
アストンマーティン ヴァルカンとは、アストンマーティンが2015年に発表し、世界で24台だけ作ったサーキット専用車です。7.0リッターのV12を過給器なしで積み、831PSを後輪だけで受け止めます。
結論から言うと、この車は「速さ」よりも公道を走る権利を最初から手放した割り切りで記憶される1台です。
24台という数字は、ル・マン24時間レースの1時間につき1台という意味で決められています。ナンバーが付かない車を24台だけ作り、買った人はサーキットでしか動かせません。
グランツーリスモ7には「アストンマーティン ヴァルカン '16」として収録されています。この記事では、開発の狙いとスペック、資料によって数字が割れる理由、いまの取引価格、そしてGT7での走らせ方までまとめました。
ヴァルカン|24時間を24台に置きかえた、公道を捨てた旗艦
誕生の物語|2015年ジュネーブ、ナンバーの付かない旗艦として現れた
ヴァルカンは2015年のジュネーブ・モーターショーで公開されました。アストンマーティンにとっては、One-77に続く少量生産の旗艦にあたります。ただしOne-77と決定的に違うのは、最初から公道を走らせるつもりがなかったという一点です。
市販車には、衝突安全や排出ガス、灯火類の位置に至るまで、国ごとの決まりごとがついて回ります。それを満たすために、本来なら不要な補強や装備が積み重なっていきます。ヴァルカンはその条件を最初から外しました。ナンバーを諦めるかわりに、レースカーの作り方をそのまま市販の枠に持ち込むことができたわけです。
生産は2015年から2016年にかけて、イギリス・ゲイドンの工場で行われました。台数は24台。ル・マン24時間レースの1時間ごとに1台という決め方で、アストンマーティンがル・マンに長く関わってきた歴史がそのまま数字になっています。
車名の由来|イギリスの爆撃機から借りた名前
「ヴァルカン」という名前は、イギリスのアブロ・ヴァルカンという爆撃機から取られています。1950年代に作られた三角形の主翼を持つ機体で、イギリスの航空史では広く知られた存在です。
偶然が重なったのは、この機体の現役最後の飛行が、車が公開されたのと同じ2015年だったことです。空を離れる年に、同じ名前が地上で走り出したことになります。アストンマーティンはイギリスのメーカーなので、自国の航空機から名前を借りるのは筋の通った選び方でした。
スペック|数字で見るヴァルカン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 生産年 | 2015〜2016年 |
| 生産台数 | 24台 |
| エンジン | 6,949cc 自然吸気 V型12気筒 |
| 最高出力 | 831PS(820bhp)/7,750rpm |
| 最大トルク | 780Nm/6,500rpm |
| トランスミッション | Xtrac製 6速シーケンシャル(パドルシフト) |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) |
| 車両重量 | 1,350〜1,360kg(資料により差あり) |
| ボディ構造 | カーボンファイバー製ボディ |
| 発表当時の価格 | 180万ポンド(当時のレートで約230万ドル) |
| 公道走行 | 不可(サーキット専用) |
※出典により表記が分かれる項目は幅で記載しています。詳しくは後述の「数字が資料で割れる理由」を参照してください。
7.0リッターV12|押し込まずに排気量で取りにいった
ヴァルカンの心臓は、6,949ccという数字がそのまま性格を表しています。約7.0リッター。ターボもスーパーチャージャーも付けず、自然吸気のまま831PSを出しています。
過給器は、小さいエンジンに空気を押し込んで大きい仕事をさせるための装置です。ヴァルカンはその逆で、最初から大きい排気量を積むことで空気の量を確保しました。この作り方の利点は、アクセルを踏んだ瞬間から力が出ることと、回転が上がっていく音がそのまま連続することです。
ベースになったのは、アストンマーティン・レーシングがGT3クラスなどで積み上げてきたV12の系譜です。レース用の設計思想を市販の車体に載せているため、回転数を上げる前提で組まれている点が普通のロードカーと違います。最高出力の発生回転数は7,750rpm。市販のV12としてはかなり高いところに置かれています。
出力を3段階に切り替える|いきなり831PSは渡さない
ヴァルカンで面白いのは、出力そのものを運転席から切り替えられることです。ダイヤルで3段階を選べる仕組みになっています。
| モード | 出力の目安 | 想定される使い方 |
|---|---|---|
| 低 | 約507PS | コースと車に慣れる段階 |
| 中 | 約684PS | 扱いに余裕が出てきた段階 |
| 高 | 831PS(全開) | 車を完全に把握してから |
831PSを後輪だけで受け止める車は、慣れないうちは立ち上がりで簡単に姿勢を崩します。そこで、いきなり全部を渡すのではなく、段階を踏んで出力を開けていく設計にしてあります。アストンマーティンは購入者向けに走行プログラムも用意しており、車と一緒に「乗れるようになる過程」まで込みで売った形です。
骨格|One-77から続く「軽い骨に薄い皮」の考え方
ヴァルカンの車体は、カーボンファイバーを主役にした構成です。アストンマーティンは先行するOne-77でカーボンの骨組みを使っており、ヴァルカンはその流れの上に立っています。
狙いは単純で、重さを増やさずに硬さを稼ぐことです。骨が硬いほどサスペンションは設計どおりに動き、タイヤが路面を押す力を素直にコントロールできるようになります。1,350〜1,360kgという車重は、7.0リッターV12を積んだ車としては軽い部類に入ります。
外まわりも徹底していて、フロントスプリッターからリアウィング、車体下面のディフューザーまで、空気で車体を路面へ押しつけるための形が与えられています。サーキット専用と割り切ったからこそ、視界や乗り降りのしやすさを犠牲にしてでも空力を優先できたという関係です。
コクピット|レーシングカーの中身をそのまま積む
室内を見ると、この車が何を優先したかが一目で分かります。座席はカーボンファイバー製のレカロ製バケットシートで、体を6点式のハーネスで固定します。乗り降りのしやすさより、横方向の力に耐えて体が動かないことを優先した作りです。
ステアリングホイールはF1のような角形で、取り外しができます。これはデザインではなく実用で、固定された座席とロールケージのあいだから体を出し入れするには、ハンドルが邪魔になるからです。スタートボタンとシフトパドルもこのハンドルに付いています。
車体にはFIA基準に適合したスチール製のロールケージが組まれています。シャシーの製作にはモータースポーツ分野で実績のあるマルチマチックが関わっており、サスペンションもレース用の仕様です。内装のほとんどがカーボンで、普通の車なら当然ある内張りや遮音材が省かれている点も、この車が何を捨てて何を取ったかを表しています。
同時代の顔ぶれ|2015年前後はサーキット専用車が続いた
ヴァルカンが出た2015年前後は、各メーカーが公道を走らないハイパーカーを相次いで用意した時期でした。いずれも買える人が招待制で絞られ、車と一緒に走行の機会まで提供する売り方が共通しています。
| 車 | エンジンの構成 | 特徴 |
|---|---|---|
| アストンマーティン ヴァルカン | 6.9リッター V12(自然吸気) | 過給器を使わず排気量で出力を作る。831PS |
| フェラーリ FXX K | V12+電気モーター | ハイブリッドで1,000PS超の領域へ。メーカー側が車両を管理する運用 |
| マクラーレン P1 GTR | V8ターボ+電気モーター | 公道版P1をサーキット専用に仕立て直した構成。900PS超 |
3台を並べると、ヴァルカンの立ち位置がはっきりします。他の2台が電動化と過給で数字を積み上げたのに対し、ヴァルカンは自然吸気の大排気量という古い作り方を選びました。最高出力の数字では届きませんが、アクセルへの反応と音の連続という点では、この構成にしか出せないものがあります。
ル・マンとアストンマーティン|24という数字の背景
24台という数字がル・マン24時間から来ている以上、アストンマーティンとこのレースの関係にも触れておく価値があります。
アストンマーティンは戦後からル・マンに参戦を続け、1959年にDBR1で総合優勝を果たしています。キャロル・シェルビーとロイ・サルヴァドーリが乗った1台で、このメーカーにとって唯一の総合優勝です。以降もクラス優勝やGTカテゴリーでの参戦を長く続けてきました。
つまり24台という台数は、単に少なく作るための数字ではありません。そのレースに関わり続けた時間そのものを、台数という形で残したものです。25台でも23台でもいけない理由が、ここにあります。
AMR Proパッケージ|2017年に足された「もう一段」
2015〜2016年に24台を作り終えたあと、アストンマーティンは2017年にAMR Proパッケージを用意しました。エンジンの出力は変えず、主に空力と減速比に手を入れた内容です。
- ダウンフォースを約27%増やした。車体を路面へ押しつける力が増え、コーナーでの余裕が広がります
- リアウィングを2枚構成にし、ガーニーフラップを追加した。ウィングの後端を立てて、空気の流れをより強く曲げる部品です
- フロントにダイブプレーンを追加した。前側の押しつけ力を足し、前後のバランスを取り直しています
- ファイナルギア比を短くした。最高速より加速を優先する方向の変更です
つまりAMR Proは、直線で伸ばすのではなく、曲がるところで速くするための更新です。サーキットでしか使わない車なので、この方向に振るのは理にかなっています。後述する中古市場でも、AMR Pro装着かどうかは見どころの1つになります。
公道を走るヴァルカン|1台だけ存在する例外
サーキット専用として作られたヴァルカンですが、イギリスのエンジニアリング会社RMLグループが、アストンマーティンの協力のもとで1台を公道仕様に改造しています。
作業にはおよそ18か月がかかりました。排出ガスの基準に合わせるためにエンジンの制御を書き直し、排気系も新調しています。それに合わせて冷却も見直し、クラッチとギア比は街中で扱えるように変更、車高を上げ、灯火類も公道用に組み直しました。
公道仕様化にあたって、車高の調整、ヘッドライトの組み込み、排出ガス対応のマッピング変更、ギア比の変更、サスペンションの手直しが行われ、出力そのものは維持された。
RML Group による公道仕様化の内容(各種報道より要約)
24という数字が持っている意味
限定台数を車名や売り方に持ち込む車は珍しくありませんが、ヴァルカンの24台にははっきりした由来があります。ル・マン24時間レースの1時間につき1台。
アストンマーティンはル・マンに長く参戦してきたメーカーで、1959年には総合優勝も経験しています。その歴史を、台数という取り消しのきかない形で残したのがヴァルカンです。あとから増やせば意味が崩れるので、24台という数字自体が約束になっています。
7.0リッターV12の音
ヴァルカンの評価でよく挙がるのが音です。過給器が付いていないため、排気の音がターボやマフラーに一度吸われることなく外へ出てきます。ターボ車の音が「回転が上がるにつれて風の音が混ざる」性格なのに対し、自然吸気のV12は回転数と音の高さがまっすぐ比例します。
12気筒は爆発の間隔が細かく、回転が上がるほど音がつながって聞こえます。7,750rpmという高い回転まで引っ張る設計なので、その連続する音が長く続くことになります。サーキット専用として遮音材を省いたことも、室内で音がそのまま聞こえることにつながっています。
ヴァルカンが残したもの|ヴァルキリーへの橋渡し
ヴァルカンのあと、アストンマーティンはヴァルキリーという次の旗艦を出します。こちらはF1の設計者が関わり、1万1100回転までまわるV12を積んだ車です。2台のあいだには、はっきりしたつながりがあります。
- 少量生産の旗艦を続けて出すという会社としての方針
- 自然吸気のV12を選び続けたという技術的な立ち位置
- 買い手を絞り、走行の機会まで込みで売るという商売の形
ヴァルカンは、公道を捨てるという極端な条件で「どこまでやってよいか」を試した1台でもあります。そこで得た知見が、公道を走れる形にまとめ直されたのがヴァルキリーだ、と見ると2台の関係が分かりやすくなります。
数字が資料で割れる理由
ヴァルカンを調べていると、同じ項目で違う数字が出てきます。どれかが間違いというより、測り方と表記の単位が違うことがほとんどです。
| 割れる項目 | 見かける数字 | 理由 |
|---|---|---|
| 最高出力 | 831PS/820bhp/820hp | PSとbhpは別の単位です。820bhpをPSに直すと約831PSになり、どれも同じ1基を指しています |
| 車両重量 | 1,350kg/1,360kg | 乾燥重量と、油脂類を入れた状態の差です。資料によってどちらを載せるかが分かれます |
| 車体構造 | カーボンモノコック/アルミ合金シャシー+カーボンボディ | 骨組みの呼び方と、外板の素材のどちらを主語にするかで表現が変わります |
| 価格 | 180万ポンド/約230万ドル | 発表当時の為替で換算した数字です。時期によって円やドルでの見え方が動きます |
記事によって数字がぶれて見えるときは、単位・計測条件・時点のどれが違うのかを先に見ると整理できます。
ヴァルカンは今いくらで取引されているのか
2026年1月の落札結果|予想を下回った
ヴァルカンは24台しかなく、公の場に出てくる機会も限られます。そのなかで参考になるのが、2026年1月23日にRMサザビーズのアリゾナ・オークションで成立した1台です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催 | 2026年1月23日/RMサザビーズ アリゾナ |
| 車両 | 2016年式 ヴァルカン(AMR Proパッケージ装着) |
| 走行距離 | 100km未満 |
| 事前予想 | 150万〜180万ドル |
| 落札価格 | 約104万ドル(落札手数料込み) |
事前予想を下回った結果でした。発表当時の180万ポンド(約230万ドル)と比べると、おおむね半分程度の水準まで落ちたことになります。走行距離が100km未満のワンオーナー車で、AMR Proまで付いていたことを考えると、状態が理由ではないと見るのが自然です。
市場全体の相場観としては、おおむね100万〜180万ドルの範囲で語られています。ただし年に何台も動く車ではないため、1台の結果が全体の印象を大きく動かします。数字を見るときは「何台ぶんの平均なのか」まで見ておくと誤解が減ります。
なぜ台数が少ないのに値が伸びないのか
限定車は台数が少ないほど値が上がる、と考えられがちです。ヴァルカンはその例から外れています。理由はいくつか重なっています。
- 買っても走らせる場所を自分で用意する必要がある。サーキットを借り、車を運び、体制を組んで、ようやく1回動かせます
- 公道を走れないので日常の使い道がない。天気のいい日にふらりと出す、という乗り方ができません
- コレクションとしては置き場所を選ぶ。動かさずに飾るにも、専用の保管環境が要ります
- 同時期に似た性格の車が複数出た。サーキット専用ハイパーカーという枠自体に、買い手が分散しました
つまり希少性はあっても、使える場面が限られているという点が価格に出ています。同じ台数でも、公道を走れる限定車のほうが買い手の裾野は広くなります。逆に言えば、走らせる体制をすでに持っている人にとっては、実力に対して割安に手に入る時期とも言えます。
探すときに見ておきたいところ
- AMR Proパッケージの有無。空力と減速比が変わるため、車としての性格が違います
- 走行距離と稼働歴。サーキット専用車なので、走行距離が短いほど部品の消耗も少ない傾向です
- メーカーの走行プログラムへの参加歴。記録が残っている個体は、扱われ方をたどりやすくなります
- 保管環境。カーボン外板と専用部品を持つ車なので、保管の条件がそのまま状態に出ます
- 受け入れ先の整備体制。買ったあとに面倒を見られる工場があるかどうかは、価格と同じくらい重要です
※価格・出品状況は時期によって変わります。最新の情報は各オークションハウスや販売店の公式発表でご確認ください。
グランツーリスモ7のヴァルカン
GT7での収録内容
グランツーリスモ7には「アストンマーティン ヴァルカン '16」の名前で収録されています。ゲーム内のスペックはこのとおりです。
| 項目 | GT7での表示 |
|---|---|
| PP(パフォーマンスポイント) | 約754〜756(アップデートで変動) |
| 最高出力 | 832PS/7,500rpm |
| 最大トルク | 81.6kgfm/6,500rpm |
| 車両重量 | 1,360kg |
| 駆動方式 | FR |
| 排気量・吸気 | 6,949cc 自然吸気 |
| 入手方法 | ブランドセントラル(招待状が必要) |
| 価格 | Cr.330,000,000 |
PPは資料によって754.21と756.36が並んでいます。ゲーム側のアップデートで調整が入る値なので、細かい小数まで一致していなくても異常ではありません。おおよそ750台の後半、と押さえておけば十分です。
注意したいのは招待状が必要な車だという点です。クレジットを持っていても、招待が届いていない期間は買えません。しかも価格がCr.3億3,000万と、ゲーム内でも最上位の部類に入ります。招待が来てから貯め始めても間に合わないので、狙うなら先にクレジットを用意しておく順番になります。
実車とGT7の数字を並べてみる
ゲーム内の数値が実車とどれだけ揃っているのかを並べると、GT7がこの車をどう扱っているかが見えてきます。
| 項目 | 実車 | GT7 |
|---|---|---|
| 排気量 | 6,949cc | 6,949cc |
| 吸気方式 | 自然吸気 | 自然吸気 |
| 最高出力 | 831PS/7,750rpm | 832PS/7,500rpm |
| 車両重量 | 1,350〜1,360kg | 1,360kg |
| 駆動方式 | FR | FR |
排気量と駆動方式はそのまま、出力も1PS差です。発生回転数だけ250rpm低く設定されていますが、これはゲーム内での計測条件の違いによるものと考えられます。数字の上ではほぼ実車どおりと見てよい収録内容です。
GT7でのヴァルカンの性格
832PS・1,360kg・FR。この3つの数字だけで、扱いの難しさはおおよそ想像がつきます。後輪2本で832PSを路面に伝えるので、コーナーの立ち上がりでアクセルを開ける速さがそのままタイムに出ます。
一方で、同じ出力帯の車と比べると車重は軽いほうです。止まる・向きを変えるという動きは思ったより素直で、重さで曲がらないタイプの車ではありません。難しさの出どころは重量ではなく、出力とタイヤの容量の差にあります。
自然吸気なので、パワーの出方はアクセルの動きに正直です。ターボ車のように「少し遅れてから一気に来る」ことがないぶん、踏んだ量がそのまま後輪に届くと考えて操作すると合わせやすくなります。
走らせ方のコツ
- 立ち上がりは我慢が要る。車体がまっすぐを向くまでアクセルを開けきらないほうが、結果として速く出られます
- ブレーキは早めに、そして一度で強く。1,360kgでも832PSぶんの速度が乗るので、減速に必要な距離は見た目より長くなります
- トラクションコントロールは最初1〜2から。慣れるまでは介入させたほうがタイムが安定します
- 縁石は跨がず、内側だけ舐める。空力に頼る車なので、車体が跳ねると押しつけ力が抜けます
- タイヤは1段上を試す価値がある。レーシングソフトで走り切れないコースなら、ミディアムのほうが速い場合があります
招待状を待つあいだにやっておくこと
この車は買いたいときに買えません。招待が届いてから動くのでは間に合わないので、それまでの時間の使い方が実質的な準備になります。
- Cr.3億3,000万を先に確保しておく。招待には期限があるため、届いた日に決められる状態を作っておきます
- ブランドセントラルのアストンマーティンを定期的に見る。招待の有無は購入画面で分かります
- 同じ性格の車で先に練習しておく。高出力のFRという点ではヴァルキリーやOne-77が近い挙動をします
- 使うコースを決めておく。PP750台後半で出られるイベントを先に把握しておくと、買った日から走れます
どのレースに連れて行くか
PPが750台後半なので、参加できるイベントは上位クラスに限られます。高速コーナーの多いコースでは空力が効き、長い直線を持つコースでは7.0リッターの伸びが素直に出ます。
- 直線の長い高速コース。自然吸気の伸びと最高速で有利になります
- 中高速コーナーが続くコース。ダウンフォースが仕事をするので、安定して踏んでいけます
- 低速コーナーが連続するコースは不得意です。立ち上がりのたびに我慢が必要になり、時間を取られます
セッティングで手を入れるなら
出力を上げる方向より、路面に伝わる量を増やす方向のほうが効きます。
| 項目 | 方向 | 狙い |
|---|---|---|
| ダウンフォース | リアを上げる | 立ち上がりで後輪が滑る量を減らします |
| LSD(初期トルク) | やや下げる | コーナー進入で内輪が引っかかる感じを減らします |
| 車高 | 前を少し下げる | 鼻先の入りをよくして、向きを変えやすくします |
| ブレーキバランス | わずかに前寄り | 強く踏んだときの後輪の落ち着きを優先します |
| ギア比 | 最終を短く | 立ち上がりを優先する構成にします(AMR Proと同じ考え方) |
とくにリアのダウンフォースを足すのは効果が分かりやすい調整です。実車のAMR Proがやったことと同じ方向なので、ゲームのなかで2017年の更新を追体験する形になります。
ハンコンで乗るともっと気持ちいい
ヴァルカンのように出力が大きくて後輪駆動の車ほど、ハンドル型のコントローラー(ハンコン)が効きます。後輪が滑り出す一歩手前でハンドルの手応えが変わるので、いま踏み足してよいかどうかを手で判断できるようになるからです。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、"自分でハンドルを握る"運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
Logicool G29は入門機ながら、後輪の荷重が抜ける瞬間をきちんと返してくれます。ヴァルカンのように立ち上がりで我慢が要る車では、この情報量の差がそのままタイムに出ます。
🎮 あわせて読みたいGT7おすすめハンコン比較G29から本格ダイレクトドライブまで、予算別に選び方を解説。 🎮 初心者ガイドグランツーリスモ7 初心者ガイド必要な機材と予算別の始め方。まずはPS5とソフトだけで十分です。実車を持つ vs ゲームで乗る
① 実車のヴァルカンを持つ場合
ヴァルカンはナンバーを取らないため、公道車のような税金や車検は発生しません。そのかわり、走らせるには走行枠を確保し、運搬し、専門の体制で整備する必要があります。年間の目安はこのくらいになります。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| サーキット走行枠(数回ぶん) | 約100〜400万円 |
| 運搬(トランスポーター手配) | 約50〜150万円 |
| 専門整備・エンジン点検 | 約150〜400万円 |
| 消耗品(レース用タイヤ・ブレーキ) | 約100〜300万円 |
| 保管(定温・定湿のガレージ) | 約30〜100万円 |
| 保険(車両保険・イベント保険) | 約50〜200万円 |
| 年間合計の目安 | 約480〜1,550万円 |
※サーキット専用車の一般的な運用費用から置いた目安です。走行回数・搬送距離・整備方針で大きく変わります。車両本体の取得費用は含みません。
② GT7で味わう場合
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約7〜8万円(1回) |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約7,000〜9,000円(1回) |
| ハンコン(Logicool G29など) | 約3〜5万円(1回) |
| ゲーム内でヴァルカンを買う | Cr.330,000,000(招待状が必要) |
| 年間の維持費 | 0円 |
※機材価格は時期・モデルによって変わります。最新は各販売店でご確認ください。
③ 結論
ヴァルカンは、買ったあとに「走らせる場所を毎回用意する」ことが前提の車です。年間の運用費だけで、GT7を始める費用一式の30倍を超える計算になります。しかも24台しかなく、公の場に出てくるのは年に数台という世界です。
一方GT7では、招待状さえ届けばゲーム内クレジットで手に入り、走らせるだけなら追加の費用はかかりません。サーキット専用として作られた車を、好きなコースへ何度でも持ち込めるという点で、この車はゲーム側の価値がとくに大きくなります。
実車のヴァルカンに触れる|どこで見られるか
24台という台数と、公道を走らないという性格から、街で偶然すれ違うことはまず起こりません。見る機会は次のような場に限られます。
🏁 サーキットの走行イベント
もっとも現実的なのが、オーナー向けの走行プログラムや、メーカー主催のトラックイベントに合わせて公開される場面です。走っている姿を見られる可能性があるのは、基本的にこうした機会に限られます。
🏛 自動車系ミュージアムの企画展
現代のハイパーカーを集めた企画展で展示されることがあります。ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館のように、現行世代の車を積極的に扱う館では、こうした車が並ぶ機会が比較的あります。常設ではなく企画展扱いになることが多いので、訪問前に公式サイトで開催中の展示を確認しておくと確実です。
🎬 映像で見る
走行の様子は、自動車系メディアが公開している走行取材の映像が実質的な資料になります。ヴァルカンは音が評価される車なので、静止画よりも映像のほうが伝わるものが多くなります。とくに回転が上がっていく場面は、自然吸気のV12がどういう音の出し方をするのかが分かりやすい部分です。
走行シーンを探すときは、AMR Proの装着有無で空力の見た目が変わる点も見どころになります。リアウィングが2枚構成になっているかどうかで、2017年以降の仕様かどうかが見分けられます。
🏆 コンクール・デレガンス/オークションのプレビュー
売却のために出品される個体は、オークション当日までの数日間、会場で一般公開されることがあります。RMサザビーズのような大手が扱う場合はプレビューが設けられるため、出品情報を追うと現物を見られる機会にたどり着けます。
※開催内容・展示車両は変更されることがあります。最新の情報は各施設・主催者の公式発表でご確認ください。
手元に置いて楽しむ|ヴァルカンのモデルカー
実車を見る機会そのものが限られる車なので、モデルカーの価値がとくに高いタイプです。ヴァルカンは前後で表情がまったく違い、リアウィングとディフューザーの造形は写真では分かりにくい部分です。立体で持つと、この車がどれだけ空気のことばかり考えて作られたかが見えてきます。
1/18スケールは、ウィングの支柱やディフューザーのフィンまで形が出る大きさです。そのぶん場所を取るので、飾る棚の奥行きは先に測っておくと失敗しません。ヴァルカンは生産台数が少ないぶんモデル化の点数も限られるため、見つけたときが買いどきになりやすい車です。
アストンマーティンの歴史を読む
ヴァルカンがどういう位置づけの車なのかは、アストンマーティンというブランドの歩みを知ると腑に落ちます。経営の浮き沈みを何度もくぐりながら、そのたびに旗艦を出してきた会社です。ヴァルカンは、その系譜のなかで「公道を諦めた旗艦」という珍しい位置に立っています。
ヴァルカンのよくある質問
Q. アストンマーティン ヴァルカンは何台作られましたか?
A. 24台です。ル・マン24時間レースの1時間につき1台という決め方で台数が決まりました。生産は2015年から2016年にかけて、イギリス・ゲイドンの工場で行われています。あとから増やすと数字の意味が崩れるため、24台という台数そのものが約束になっています。
Q. ヴァルカンは公道を走れますか?
A. 走れません。最初からサーキット専用として設計されており、ナンバーを取得するための保安基準は満たしていません。ただし例外が1台あり、イギリスのRMLグループがアストンマーティンの協力のもとで、およそ18か月をかけて1台だけ公道仕様に改造しています。
Q. ヴァルカンは何馬力ですか?資料によって数字が違うのはなぜですか?
A. 6,949ccの自然吸気V12で、831PS(820bhp)を7,750rpmで発生します。831PSと820という数字が並んで出てくるのは、PSとbhpという単位の違いによるものです。どちらも同じ1基のエンジンを指しています。グランツーリスモ7では832PSと表示されており、これは換算の丸め方の差だと考えられます。
Q. 出力を切り替えられるというのは本当ですか?
A. 本当です。運転席のダイヤルで3段階を選べるようになっており、目安としておよそ507PS、およそ684PS、そして全開の831PSという構成です。831PSを後輪だけで受け止める車なので、いきなり全部を渡すのではなく、段階を踏んで開けていく設計になっています。
Q. ヴァルカンの車両重量は1,350kgですか、1,360kgですか?
A. 資料によって両方の数字が出てきます。これは乾燥重量と、油脂類を入れた状態の重量という測り方の違いによるものです。どちらも同じ車を指しており、7.0リッターV12を積んだ車としては軽い部類に入る点は変わりません。グランツーリスモ7では1,360kgで収録されています。
Q. AMR Proパッケージでは何が変わりますか?
A. エンジンの出力はそのままで、空力と減速比が変わります。2017年に用意されたもので、ダウンフォースが約27パーセント増え、リアウィングは2枚構成になってガーニーフラップが追加され、フロントにはダイブプレーンが足されました。ファイナルギア比も短くなり、最高速より加速を優先する方向になっています。
Q. ヴァルカンは中古でいくらで取引されていますか?
A. 2026年1月23日のRMサザビーズ アリゾナで、走行100km未満のAMR Pro装着車が約104万ドル(落札手数料込み)で成立しました。事前予想の150万〜180万ドルを下回った結果です。市場全体ではおおむね100万〜180万ドルの範囲で語られていますが、年に何台も動く車ではないため、1台の結果が相場観を大きく動かします。最新の状況は各オークションハウスの公式発表でご確認ください。
Q. GT7でヴァルカンはどうやって手に入れますか?
A. ブランドセントラルで購入しますが、招待状が必要な車です。価格はCr.330,000,000で、ゲーム内でも最上位の部類に入ります。招待には期限があるため、届いてから貯め始めると間に合いません。狙うなら先にクレジットを用意しておく順番になります。
Q. GT7でヴァルカンはどんなコースが得意ですか?
A. 直線が長いコースと、中高速コーナーが続くコースです。6,949ccの自然吸気は下から上まで途切れずに力が出るので、長い直線でしっかり伸びます。ダウンフォースも効くため、速い流れのコーナーでは安定して踏んでいけます。逆に低速コーナーが連続するコースでは、立ち上がりのたびに我慢が必要になり、時間を取られます。
ヴァルカンは「公道を捨てた」記録
ヴァルカンを1行でまとめるなら、公道を走る権利を最初から手放すことで、レースカーの作り方を市販車に持ち込んだ車です。
- 6,949ccのV12を過給器なしで積み、831PSを出した。押し込むのではなく排気量で正面から取りにいった構成です
- 出力を3段階に切り替えられる。507PS・684PS・831PSと段階を踏んで、乗り手が車に追いつく時間を用意しています
- 24台という台数はル・マン24時間の1時間ごとに1台。あとから増やせない数字として決められました
- 2017年のAMR Proでダウンフォースを約27%増やした。速さを直線ではなくコーナーで足す方向の更新です
- 2026年1月の落札は約104万ドル。予想を下回っており、公道を走れないことが取引にも表れています
- GT7では招待状が必要な車。Cr.3億3,000万を先に用意しておく車です
実車は走らせる場所を毎回用意しなければ動かせません。GT7はその制約だけを取り払ってくれるので、この車にかぎってはゲームで乗る意味がとりわけ大きくなります。









