一冊、「Jaguar XJ220」(Philip Porter・Peter Burn共著)も定番の一冊として知られています。日本語では、AUTOCAR JAPANやWebモーターマガジンといった専門メディアの特集記事でスペック・開発秘話の解説が確認できます。
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Jaguar XJ220のよくある質問
Q. Jaguar XJ220とは、どんな車ですか?
A. 1992年から1994年にかけてジャガーが生産したミッドシップ2シーター・スーパーカーです。1988年発表のコンセプトカーはV型12気筒・4WDでしたが、市販化にあたりV型6気筒ツインターボ・後輪駆動へと大きく設計変更されました。1992年にはナルドリングで212〜217mph(341〜349km/h)という当時の市販車最速級の記録を樹立しています。
Q. コンセプトカーと量産車では何が違うのですか?
A. コンセプトカー(1988年)はV型12気筒DOHC・自然吸気6.2L・約500hp・フルタイム4WD計画でした。量産車(1992年)はV型6気筒DOHCツインターボ3.5L・542bhp(550PS)・後輪駆動(RWD)に変更されています。エンジン・駆動方式ともにまったくの別物です。
Q. XJ220の最高速は本当に217mphですか?
A. 217.1mph(349km/h)は、1992年にナルドリングで触媒コンバーターを撤去しリミッターを拡張した記録用トリムで、マーティン・ブランドルが達成した数値です。通常の標準トリム(触媒装着)では212.3mph(341.7km/h)が基準となります。いずれも当時としては市販車最速級の記録でした。
Q. XJ220はル・マンで優勝しましたか?
A. 1993年のル・マン24時間レースで、TWR製のレース専用車両「XJ220C」がGTクラスで優勝しました(総合15位)。しかしレース後、触媒コンバーター非装着という規定違反を理由に失格が確定しています。なお、XJ220Cは市販版XJ220とは異なるレース専用モデルです。
Q. XJ220の中古相場はいくらですか?
A. CLASSIC.COM調べで平均約$539,249。オークションでは2026年3月にRM Sotheby'sで$687,000(約£525,000)という高値が記録されています。1998年当時は値崩れして£150,000程度まで下落した過去もあり、近年の旧車ブームで大きく回復しています。状態・個体差で大きく変わるため、最新は各中古車ポータル・オークションハウスでご確認ください。
Q. グランツーリスモ7でXJ220に乗れますか?
A. 乗れます。「Jaguar XJ220 '92」として収録されており、ブランドセントラル内の「レジェンドカー」ディーラーで購入できます(カフェメニューブック#4達成後に解放。収録内容・価格はアップデートで変動します)。
XJ220は「夢と教訓」を両方運んだ一台
Jaguar XJ220は、V型12気筒・4WDというコンセプトカーの夢から、V型6気筒ツインターボ・RWDという量産車の現実へと大きく舵を切った、「別物への転生」を遂げたスーパーカーです。1992年のナルドリングでは212〜217mph(341〜349km/h)という当時の市販車最速級の記録を樹立し、1993年のル・マンではGTクラス優勝から一転して失格になるという劇的な結末も経験しました。
実車は好景気の予約殺到からバブル崩壊による値崩れ、そして近年の旧車ブームによる価格回復まで、「資産としてのスーパーカー」の教訓を体現してきた一台でもあります。維持にも相応の覚悟が必要ですが、グランツーリスモ7なら「Jaguar XJ220 '92」としてそのまま収録されており、経済状況を気にせず"当時世界最速級"のステアリングを握れます。ブルネイ国王一族やエルトン・ジョンといった著名人所有のエピソードも、味わい深いポイントです。
ゲームで惚れて、いつか本物に。その入り口として、XJ220は"夢と教訓"の両方を運んでくれる一台です。もし「実車を」と思ったら、まずはいま乗っている愛車の価値を調べることから始めてみてください。
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