Jaguar XJ220 '92の公式解説
1988年、バーミンガムショーにジャガーが展示したスーパースポーツのプロトタイプは、91年東京モーターショーでXJ220として発表された。XJ220という車名は市販車として当時最高の220mph(354km/h)を実現するという意味である。ジャガーはXJ220の生産を、トム・ウオーキンショー・レーシング(TWR)との合弁会社であるジャガースポーツに委託した。TWRはジャガーのグループCカーの開発とレース運営を担当してきたレーシングチームでもある。
プロトタイプのエンジンは自然吸気V型12気筒エンジンだったが、東京に現れたXJ220はグループCカーとしてサーキットで活躍したXJR11の3.5LV型6気筒ターボヘとエンジンを置き換えていた。シャシーはアルミハニカムとカーボンケブラーのコンポジット構造で、レーシングカーそのもの。車体下面にはグラウンドエフェクトを生み出すアンダーパネルまで組み込まれており、XJ220はメカニズム的にはまさにロードゴーイング版グループCカーだった。いっぼう内装は最高級の素材を使ってジャガーらしい高級車にまとめられていた。
93年、ジャガーはXJ220をル・マン24時間レースのGTカー部門に投入した。ステアリングを握ったデビッド・クルサード/デビッド・ブラバム/ジョン・ニールセン組は無事24時間を走りきり、XJ220をクラス優勝に導いた。しかし排気系の車両規則違反を問われて1ヶ月後に失格裁定を受け、惜しくもその成績は記録に残らなかった。
その後もXJ220は、スポーツカーレースの名門チーム・チェンバレンからル・マン24時間を含むGTレースに出場している。