
ルノー・サンク(R5)ターボとは、1978年のパリ・モーターショーにボディパネルを外した状態で展示され話題を呼んだのち、1980年に市販が始まったミッドシップ2WDのホモロゲーションスペシャルです。ベースは実用的なFFのハッチバック「ルノー5」でありながら、エンジン・トランスミッション・ディファレンシャルをまるごと後部車軸の上に移し替えるという大改造を受け、世界初の量産ミッドシップ・ホットハッチとして生まれました。1,397ccの小さなターボエンジンで160PSを発揮し、1981年モンテカルロラリーではジャン・ラニョッティが優勝。のちのグループB「マキシターボ」へと続く、伝説の橋渡し役でもあります。
この記事では、R5ターボの誕生秘話・スペック・中古相場から、GT7での乗り方、そして『ドラゴンボール』にも登場したカルチャーまで、まるごと解説します。
パリの街が驚いた"ガワだけ展示"|R5ターボ誕生の物語
ルノー5ターボの企画が動き出したのは1976年。開発コード名「Project 822」のもと、ルノーの生産担当副社長ジャン・テラモルシが、イタリアのカロッツェリア「ベルトーネ」(マルク・デシャン)に「ラリー専用のルノー5仕立て」をオーダーしたのが始まりです。着想の源には、同じくベルトーネのマルチェロ・ガンディーニがデザインしたミッドシップ車、ランチア・ストラトスHFがあったとされています。
1978年10月、パリ・モーターショー(ポルト・ド・ヴェルサイユ)のルノーブースに姿を現したのは、エンジンを積まない・走行できないモックアップでした。ボディパネルを外し、内部の機構がむき出しになった状態での展示です。「実用車のガワの中に、こんな仕掛けが隠れているのか」という驚きが来場者の話題をさらい、ルノー自身も公式ヘリテージサイトでこの展示を「センセーショナルだった」と振り返っています。
プロトタイプが実際に走行可能になったのは1978年3月ごろ。開発と並行して各地でテストが重ねられ、正式発表・市販開始は1980年1月のブリュッセル・モーターショーでした。パリでの"ガワだけ展示"から市販まで、実に1年以上のタイムラグがあったことになります。
出典・参考:Renault公式「The Originals Museum」(theoriginals.renault.com・R5ターボ解説ページ)/Car & Classic Magazine「The Homologators – Renault 5 Turbo」/Ate Up With Motor「Five by Five」。
FF車をミッドシップへ|前輪駆動を"捨てた"改造の全貌
ルノー5ターボのボディシェルは、たしかにベースのルノー5のものです。しかしターボで増幅されたパワーを路面へ確実に伝えるため、オリジナルの前輪駆動方式は放棄され、エンジン・トランスミッション・ディファレンシャルにいたるパワートレインのすべてが後部車軸の上へ移設されました。後部のトラック幅は標準のルノー5より約25cm拡大され、専用のクレードルでミッドシップユニットを支持。ミッションにはアルピーヌA310から派生した5速トランスアクスルが用いられ、サスペンションはダブルウィッシュボーン方式に一新されています。
当然、シャシーやボディにも大幅な強化が必要でした。特にワイドタイヤを装着するために拡げられた前後のオーバーフェンダーは、このクルマに実用車離れした迫力を与えることになります。リアゲート上部には大きなエアスポイラーが備わり、フロントにも大型のエアダムが装着されました。パワーユニットを積むボディ後半だけでなく、外観全体が「ラリーで勝つための道具」へと作り替えられていたのです。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/Ate Up With Motor「Five by Five: The Renault 5 and the Mid-Engine Renault 5 Turbo」/Car & Classic Magazine。
1,397ccで160PS|ホモロゲーションスペシャルの数値
エンジンは1,397ccの水冷直列4気筒OHV(Cléon-Fonteベース)。ボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射装置と、ギャレット(Garrett AiResearch)製T3ターボチャージャー、空冷式インタークーラーの組み合わせにより、最高出力160PS(158hp)/6,000rpm、最大トルク221N・m(22.5kgf・m)/3,250rpmを発揮します。ベーシックなルノー5に比べてパワーで約1.5倍、トルクでは実に3倍以上という大幅な引き上げです。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 型式・通称 | ルノー5(サンク)ターボ/R5 Turbo(初期型は「Turbo 1」とも通称) |
| 発表・生産期間 | 1978年パリモーターショーでモックアップ展示 → 1980年1月市販開始(1980年代半ばまで生産) |
| ホモロゲーション区分 | グループ4(400台の公道仕様生産が条件) |
| エンジン | Cléon-Fonteベース 1.4L直列4気筒OHV(ターボ+インタークーラー) |
| 排気量 | 1,397cc |
| 最高出力 | 160PS(158hp)/6,000rpm |
| 最大トルク | 221N・m(22.5kgf・m)/3,250rpm |
| 車両重量 | 約900〜970kg(Turbo1/Turbo2で差あり・後述) |
| 駆動方式 | MR(ミッドシップ・後輪駆動) |
| 最高速度 | 約200km/h |
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/automobile-catalog.com「1980 Renault 5 Turbo Specs Review(117.5kW/160PS/158hp)」/Ate Up With Motor。※一部の日本語資料では「162PS」という表記も見られますが、英語圏の一次資料(Wikipedia・automobile-catalog等)はいずれも160PSで一致しており、本記事では160PSを採用しています。
「Turbo 1」と「Turbo 2」|見た目は同じでも中身が違う
R5ターボには大きく分けて2つのバージョンがあり、区別のため前期型は「Turbo 1」、後期型は「Turbo 2」と通称されます。Turbo 1(1980〜1982年)は、ドアやルーフにアルミニウムを使った軽量外板と、ベルトーネ製の専用シート・専用ダッシュボードを備えた仕様で、車重は約900kg。生産台数は1,820台でした。一方Turbo 2(1982年以降)は、アルミ外板をスチールに置き換えてコストを下げ、内装もルノー5アルピーヌ/ゴルディーニ由来の標準的なものに変更。車重は約970kgとやや重くなっていますが、生産台数は3,167台とTurbo 1を大きく上回ります。エンジン出力は両者ともほぼ同水準の160PS級で、Turbo 2は最高速200km/h・0-100km/h 6.9秒という数値が確認されています。
つまり「Turbo 1」は軽さを追求したホモロゲーション優先の希少仕様、「Turbo 2」はコストと量産性を重視した実用寄りの仕様、という棲み分けです。総生産台数は合計4,987台。世界に4,987台しかない、それ自体が希少な存在といえます。
- Turbo 1:アルミ外板・専用内装・約900kg・1,820台(1980〜1982年)
- Turbo 2:スチール外板・標準内装・約970kg・3,167台(1982年〜1980年代半ば)
- 合計生産台数:4,987台
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/Ran When Parked「1980 Renault 5 Turbo: What Sets This Classic Car Apart?」/Car & Classic Magazine。
グループ4規定「400台」がもたらした量産ホットハッチ
R5ターボが「なぜ実用車をベースにここまでの改造車を市販したのか」の答えは、モータースポーツのホモロゲーション規定にあります。当時のグループ4規定では「12ヶ月以内に400台以上の公道仕様を生産すれば、追加の進化型としてホモロゲーション申請ができる」というルールがありました。ルノーはこの400台という条件を満たすため、ミッドシップに大改造したR5ターボを市販車として世に送り出したのです。
1980年末までに400台の生産を達成し、1981年のモンテカルロラリー参戦にグループ4ホモロゲーションが間に合いました。なお、この「400台」という数字は車種・規定年により異なり、BMW M3のグループA規定(500台)など他の名車のホモロゲーション台数と混同されがちなので注意が必要です。R5ターボの場合は400台が正しい数字です。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/Grassroots Motorsports「Homologated rally specials: When crazy ruled the streets」。
海外オークションでは1,000万円超も|今のR5ターボ相場
海外のクラシックカーオークションでは、近年R5ターボの落札実績が着実に積み上がっています。2025年2月、RM Sotheby'sパリオークションでは1984年式Turbo 2が103,500ユーロ(現在のレートで約1,900万円)で落札。2024年3月のRM Sotheby'sドバイでは1985年式Turbo 2が103,500ドル(現在のレートで約1,677万円)、2024年4月のBonhams Cars(グッドウッド)では1984年式Turbo 2が57,500ポンドで落札されています。オンラインオークションのBring a Trailerでは、Turbo 2が160,000ドル(現在のレートで約2,592万円)という同プラットフォーム記録を樹立した実績もあります。
日本国内では、旧車王による買取実績として1986年式Turbo 2(不動車・走行6.9万km)が220万円、1989年式(不動車・走行4.6万km)が300万円という事例が公開されています。ただし国内の明確な相場レンジを示す一次情報は限られており、状態や走行可能かどうかで大きく変わる点には注意が必要です。
- 欧州最高値クラス:2025年2月RM Sotheby'sパリで103,500ユーロ(現在のレートで約1,900万円)
- 米国相場:Bring a Trailer記録160,000ドル(現在のレートで約2,592万円)、RM Sotheby'sドバイで103,500ドル(約1,677万円)
- 国内買取実績:旧車王調べで220万〜300万円(いずれも不動車の個別事例)
- 総評:状態・走行可否・希少なTurbo 1か量産型のTurbo 2かで評価額に大きな差が出る
出典・参考:RM Sotheby's(2025年2月パリ・2024年3月ドバイのオークション結果)/Bonhams Cars(2024年4月グッドウッド)/The Car Guide「Renault 5 Turbo 2 Sells for 220,000 USD on Bring a Trailer」/旧車王(買取実績事例)。※為替はいずれも現在のレート(2026年7月時点・1ユーロ≒184円、1ドル≒162円)で換算した目安です。
※相場は時期・状態・走行距離・個体のヒストリーで大きく変わります。オークション結果は個体差が非常に大きいため、あくまで参考としてご覧ください。最新の価格・在庫は各中古車ポータル・オークションハウスで必ずご確認ください。
「GT7で惚れて、いつか本物のR5ターボに」。その前に、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。旧車相場が動いている今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
グランツーリスモ7のR5ターボ|スペックと入手方法
グランツーリスモ7には、R5ターボが「RENAULT R5 (cinq) Turbo '80」という正式表記で収録されています。エンジン型式表記は「Cleon-Fonte-C6J-R5」で、実車のCléon-Fonteベースエンジンをそのまま反映した名称です。
- PP値:399.87(パワー159HP・重量2,138lbs=約970kg)
- 駆動方式:MR(ミッドシップ・後輪駆動)
- ゲーム内価格:約154,200Cr
- 入手方法:中古車(Used Cars)として購入
実車同様、小さな車体にミッドシップレイアウトを組み合わせた軽快なハンドリングが持ち味。159HPという数値だけ見ると控えめですが、約970kgという軽量ボディと組み合わさることで、パワーウェイトレシオに優れたキビキビとした走りを楽しめます。ちなみにGT7ではエンジンスワップにも対応しており、日産シルビアS15のSR20DETエンジンに換装すると159HPから246HPまでパワーアップが可能です(入手方法はレア報酬のルーレットまたはGTAuto整備メニューでの購入)。
出典・参考:kudosprime.com(GT7内データベース・PP値399.87、ゲーム内価格約154,200Cr、エンジンスワップ情報)。
※クレジット価格・PP値・入手条件はゲームのアップデートで変動します。最新はゲーム内でご確認ください。
ハンコンで乗るともっと気持ちいい|機材ガイド
GT7でR5ターボをさらに楽しむなら、ハンドルコントローラー(ハンコン)がおすすめです。自分でハンドルを握る感覚は、コントローラーとは別物。軽量ボディ+ミッドシップの俊敏さを操る楽しさが、グッと現実に近づきます。ここでは、GT7を"実車感覚"で楽しむための機材を「まず必須」と「あるとより楽しい」に分けて紹介します。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、"自分でハンドルを握る"運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
📶 オンライン対戦も楽しむなら|回線も"快適"に
GT7の醍醐味のひとつが、世界中のプレイヤーと走れるオンライン対戦です。
でも回線が遅い・不安定だと、ラグで思うように勝負できません。
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※特典・料金は時期により変わります。最新は各公式サイトでご確認ください。
実車を維持する vs ゲームで乗る|コスパ比較
① 実車R5ターボを所有・維持する費用
R5ターボは1980年代前半デビューの旧車で、生産台数も4,987台と希少です。
維持費は一般的な旧車よりさらに高めになりがちです(左ハンドル輸入車の部品調達、13年超の自動車税重課、専門ショップでの整備が前提になること等)。
年間の目安はこのくらいです。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(1.4L級・13年超の重課) | 約4万円 |
| 任意保険(希少な輸入旧車・車両保険込み) | 約12〜25万円 |
| 車検(2年分を1年換算・専門ショップ前提) | 約10〜20万円 |
| 整備・部品(輸入専用パーツ・オーバーフェンダー等) | 約25〜70万円 |
| 駐車場・保管(防犯・屋内保管想定) | 約10〜50万円 |
| 燃料・消耗品 | 約10〜20万円 |
| 年間合計(目安) | 約71〜185万円 |
さらに、購入費が700万〜2,600万円超(前章の中古相場)かかります。
② GT7で"実車感覚"を味わう機材コスト
一方、GT7でR5ターボを「実車感覚」で走らせる機材は買い切り(初期費用のみ)。
一度そろえれば、あとは電気代くらいです。
| 機材 | 価格の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6.6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| ハンドルコントローラー(エントリー) | 約2.5〜4万円 |
| レーシングコックピット(任意) | 約2〜5万円 |
| PS VR2(任意・没入感アップ) | 約7.5万円 |
| 一式(目安) | 初期 約10〜25万円+以降ほぼ0 |
③ コスパ比較の結論
- 実車:初期 700〜2,600万円超 + 毎年 71〜185万円
- ゲーム:初期 10〜25万円 + 以降ほぼ0
ゲーム機材一式は実車のたった1年分の維持費以下でそろい、しかも希少部品探し・盗難・天候の心配なし。ハンコン+VRを使えば、ミッドシップならではの荷重移動まで、かなり実車に近い感覚で走れます。
「いつか本物のR5ターボを」と思っている人も、それまでの間はGT7で憧れの一台に乗り続けられます。
まずはハンコンから始めるのが、一番コスパよく"実車感覚"に近づく方法です。
さらに没入感を求めるならVRも。
R5ターボの実車に触れる|展示・ヘリテージ
「4,987台しか作られていないなんて、本物を見る機会はないのでは」と思うかもしれませんが、ルノー自身が大切に扱っているヘリテージ資産だからこそ、公式サイトや展示での露出は少なくありません。
🏛 ルノー公式ヘリテージとして|The Originals Museum
ルノー公式の「The Originals Museum」(theoriginals.renault.com)には、R5ターボの360°ビュー・実車解説ページが存在します。ルノー自身がこの一台を公式ヘリテージ資産として位置づけている証拠であり、単なる旧車ではなく「フランス車史を語る一台」として扱われていることがわかります。ルノーの車両保存部門「Renault Classic」は、1898年の創業以来の歴史をたどる740台超のコレクションを保有しており、2027年には新たなヘリテージ博物館の開館も計画されています。
出典・参考:Renault公式「The Originals Museum」(theoriginals.renault.com/en/r5-turbo)/Old Cars Weekly・Motorious(Renault Classicコレクション・2027年新博物館計画の報道)。
🏁 ワンメイクレース|Renault 5 Turbo European Cup
ルノーはR5ターボの露出を高める仕掛けとして、1981年に「Renault 5 Turbo European Cup」という、ターボエンジン搭載車のみによる史上初のワンメイク・フォーミュラを開催しました。市販車としての魅力だけでなく、単独のレースシリーズを立ち上げるほどルノーが力を入れていたモデルだったことがうかがえます。
出典・参考:Renault公式「The Originals Museum」(1981年 Renault 5 Turbo European Cup開催記録)。
ジャン・ラニョッティとR5ターボ|WRCでの活躍
🥇 1981年モンテカルロラリー|ターボ車初優勝
1981年モンテカルロラリーで、ジャン・ラニョッティ/ジャン=マルク・アンドリエ組が駆るR5ターボが総合優勝を果たしました。これはターボエンジン搭載車としてWRC史上初の優勝という記念すべき勝利です。2位のギー・フレクラン(タルボ・サンビーム・ロータス)に約3分もの大差をつけての完勝でした。市販開始からわずか1年、しかもグループ4ホモロゲーション取得直後という好タイミングでの快挙です。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/各種WRC専門メディア(1981年モンテカルロラリー戦績・ラニョッティ/アンドリエ組の優勝、2位フレクランとの差)。
🏔 1982年ツール・ド・コルス|ホームでの勝利
ラニョッティは翌1982年のツール・ド・コルスでも優勝を飾ります。この時使用されたのはグループ4規定の競技用チューン(ホモロゲーション取得後の工場チューンで、公道仕様の160PSより高出力な仕様)でした。フランスのメーカーがフランス領コルシカ島のラリーで勝つという、まさにホームでの勝利です。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/専門メディア各種(1982年ツール・ド・コルス戦績)。
ここで注意したいのが、競技用チューンの呼び方です。R5ターボはラリーごとに工場チューンのレベルが異なり、「Critérium des Cévennes(クリテリウム・デ・セヴェンヌ)」向けには180PSまで、「Tour de Corse(ツール・ド・コルス)」向けには210PSまで引き上げたバージョンが使われました。いずれも公道仕様(160PS)とは異なる競技専用のチューンレベルであり、「市販車も210PS出る」というのは誤りです。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」(Cévennes仕様180PS・Tour de Corse仕様210PSの工場チューン記録)。
マキシターボへ|R5ターボが遺したもの
グループ4規定がグループBへと切り替わったのを受け、ルノースポールは1984年末、R5ターボをベースにした進化型「マキシターボ(Maxi Turbo)」を投入しました。ホモロゲーション用に200台が生産され(車台番号「8221」で識別)、アルミ製ルーフや1,436ccへの排気量拡大エンジンなど、さらなる改良が加えられています。競技用エンジンはのちに1,527ccまで拡大され、過給係数を掛け合わせた「2,138cc相当」としてグループBの排気量区分に対応。開発型式は「C7K」で、出力は350〜360PS級まで強化されました。空力面でも、ボンネットの通気口、フェンダー一体型のエアロパーツ、大型リアスポイラーなど、市販のTurbo 1/Turbo 2とは一線を画す本格競技仕様に仕上がっています。
マキシターボは、アウディ・クワトロやランチア037といったグループBの強豪を相手に善戦。1985年のツール・ド・コルスでは、ラニョッティ/ピエール・ティモニエ組が駆るマキシターボが優勝を飾りました。ただしこの1985年の勝利は、市販のTurbo 1/Turbo 2ではなくグループB仕様の「マキシターボ」によるものである点は、正確に区別しておきたいところです。1986年末のグループB廃止に伴い、ルノーは1987年からグループA規定の「11ターボ」へとスイッチしていきます。
出典・参考:Wikipedia「Renault 5 Turbo」/rallygroupbshrine.org「Renault 5 Turbo & Maxi Turbo (Group B)」/theoriginals.renault.com「Maxi 5 Turbo」(ホモロゲーション200台・1,527cc・350PS級のスペック詳細)。
R5ターボを見て楽しむ|映画・漫画・著名人
🎬 007「Never Say Never Again」|Turbo 2が疾走
1983年公開の007シリーズ番外編「Never Say Never Again(ネバーセイ・ネバーアゲイン)」(ショーン・コネリー主演)では、悪役ファティマ・ブラッシュ(バーバラ・カレラ)がR5ターボのTurbo 2を運転し、フランス・コートダジュールのヴィルフランシュ=シュル=メールからマントンにかけての狭い路地を疾走するシーンがあります。ボンドはバイクで追跡するという、当時の007らしい派手なカーチェイスシーンです。作品に登場するのは市販車のTurbo 2であり、競技用のマキシターボではない点も押さえておきたいポイントです。
出典・参考:motoringconbrio.com「Cinematic cars: Renault 5 Turbo in 'Never Say Never Again' (1983)」/IMCDb.org(Internet Movie Cars Database)掲載車両情報。
📖 『ドラゴンボール』|ブルマの初登場シーンに"実在のR5ターボ"
日本の読者にとって最も身近な"R5ターボの登場作品"は、意外にも『ドラゴンボール』かもしれません。鳥山明が描いた同作第1巻、ドラゴンボールを探して山中を車で走るブルマの初登場シーンで運転していた車が、実在のルノー・サンクターボであることが車系専門メディアでも確認されています。作中では、幼少期の孫悟空が車を「モンスター」と誤認して持ち上げ、投げ飛ばしてしまうという有名なくだりがあり、ドラゴンボールという物語の記念すべき1台目の車という位置づけです。
出典・参考:powerturtle.net「鳥山明が描いた名車:ドラゴンボールに登場する実車10選」/pixiv百科事典「カプセルコーポレーション」関連記事。
🌟 著名な所有者・関連人物
英国俳優のローワン・アトキンソン(Mr.ビーンで知られる)は、R5ターボの後継量産グレードにあたる「ルノー5 GTターボ」のワンメイクレースに参戦した経歴があります。無論、GTターボは市販のミッドシップR5ターボそのものとは別モデルであり、あくまで"血統上の後継車"にあたる点は区別しておきたいところです。
出典・参考:CarBuzz「Rowan Atkinson's Car Collection」関連記事。
🚙 実際に運転すると|"見た目ほど快適ではない"というリアルな声
海外の実車レビューでは、R5ターボの"実用車らしからぬ癖"が率直に語られています。ベルトーネ製の攻めたシート形状のせいでシフトノブがシート生地に引っかかり、リバースギアへの変速が難しいこと。計器盤にウインカーのインジケーターが見当たらず、エンジン音でカチカチという点滅音も聞こえないため、うっかりウインカーを点灯させたまま走ってしまうこと。エンジンが運転席のすぐ後ろにあるため遮熱が不十分で、車内が非常に暑くなること。そして典型的な1980年代ターボ車らしい強烈なターボラグ。「踏んでも無反応、無反応、無反応……ときて、急に飛び出す」という加速感。ある海外メディアのレビューでは「実用というより、鑑賞用のショーピースとして輝く一台」とまで評されています。
出典・参考:The Drive「1980 Renault 5 Turbo Review: An '80s Time Capsule Best Left Parked」。
🎁 手元に置いて楽しむ|モデルカー
手元でR5ターボを楽しむなら、プラモデルが充実しています。定番はタミヤの1/24「ルノー5ターボ」(市販車仕様・品番24368)。2024年9月に25年ぶりに復活した再販キットで、価格は2,750円。もう一つ、タミヤ1/24「ルノー5(サンク)ターボ・ラリー仕様」(品番24027)もあり、こちらはドライバー人形・4灯補助ランプ・室内ロールバーなどラリーマシンならではの装備を再現しています。
📖 書籍
R5ターボについてもっと深掘りしたいなら、海外のクラシックカー専門誌やホモロゲーションスペシャルを扱うムック本で、開発秘話やラリー戦績の解説が確認できます。日本語では、グループB車両を特集したラリー史の書籍でR5ターボ・マキシターボの解説が触れられていることがあります。
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R5ターボのよくある質問
Q. R5ターボ(ルノー・サンクターボ)とは、どんな車ですか?
A. 1978年のパリ・モーターショーにボディパネルを外した状態で展示され話題を呼び、1980年に市販が始まったホモロゲーションスペシャルです。実用的なFF車ルノー5をベースに、エンジン・トランスミッション・ディファレンシャルを後部車軸上へ移設したミッドシップ2WD(後輪駆動)車で、世界初の量産ミッドシップ・ホットハッチともいわれます。
Q. R5ターボのスペック(馬力・排気量)は?
A. Cléon-Fonteベースの1,397cc水冷直列4気筒OHVエンジンに、ボッシュ製Kジェトロニック燃料噴射装置とギャレット製ターボチャージャー、空冷式インタークーラーを組み合わせ、最高出力160PS(158hp)/6,000rpm、最大トルク221N・m(22.5kgf・m)/3,250rpmを発揮します。
Q. 「Turbo 1」と「Turbo 2」の違いは何ですか?
A. 前期型のTurbo 1(1980〜1982年・1,820台)はアルミ製の軽量外板と専用内装を備え車重約900kg。後期型のTurbo 2(1982年以降・3,167台)はコスト削減のためスチール外板と標準的な内装に変更され、車重は約970kgです。エンジン出力はどちらもほぼ同水準の160PS級です。
Q. R5ターボはWRCで活躍しましたか?
A. はい。1981年モンテカルロラリーでジャン・ラニョッティが優勝し、これはターボエンジン搭載車としてWRC史上初の勝利でした。1982年ツール・ド・コルスでも優勝しています。なお1985年のツール・ド・コルス優勝は、市販車ではなくグループB仕様の「マキシターボ」によるものです。
Q. R5ターボの中古相場はいくらですか?
A. 海外オークションでは、2025年2月のRM Sotheby'sパリで1984年式Turbo 2が103,500ユーロ(現在のレートで約1,900万円)、Bring a TrailerではTurbo 2が160,000ドル(現在のレートで約2,592万円)という記録があります。日本国内は旧車王の買取実績で220万〜300万円という事例が確認できますが、状態や走行可否で大きく変わるため、最新は各中古車ポータル・オークションハウスでご確認ください。
Q. グランツーリスモ7でR5ターボに乗れますか?
A. 乗れます。「RENAULT R5 (cinq) Turbo '80」として収録されており、中古車として購入できます(PP値399.87・159HP・約154,200Cr。収録内容・価格はアップデートで変動します)。
R5ターボは「実用車の皮を被った"怪物"」
R5ターボは、実用的なFFハッチバックのボディシェルをまといながら、中身はエンジン・トランスミッション・ディファレンシャルを丸ごと後部車軸に移設したミッドシップ2WDという、"羊の皮を被った狼"のようなホモロゲーションスペシャルです。1978年パリ・モーターショーでの"ガワだけ展示"という異色のお披露目から、1981年モンテカルロラリーでのターボ車初優勝、そしてグループB「マキシターボ」への進化まで、フランスのラリー史に太い一本の筋を通した存在といえます。
実車は総生産台数4,987台という希少性から、海外オークションでは1,000万円を超える高値がつくこともあり、維持にも相応の覚悟が必要ですが、グランツーリスモ7なら「RENAULT R5 (cinq) Turbo '80」としてそのまま収録されており、維持費を気にせず"ミッドシップ・ホットハッチ"のステアリングを握れます。見て楽しむなら、007のカーチェイスシーンや、まさかの『ドラゴンボール』ブルマの愛車としての一面も味わい深いポイントです。
ゲームで惚れて、いつか本物に。その入り口として、R5ターボは"実用車の皮を被った怪物"というギャップにふさわしい一台です。もし「実車を」と思ったら、まずはいま乗っている愛車の価値を調べることから始めてみてください。
ルノー・スポールの系譜もチェック
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