アストンマーティン ヴァルキリーとは|F1の設計者が作った1万1100回転のV12・スペックと中古相場・GT7での乗り方

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

アストンマーティン ヴァルキリーとは、F1の設計者エイドリアン・ニューウェイが「公道を走れるF1マシン」を目標に描いた、2021年登場のハイパーカーです。6.5リッターのV12を過給器なしで1万1100回転までまわし、カーボンモノコックとアンダーボディ全体を使ったベンチュリートンネルで、F1譲りのダウンフォースを生み出します。
結論から言うと、この車は数字の大きさより「もう二度と同じ発想では作られない」という一点で価値のある1台です。

同じエンジンを積んだレース仕様「ヴァルキリー AMR-LMH」は680PSまで絞られ、市販車のほうが500馬力近く高いという珍しい関係になっています。

グランツーリスモ7には「アストンマーティン ヴァルキリー '21」として収録されています。この記事では、実車の開発経緯とスペック、レースでの戦績、いまの取引価格、そしてGT7での走らせ方までまとめました。

🏁実車の魅力

ヴァルキリー|F1の思想をナンバー付きに持ち込んだ1台

誕生の物語|Nebula計画からAM-RB 001、そして「ヴァルキリー」へ

ヴァルキリーは、アストンマーティンとレッドブル・アドバンスト・テクノロジーズが共同で始めた計画です。
設計を主導したのは、F1で何度もチャンピオンカーを描いてきたエイドリアン・ニューウェイでした。外観デザインは当時アストンマーティンのチーフクリエイティブオフィサーだったマレック・ライヒマンが担当しています。

計画名は当初Nebula、開発コードはAM-RB 001と呼ばれていました。
2017年3月に「ヴァルキリー」という車名が発表されます。北欧神話で戦場から勇者を運ぶ存在の名前で、アストンマーティンが伝統的に使ってきた「V」で始まる車名の系列にも収まっています。

神話のヴァルキリーは、戦場で命を落とした戦士の中から特にすぐれた者を選び、神々の宮殿へ連れて行く存在として語られます。限られた者だけが選ばれるという逸話は、生産台数がごくわずかで、購入できたのも招待された顧客だけだったこの車の性格とも重なります。

狙いははっきりしていました。F1の空力思想をそのまま公道用の車に持ち込むことです。車体の下を大きく抜いて路面に吸いつかせる設計で、その結果としてキャビンは極端に狭く、全高は1,070mmしかありません。

ルーキールーキー
全高1,070mmって、軽自動車の半分くらいの高さですよね。
ハマ学長ハマ学長
そうじゃな。ヴァルキリーは空気の通り道を先に決めて、人の居場所を後から残した車でな。ふつうの車は逆で、人が乗れる形を先に決めてから外側を整える。順番が違うのじゃ。

スペック|数字で見るヴァルキリー

正式名称アストンマーティン ヴァルキリー(クーペ)
開発コードAM-RB 001(当初はNebula)
設計エイドリアン・ニューウェイ(空力)/マレック・ライヒマン(デザイン)
エンジン6.5リッター 65度V12 自然吸気(コスワース製・社内コードRA)
排気量6,500cc
ボア×ストローク98mm×71.8mm
バルブ48バルブDOHC(1気筒あたり4バルブ)・アルミ合金ブロック/ヘッド
エンジン単体出力1,000bhp(約1,014PS)/10,500rpm
エンジン単体トルク740Nm/7,000rpm
レブリミット11,100rpm
エンジン乾燥重量206kg
モーター160hp(約162PS)永久磁石同期モーター
バッテリー1.3kWh(リマック製のKERS)
システム総合出力1,160hp(約1,176PS)/10,500rpm
システム総合トルク900Nm/6,000rpm
シャシーカーボンファイバー・モノコック(約105kg・マルチマチック製)
車両重量1,340〜1,355kg
0-100km/h2.6秒
全長×全幅×全高4,500×1,965×1,070mm
ホイールベース2,770mm
駆動方式MR(ミッドシップ・後輪駆動)
ドアガルウィング(スパイダーはバタフライ)
生産期間2021年11月〜2024年12月
生産台数合計275台(クーペ150/スパイダー85/AMR Pro 40)

※出力はbhp表示の公表値をPSへ換算して併記しています。車両重量は計測条件により幅があるため、公表されている範囲で記載しました。

1万1100回転|なぜ自然吸気のV12にしたのか

このV12を作ったのはコスワースです。F1でエンジンを供給してきたイギリスの会社で、ヴァルキリー向けには専用の設計を起こしました。社内では「RA」という型式名で呼ばれています。

  • バンク角は65度。V12としては珍しい角度で、車体の幅と重心の高さから決まっています
  • 1リッターあたり153.8bhp。自然吸気としては極端に高い値です
  • 乾燥重量206kg。6.5リッターのV12としては軽く、これがそのまま車重に効きます
  • レブリミット11,100回転。市販車のV12としては前例のない領域です

同じ出力を作るだけなら、ターボを付けるほうがずっと簡単です。排気量を半分にして過給すれば、燃費でも扱いやすさでも有利になります。それでも自然吸気を選んだのは、出力の数字ではなく回り方そのものを設計の目的にしたからでした。

アストンマーティンは開発当時、高回転の自然吸気V12こそが内燃機関の頂点だという趣旨の説明をしています。実用性を犠牲にしてでもその形を残す、という判断が先にあったわけです。

ルーキールーキー
性能のためというより、残すために作った感じですね。
ハマ学長ハマ学長
そのとおりでな。結果としてこれが最後の世代になった。いまから同じ規制環境で自然吸気のV12を新規開発する会社は、まず出てこんじゃろう。

カーボンモノコックとベンチュリートンネル|F1の空力思想を公道に

ヴァルキリーの車体は、航空宇宙分野の素材と工法で作られたカーボンファイバー・モノコックです。繊維の向きと積層の順番まで管理して仕上げられ、モノコック単体の重さは約105kgとされています。

この車のいちばんの特徴は、床下全体が1つの巨大なベンチュリートンネルになっていることです。左右2本のトンネルに空気を通して加速させ、圧力を下げることで車体を路面に吸いつかせます。ウイングで空気をせき止めて押さえつけるのではなく、床下の空気の流れそのものでダウンフォースを作る発想です。

公表されている数値では、時速240kmに達すると理論上さかさまに走れるだけのダウンフォース(約1,800kgの力)が発生するとされています。フロントアクスルの上やルーフの吸気口まわりに空気の抜け道を作り、大型のフロントスプリッターも組み合わせて、車体全体で空気の流れをコントロールする設計です。

出典・参考:24 Hours of Le Mans公式「The Aston Martin Valkyrie under the microscope」TopSpeed「Aston Martin Valkyrie: Inside The F1-Bred Road-Legal Hypercar」(カーボンモノコック重量・ベンチュリートンネル構造・時速240kmでのダウンフォース)。

ルーキールーキー
さかさまに走れるって、比喩じゃなくて本当にそういう計算なんですか?
ハマ学長ハマ学長
理論上の計算でな。実際に天井を走る車ではない。じゃが、それだけの空気の力を床下だけで生み出せるという設計だと思えば、この車の狙いが分かりやすいじゃろう。

コックピット|座席は固定、動くのはペダルとステアリング

キャビンの狭さは、座り方にも表れています。ヴァルキリーの座席はモノコックに直接固定され、F1やル・マンプロトタイプのようにドライバーがほぼ仰向けに近い姿勢で、足を前方に投げ出すように座ります。一般的な車のようにシート自体を前後させることはできず、体格に合わせて動かすのはペダルボックスとステアリングコラムの側です。座面は一体成形のカーボン製で、パッドは体が触れる部分にだけ配置。6点式のハーネスで固定します。

ステアリングホイールの中央には、ゲージ類と車両情報をまとめて表示するOLEDディスプレイを配置。スイッチ類の大半もステアリング上に集約され、視線を大きく動かさずに操作できるレーシングカーそのものの設計です。内装の詳細は2017年に第一報が、2018年終盤によりくわしい写真が段階的に公開されました。

出典・参考:The Drive「New Photos of Aston Martin Valkyrie's F1-Inspired Cabin」TopSpeed「Aston Martin Valkyrie: Inside The F1-Bred Road-Legal Hypercar」(座席固定・ペダル可動式・ステアリング中央のOLED表示・内装公開の時期)。

サスペンションとブレーキ|F1のアクティブサス技術を公道に

足まわりの基本はダブルウィッシュボーンですが、スプリングには一般的なコイルではなくトーション・バーを採用。プッシュロッド式のダンパーと、油圧で作動するトーション・バーを組み合わせ、210バールの油圧で常に車高を一定に保ちながら、ロールとピッチを抑え込みます。ニューウェイが1993年に手がけたウィリアムズFW15のアクティブサスペンションと通じる発想だとされています。

  • 17基のアクチュエーターで油圧系統を制御
  • スカイフック・グラウンドフック・エアロフックという3種類のコントローラーで、ダンピングを状況ごとに調整
  • 目的は空力性能を安定させるための姿勢維持で、乗り心地の演出が主目的ではありません

ブレーキはカーボンセラミック製で前420mm・後385mm。キャリパーは航空宇宙グレードのアルミ削り出しで、素材の状態では38kgあったビレットを4.7kgまで削り込んで仕上げます。ベンチレーションホールの数は一般的なカーボンセラミックディスクの最大3倍とされ、過酷な制動で発生する熱を逃がします。ホイールは前20インチ・後21インチのマグネシウム製です。

出典・参考:Top Gear「Tech crunch: here's what goes into making the Aston Martin Valkyrie」HWM Aston Martin「Aston Martin Valkyrie Brakes」(サスペンション構造・油圧圧力・アクチュエーター数・ブレーキディスク径・キャリパー重量・ホイールサイズ)。

ルーキールーキー
サスペンションまでF1譲りなんですね。乗り心地はいいんですか?
ハマ学長ハマ学長
目的が違うのじゃ。あの油圧サスは乗員を快適にするためではなく、空力を安定させるために車高を守る装置じゃからな。結果として快適になる場面もあるが、狙いはあくまで走行性能のほうじゃ。

クーペとスパイダー、そしてAMR Pro|3つの顔

ヴァルキリーは最初から台数と仕様が決められていました。

  • クーペ:150台。公道向けの基本形で、ドアはガルウィング式です
  • スパイダー:85台。屋根を手で取り外せるタルガトップを備え、屋根が開く構造の都合でドアはガルウィングからバタフライ式に変更されています。屋根を外した状態で最高速時速205マイル超、屋根を付けた状態では217マイル超とされます
  • AMR Pro:40台。公道を走らない、サーキット専用の仕様です

AMR Proは、同じ6.5リッターV12を積みながら中身がかなり違います。ハイブリッドシステムを丸ごと外し、エンジン単体で1,000hp(約1,014PS)/11,000rpmを発生。ホイールベースを380mm延長し、トレッドも前96mm・後115mm拡大した専用ボディに、大型のフロント・リアウイングを組み合わせた空力パッケージ(全長プラス266mm)を架装しています。ホイールは18インチとなり、WEC・LMP1クラスと同じ仕様のミシュラン製レーシングタイヤを履きます。コーナリングでは3.3Gを超える横Gに達し、最高速は時速250マイル(約400km/h)近くに達するとされます。公道用の40台に加え、アストンマーティンが自社で使うプロトタイプが2台作られています。

出典・参考:Autoblog「Aston Martin Valkyrie Spider loses roof, swaps doors, keeps the speed」Supercars.net「The Aston Martin Valkyrie AMR Pro」(スパイダーのドア形式・最高速、AMR Proのハイブリッド排除・出力・寸法・タイヤ・コーナリングG)。

生産は2021年11月に始まり、2024年12月に終わりました。コスワースがこのプロジェクト向けに作ったV12は、レースカー用も含めて257基です。最後の1基は公道用のヴァルキリーに載って工場を出ています。

立ち上がりは順調ではありませんでした。2021年の第4四半期に納車できたのは10台だけで、アストンマーティンはこの期の利益目標を外しています。同社はこれを生産上の問題ではなく納車時期のずれと説明していて、実際に全台が売約済みでした。当初の計画よりも納車が遅れて進んだとする報道もあります。

レースでは680PSに絞られる|AMR-LMHという第二の人生

ヴァルキリーには、ル・マンを戦うための仕様があります。ヴァルキリー AMR-LMHです。

  • 出力は680PS(671bhp)。規則に合わせて、市販車より大幅に絞られています
  • ハイブリッドを持たない。6.5リッターV12だけで走ります
  • 変速機はXtrac製7速シーケンシャル
  • 床下全体を使ったベンチュリートンネル構造で、高速域では18kN(約1,800kgf)のダウンフォースを発生させます
  • トップカテゴリーのV12は2011年以来
  • 市販車をもとにした唯一のル・マン・ハイパーカー。他はレース専用に設計された車です

2025年、AMR-LMHはカタール1812kmでWECにデビューしました。ル・マン24時間では2台(#007・#009)が12位・14位で完走。9月の富士6時間では5位に入り、アストンマーティンのドライバーとして初めてWECトップクラスのポイントを獲得しています。そして10月のプティ・ル・マンで2位に入り、初の表彰台を獲得しました。優勝したキャデラックとの差はわずか5秒ほどです。2026年シーズンも同じドライバー・チーム体制で参戦が続きます。

出典・参考:Aston Martin Valkyrie AMR-LMH - WikipediaRACER「Valkyrie proves itself with Petit Le Mans podium」Aston Martin公式「Valkyrie achieves top five result」(AMR-LMHの出力・変速機・ダウンフォース、2025年のカタールデビュー・ル・マン完走・富士5位・プティ・ル・マン2位)。

ルーキールーキー
市販車のほうが速いということですか?
ハマ学長ハマ学長
数字の上ではそうなるのじゃ。ただしレースの規則は各社の性能をそろえるためのものでな。速い車を遅くする方向に働く。ヴァルキリーは「絞られてなお戦える」ところを見せた形じゃな。5秒差の2位は、その証明のひとつじゃ。

Valkyrie LM|2026年に加わった10台限定のトラック専用モデル

2026年、アストンマーティンは「ヴァルキリー LM」という新しいモデルを発表しました。
公道用ヴァルキリーの車体をベースにしながら、ホモロゲーション(競技公認)を取らないサーキット専用車として仕立てられ、10台限定で顧客に届けられます。

入念な風洞テストを経て、横方向3.5G・制動時2.5Gという数値を実現。WECやIMSAで走るAMR-LMHとの差はごくわずかとされながら、アマチュアドライバーでも扱えるように調整されています。ル・マン仕様譲りの大容量燃料タンク、専用設計のダブルウィッシュボーン式サスペンション、専用開発のピレリ製スリックタイヤ、競技用のカーボンセラミックブレーキを備えます。

購入者にはシミュレーターでのコーチングやサーキット同行、テレメトリー解析まで含む専用プログラム「UNLEASHED」が用意され、2026年第2四半期の納車イベントを皮切りに、第3・第4四半期にF1規格サーキットでの走行日が組まれています。

出典・参考:Aston Martin公式「Aston Martin Valkyrie LM offers ultimate Le Mans Hypercar track experience」(生産10台・横3.5G/制動2.5G・専用装備・UNLEASHEDプログラム)。

ハイブリッド・ハイパーカーの系譜|ラフェラーリと918、8年越しの答え

V12にモーターを足すという発想自体は、ヴァルキリーが最初ではありません。

  • 2013年:フェラーリ ラフェラーリ。6.3リッターV12+モーターで、システム総合963PS
  • 2013年:ポルシェ 918スパイダー。4.6リッターV8+モーター2基の4WDで887PS
  • 2021年:アストンマーティン ヴァルキリー。6.5リッターV12+モーターで1,176PS

ラフェラーリと918は、モーターを加速の穴埋めに使いました。低い回転で足りないぶんを電気で補い、全域で切れ目なく加速させるという考え方です。

ヴァルキリーはそこから8年後に出て、回転数を上げる方向を選びました。エンジン単体で1,000bhpを出したうえにモーターを足しているので、性格が違います。同じハイブリッドという言葉でも、目的が入れ替わっているわけです。

「F1の設計者が公道用ハイパーカーを作る」という構図そのものは、1994年のマクラーレンF1にも通じます。一方、レースの血を公道に持ち込む手法はメーカーごとに違います。メルセデスAMG SLR マクラーレンはF1チームとの共同開発、ポルシェ カレラGTは元々ル・マン計画向けだったV10を市販車に転用するという、それぞれ別解でした。

🇬🇧 先祖マクラーレン F1とはF1の設計者が公道用を作った先例。1994年の1台。 🇮🇹 同系統ラ フェラーリとはV12にモーターを足した先行例。2013年の1台。 🇩🇪 同系統PORSCHE 918 スパイダーとはモーター2基で4WD化した別解。同じ2013年。 🇩🇪 別解Mercedes-Benz SLR McLaren '09とはF1チームとの共同開発というもう一つの答え。 🇩🇪 別解ポルシェ カレラGTとはレース計画由来のV10を市販車に転用した1台。

数字が資料で割れる理由

ヴァルキリーを調べると、出力も車重も資料によって違う数字が出てきます。理由は3つに分けられます。

  • エンジン単体か、システム総合か。1,000bhpはV12だけの数字、1,160hpはモーターを足した数字です
  • bhpかPSか。単位が違うだけで同じ出力でも表記が変わります(1,000bhp=約1,014PS)
  • 実車かGT7か。GT7の1,155PS・1,270kgは、実車の1,176PS・1,340〜1,355kgとは別の数字です

※当ブログでは実車側とGT7側を分けて記載しています。PPについては資料により840台から900台まで幅があるため、単一の代表値としては扱っていません。

💰中古相場

ヴァルキリーは今いくら?

結論から書くと、数億円の世界です。ただし内訳を見ると、単純な右肩上がりではありません。

  • 新車価格:約250万ポンド、米国では300万ドルから。オプション前の数字です
  • 取引実績の平均:約294万5,000ドル(2026年時点の集計)
  • もっとも安い記録:約222万7,000ドル(2024年式・2025年11月1日)
  • もっとも高い記録:CLASSIC.COMの集計では、2026年8月15日に2024年式のスパイダーが約473万5,000ドルで取引されています
  • スパイダーの相場帯:約340万〜425万ドル。新車価格(約275万ポンド)を上回る水準です

一方で、新車価格を下回って落札された例もあります。RM Sotheby'sドバイでは、走行距離わずか52マイルでオプション総額15万2,000ドル分を積んだ欧州仕様の1台が、約260万ドルで落札されました。日本へ納車された個体が転売でオークションに出た事例もあり、こうした点からも「持っていれば値上がりし続ける」とは言い切れないことが分かります。

出典・参考:CLASSIC.COM「Aston Martin Valkyrie Market」hyper.luxe「Aston Martin Valkyrie Spider Price」Yahoo Autos「Aston Martin Valkyrie Falls Short at Auction」(取引実績の平均・最安・最高値、スパイダーの相場帯、新車価格を下回った落札例)。

価格の土台にあるのは台数です。公道用のクーペは150台しかなく、スパイダーを足しても235台。世界中に散っているため、市場に出てくる機会そのものが限られます。

日本国内で見かけることはほとんどありません。日本メディアの報道では、正式な割り当ては11台程度とされ、輸入するにも車両価格と同じ桁の手続き費用がかかります。

個体ごとの価格差も大きく出やすい車です。ボディカラーやカーボン仕上げの範囲、走行距離、レース仕様に近いオプションの有無、そして「誰がどんな経緯で所有していたか」という来歴まで、評価に影響する要素は一般的なスポーツカーより多岐にわたります。前述のとおり、高額なオプションを積んだ個体でもそのまま高値につながるとは限らない一方、屋根の外せるスパイダーやAMR Proのように台数がさらに少ない仕様は、相対的に高い評価を受けやすい傾向があります。

※価格は取引時期・個体の履歴・仕様によって大きく変わります。最新の実勢は各オークションハウスやディーラーの公表記録をご確認ください。

いずれにしても、いま新たに正規のクーペ・スパイダーを新車で手に入れる道は残されていません。市場に出てくる中古の1台を待つか、2026年に発表されたトラック専用のヴァルキリーLMのような新しい派生モデルを追うか。この車と関わる方法そのものが、すでに限られた選択肢になっています。

ルーキールーキー
これは現実的に手が届く車ではないですね。
ハマ学長ハマ学長
じゃからこそGT7の出番でな。275台しか存在しない車に、ソフト1本で乗れる。この差がいちばん大きく出る種類の車じゃ。
🎮GT7の基本

グランツーリスモ7のヴァルキリー

GT7には「アストンマーティン ヴァルキリー '21」という名前で収録されています。2023年6月29日のアップデートで追加された車種で、同じ回にランサーエボリューションIII GSR '95とインプレッサ Sedan WRX STi '04も加わりました。

GT7での車名アストンマーティン ヴァルキリー '21
追加日2023年6月29日のアップデート
入手先ブランドセントラル(アストンマーティン)
価格Cr.400,000,000
駆動方式MR
最高出力1,155PS/10,500rpm
車両重量1,270kg
排気量6,500cc
吸気形式NA(自然吸気)+ハイブリッド

※価格・PP・入手方法はアップデートで変わることがあります。なお無償クレジットの所持上限はアップデート1.11で100億クレジットまで引き上げられています。

ルーキールーキー
4億クレジットって、レジェンドカーの何倍ですか。
ハマ学長ハマ学長
レジェンドカーの高額枠が2,000万クレジット前後じゃから、その20倍じゃな。GT7のなかでも別格の値付けでな。買うより先に、まず貯める計画のほうを考える車じゃ。

GT7でのヴァルキリーの性格

乗ってまず分かるのは、速度によって別の車になることです。

  • 低速では持て余す。空力が効いていない領域では、1,155PSをタイヤが受け止めきれません
  • 高速では張りつく。速度が乗るほど路面に押しつけられ、曲がり方が変わります
  • 回転が上がってから出る。自然吸気なので、下からドンと来るタイプではありません
  • 車重1,270kgは軽い。この出力の車としては例外的で、止まる・曲がるが素直です
ルーキールーキー
低速コーナーの立ち上がりで、いつも姿勢を乱してしまいます。
ハマ学長ハマ学長
それが正しい反応でな。この車は空気が効いていない速度でいちばん扱いにくい。だから低速では踏まずに向きを変えて、空力が働き始めてから開けるのが基本になるのじゃ。

走らせ方のコツ

コツ1|低速コーナーは踏まずに抜ける
ダウンフォースが効かない速度域では、ただの後輪駆動の高出力車です。曲がりきってから開けるほうが結果的に速くなります。

コツ2|ブレーキは速度が高いうちに強く踏む
空力が効いている間はブレーキも効きます。速度が落ちるほど利きが弱くなるので、踏力を後半で抜いていく操作が合います。

コツ3|高速コースを選ぶ
長い高速コーナーがあるコースほど持ち味が出ます。細かい低速コーナーが続くコースでは、この車の武器がほとんど使えません。

コツ4|最初はTCSを残す
トラクションコントロールを切ると、低速からの立ち上がりが極端に難しくなります。慣れるまでは残しておいて、空力が効く速度域の感覚をつかむのが先です。

MRという駆動方式そのものの特徴と、V12というエンジン形式の系譜は、それぞれまとめ記事で解説しています。

⚙️ まとめGT7のMR(ミッドシップ)車まとめ重心を真ん中に置く配置の長所と癖を一覧で。 ⚙️ まとめGT7のV12エンジン車まとめ旗艦だけに許された形式を系譜でたどる。 📋 索引グランツーリスモ7(GT7)の車種一覧メーカー・駆動方式・エンジンの3つから引ける索引。
🕹️ハンコン

ハンコンで乗るともっと気持ちいい

ヴァルキリーのように速度で挙動が変わる車ほど、ハンドル型のコントローラー(ハンコン)が効きます。ダウンフォースが抜け始める瞬間はハンドルの手応えが軽くなるので、踏み足してよいかどうかを手で判断できるようになるからです。

<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる

GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
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<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる

ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
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※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。

Logicool G29は入門機ながら、前輪の接地感が変わる瞬間をきちんと返してくれます。空力が効く速度域と効かない速度域の境目を体で覚えられるので、この車ではとくに差が出ます。

🎮 あわせて読みたいGT7おすすめハンコン比較G29から本格ダイレクトドライブまで、予算別に選び方を解説。 🎮 初心者ガイドグランツーリスモ7 初心者ガイド必要な機材と予算別の始め方。まずはPS5とソフトだけで十分です。
💴コスパ比較

実車を持つ vs ゲームで乗る

① 実車のヴァルキリーを持つ場合

ルーキールーキー
維持費って、想像もつきません…
ハマ学長ハマ学長
F1に近い構造の車じゃからな。整備できる拠点も限られとるし、部品の希少性も並のスーパーカーとは桁が違うのじゃ。

ヴァルキリーは275台しか存在せず、カーボンモノコックとレース由来のパワートレインを積む特別な車です。維持費は一般的なスーパーカーよりさらに高めになりがちです(希少部品の確保、専門ショップでの整備が前提になること、高額な車両保険等)。年間の目安はこのくらいです。

項目年間の目安
自動車税・登録関連費用(英国仕様基準)約10〜20万円
任意保険(希少車・高額車両保険込み)約150〜400万円
車検・点検(正規ディーラー前提)約50〜150万円
整備・部品(F1譲りの専用パーツ・カーボン補修含む)約100〜400万円
駐車場・保管(防犯・空調管理込み)約30〜100万円
燃料・消耗品(サーキット走行を含む想定)約30〜80万円
年間合計(目安)約370〜1,150万円

さらに、購入費が2億円台後半〜7億円超(前章の中古相場)かかります。そもそも公道用は235台しか存在せず、正規の割り当てを受けられるかどうかは価格とは別の問題でもありました。

② GT7で味わう場合

ルーキールーキー
ゲームの機材も、けっこう高いのでは?
ハマ学長ハマ学長
一式そろえても、実車の年間維持費よりずっと安い。しかも買い切りで、あとはほぼタダよ。
機材価格の目安
PS5本体約6.6〜8万円
グランツーリスモ7(ソフト)約6,000〜9,000円
ハンドルコントローラー(エントリー)約2.5〜4万円
レーシングコックピット(任意)約2〜5万円
PS VR2(任意・没入感アップ)約7.5万円
一式(目安)初期 約10〜25万円+以降ほぼ0

③ 結論

この車は、お金があっても買えなかった車です。275台という枠が先に決まっていて、割り当てを受けられるかどうかは価格とは別の問題でした。維持費だけを見ても、実車1年分でゲーム機材一式が何度もそろう計算になります。

GT7ならその条件がまるごと関係ありません。1万1100回転まで回るV12が、ブランドセントラルに並んだままいつでも待っています。

💰 売るなら"相場が高い今"がチャンス

「GT7をきっかけに、いまのスポーツカーの作り方に興味が出た」。そんな方こそ、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。中古車相場が動いている今は、手放す側にとっても追い風です。

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※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。

🚗実車に触れる

実車のヴァルキリーに触れる|博物館・レースの舞台

275台しか存在しない車ですが、実車を見る機会がまったくないわけではありません。博物館の企画展や、AMR-LMHが実際に走るレースの舞台、そして毎年恒例のヒルクライムイベントなど、動く姿・止まっている姿のどちらにも出会える可能性があります。

ルーキールーキー
ヴァルキリーって、実際に見られる場所ってあるんですか?
ハマ学長ハマ学長
博物館の企画展で見られることがあるし、AMR-LMHはWECやIMSAで実際に走っておる。動く姿を見られる可能性がある、というのがヴァルキリーの面白いところじゃな。

🏛 ピーターセン自動車博物館(ロサンゼルス)

米国ロサンゼルスのピーターセン自動車博物館では、2025年10月30日から2026年10月まで「Performance and Prestige: A History of Aston Martin」という企画展が開かれています。1913年の創業からの歴史をたどる展示で、2021年式ヴァルキリー スパイダーや、F1復帰後のAMR23なども展示対象になっています。展示車両は入れ替わることがあるため、訪問前に公式でのご確認をおすすめします。

🏁 WEC・IMSAのレースで見る

AMR-LMHは2025年、WECとIMSAの両方に参戦しました。富士6時間のように日本国内で開催されるWECラウンドもあり、ル・マン24時間やプティ・ル・マンといった長距離レースでは、実際に走る姿とエンジン音を体感できます。出場の有無や参加台数は開催年によって変わるため、最新情報は各イベントの公式サイトでご確認ください。

🏔 グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード

英国で毎年開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのヒルクライムにも、ヴァルキリーはたびたび登場しています。2021年、F1チームのドライバーだったランス・ストロールのステアリングでヒルクライムにデビューし、2025年で5年連続の出走を数えました。市販車が実際にコースを駆け上がる姿と排気音を間近で楽しめる、数少ない機会のひとつです。

出典・参考:Aston Martin公式「Aston Martin unleashes dynamic display of power and performance at Goodwood Festival of Speed 2025」(2021年デビュー・ランス・ストロール・2025年で5年連続出走)。

出典・参考:Magneto「Petersen Automotive Museum to celebrate history of Aston Martin」(企画展の会期・展示車両)。※展示・出走状況は変動します。来館・観戦前に各公式でご確認ください。

🎁見て楽しむ

手元に置いて楽しむ|ヴァルキリーのモデルカー

実車の入手はほぼ不可能に近いヴァルキリーですが、精巧なモデルカーなら手の届く価格で「あの床下形状」や「ガルウィングドア」を眺め回すことができます。細部までスキャンして作られた高精度モデルは、実車では覗き込めないアングルまで楽しめるのも魅力です。

ベンチュリートンネルが再現された床下や、ガルウィング/バタフライドアの開閉ギミックがある製品は、写真だけでは伝わらない構造の理解にも役立ちます。

📖読んで楽しむ

アストンマーティンとF1の系譜を読む

ヴァルキリーの成り立ちをより深く知りたい方には、アストンマーティンの歴史やF1との関わりを扱った書籍・ムック本もおすすめです。開発の背景にあるF1由来の空力思想や、ブランドの歩みをまとめて理解できます。

FAQ

ヴァルキリーのよくある質問

Q. ヴァルキリーのエンジンは何馬力ですか?
A. 数え方が2通りあるので、資料によって数字が変わります。6.5リッターV12の単体出力が1,000bhp(1,014PS)/10,500回転、これに160hp(162PS)のモーターを足したシステム総合出力が1,160hp(1,176PS)です。「1,000馬力の自然吸気V12」と「1,176馬力のハイパーカー」は、どちらも同じ車を指しています。

Q. なぜターボではなく自然吸気にしたのですか?
A. 同じ出力ならターボのほうが簡単に作れます。それでも自然吸気を選んだのは、回転の上がり方と音を設計の目的に置いたからです。このV12は11,100回転までまわり、1リッターあたり153.8bhpを絞り出します。エンジンの乾燥重量は206kgで、これは軽さと重心の低さにも効いています。ターボで同じ数字を出す道もありましたが、開発陣はあえて回す方向を選びました。

Q. ヴァルキリーは何台作られたのですか?クーペ・スパイダー・AMR Proの違いは?
A. 合計275台です。クーペが150台、屋根が外せるスパイダーが85台、公道を走れないサーキット専用のAMR Proが40台になります。クーペはガルウィングドア、スパイダーは屋根の脱着に合わせてバタフライドアに変更されています。AMR Proはハイブリッドシステムを外し、6.5リッターV12エンジン単体で1,000hp(約1,014PS)を発生。ホイールベースを380mm延長し前後のトレッドも拡大した専用ボディで、コーナリングでは3.3Gを超える横Gに達するとされます。生産期間は2021年11月から2024年12月までです。

Q. 市販車が1,176馬力なのに、レースでは680馬力なのはなぜですか?
A. レース用のヴァルキリー AMR-LMHは、ル・マン・ハイパーカーの規則に合わせて出力を絞っています。ハイブリッドも使わず、6.5リッターV12だけで680PSです。この規則は各車の性能をそろえるためのもので、速い車を遅くする方向に働きます。トップカテゴリーにV12が戻ったのは2011年以来で、しかも市販車をもとにしたハイパーカーはこの1台だけです。2025年にはWECカタール1812kmでデビューし、ル・マン24時間を完走。プティ・ル・マンでは2位に入り初表彰台を獲得しました。

Q. ヴァルキリーは中古でいくらで取引されていますか?
A. 取引実績の平均はおよそ294万5,000ドル(2026年時点の集計)。もっとも安い記録は約222万7,000ドル(2024年式・2025年11月)、もっとも高い記録は約473万5,000ドル(2024年式スパイダー・2026年8月)です。屋根の外せるスパイダーはクーペより高値の傾向があり、約340万〜425万ドルの相場帯とされます。ただしオプションが手厚い個体でも新車価格を下回って落札された例もあり、常に右肩上がりというわけではありません。

Q. GT7ではどこで手に入りますか?
A. ブランドセントラルのアストンマーティンから購入できます。価格はCr.400,000,000です。2023年6月29日のアップデートで追加された車種で、同じ回にランサーエボリューションIII GSR '95とインプレッサ Sedan WRX STi '04も加わりました。収録内容や価格はアップデートで変わることがあるため、最新はゲーム内でご確認ください。

📝まとめ

ヴァルキリーは「もう作れない形」の記録

  • F1の設計者が引いた公道車。エイドリアン・ニューウェイ主導、開発コードAM-RB 001
  • 6.5リッター65度V12が11,100回転。コスワース製(社内コードRA)・乾燥重量206kg
  • エンジン単体1,000bhp、システム総合1,176PS。数字が割れるのは数え方の違い
  • 275台で終了。クーペ150/スパイダー85/AMR Pro 40、生産は2024年12月まで
  • レース仕様AMR-LMHは680PS。2025年プティ・ル・マンで初表彰台(僅差5秒の2位)
  • 2026年にはトラック専用のヴァルキリーLMが10台限定で登場
  • GT7では1,155PS・1,270kgのMR。ブランドセントラルでCr.400,000,000

出力の大きさより、この作り方が二度と選ばれないことが、この車の面白いところです。自然吸気で1万回転を超えるV12を新しく作る理由は、いまの規制と市場のどちらにも残っていません。

レースの舞台でも、絞られた680PSのまま初表彰台まで届いた。市販車とレースカー、どちらの側から見ても、ヴァルキリーは「作られた理由をやり切った」1台と言えそうです。

座席はモノコックに固定され、動くのはペダルとステアリングだけ。油圧サスペンションが守るのは乗り心地ではなく空力姿勢。数字を並べるほど、この車が「快適さ」より「F1の理屈をそのまま持ち込むこと」を優先して作られたことが見えてきます。だからこそ275台という枠が先に決まっていて、買えるかどうかは価格とは別の問題でした。

GT7なら、その最後の1台にいつでも乗れます。

🔗回遊

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