
グランツーリスモ7に収録されているBMWの市販車は10台。
この10台を並べると、まず目に入るのは駆動方式の欄が10台とも同じ「FR」で埋まることです。
もうひとつ、10台のうち8台がターボを持っていません。
ターボが付いているのは2014年以降の2台だけ。BMWが長く守ってきたものと、途中で変えたものが、この10台にそのまま出ています。
※このページで扱うのは市販車の10台です。Gr.3・Gr.4などのレース専用車は含めていません。収録内容はアップデートで変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。
BMW10台は4つの系譜で読める
| 系譜 | 台数 | 性格 |
|---|---|---|
| ①Mの原点 | 2台 | 1972年にできたばかりの部署が、最初に手がけた車 |
| ②M3の歴代 | 4台 | 直列4気筒から始まり、直6を経てV8まで行った |
| ③M3から分かれた2台 | 2台 | 名前が変わり、ターボになった |
| ④Mを名乗らない2台 | 2台 | 速さより、開いた屋根と形のための車 |
この会社を立ち上げるとき、BMWはフォードでモータースポーツを率いていたヨッヘン・ニーアパッシュを引き抜いています。
つまりBMWのMは、社内から自然に育ったのではなく、レースで勝つために外から人を連れてきて作られた部署でした。
その出自が、10台の性格をだいたい決めています。
並べたときに見えてくるのは、次の3つです。
| エンジン形式 | 台数 | 該当する車 |
|---|---|---|
| 直列6気筒 | 6台 | 3.0 CSL 2台、M3(E46)、M4、M2 Competition、Z4 3.0i |
| 直列4気筒 | 2台 | M3(E30)とM3 スポーツエボリューション |
| V型8気筒 | 2台 | Z8とM3(E92) |
| 項目 | 内訳 |
|---|---|
| 駆動方式 | 10台すべてFR(後輪駆動)。4輪駆動もミッドシップも前輪駆動も1台もない |
| 吸気 | 自然吸気が8台、ツインターボが2台(M4とM2 Competition) |
| ターボの年式 | ターボの2台はどちらも2014年以降。それ以前の8台は全部自然吸気 |
Mの原点|1972年にできた会社の、最初の仕事
GT7には3.0 CSLが「BMW 3.0 CSL '71」と「BMW 3.0 CSL '73」の2台入っています。
名前も型式も同じですが、中身はかなり違う2台です。
1971年の無印|削っただけの車
「CSL」の「L」はleicht(軽い)を意味し、正式にはCoupé Sport Leichtbauという名前です。
薄い鋼板のボディ、内装材と防音材の削減、アルミ製のドアとボンネットとトランクリッド、樹脂製のサイドウィンドウ。こうした積み重ねで、ベースの3.0 CSより約250kg軽くなりました。
エンジンはM30型の直列6気筒2,985cc、公道仕様で180PS。
数字としては、同じ時期のCSiより控えめです。速さを足すのではなく、重さを引くという方向だけで作られた車でした。
1973年のバットモービル|翼はトランクに入っていた
1973年式は排気量が3,153ccに拡大され、206PSになります。
そして大きなリアウイング、エアダム、フェンダーのフィンが付き、その姿から「バットモービル」と呼ばれるようになりました。
この2台が持っている記録は、BMWのその後を決めたものばかりです。
- ETCC(欧州ツーリングカー選手権)で6シーズンのタイトルを獲得
- 1976年のデイトナ24時間で、BMW史上初の総合優勝
- BMWアートカー・シリーズの第1号がこの車
生産台数は資料によって差があります。
CSL全体では1971年から1975年で1,265台という集計が知られていますが、日本の媒体では1,039台とする数字も見られます。集計に含める年式と仕様の範囲が違うためで、当ブログでは年式別の内訳が確認できる1,265台を目安にしています。
M3の歴代4台|直列4気筒からV8まで行った
GT7に入っているM3は4台です。
この4台を年代順に並べると、エンジンの気筒数が4→6→8と増えていくのが分かります。同じ車名でこれだけ中身が変わるのは、珍しいことです。
| 年 | モデル | エンジン | 最高出力 |
|---|---|---|---|
| 1989 | M3(E30・無印) | S14型 直列4気筒 2.3L 自然吸気 | 195〜200PS |
| 1989 | M3 スポーツエボリューション | S14型 直列4気筒 2,467cc 自然吸気 | 238PS |
| 2003 | M3(E46) | S54型 直列6気筒 3,246cc 自然吸気 | 343PS |
| 2007 | M3(E92) | S65型 V型8気筒 4.0L 自然吸気 | 420PS |
1989年 M3(E30)|レースの規則が作らせた直列4気筒
初代M3が直列4気筒なのは、BMWがそうしたかったからではありません。
当時のグループAというカテゴリーには、12か月のあいだに同じ車を5,000台売るという参加条件があり、その条件を満たせる車として設計されたのがE30型のM3でした。
S14型2.3L直列4気筒は195〜200PS。
この車は登場の翌年、1987年の1年間だけで3つの選手権(WTCC・ETCC・DTM)で結果を残しています。
なお、GT7に収録されている「BMW M3 '89」の数値は212HPで、1989年に480台だけ作られたチェコット・エディションの出力と一致しています。
1989年 スポーツエボリューション|600台の最終形
E30型M3の最後に出たのがスポーツエボリューションです。
S14型の排気量を2,467ccまで広げ、238PSに到達しました。生産は600台だけです。
GT7では無印がPP456.36、スポーツエボリューションがPP463.07。
数字の差は小さいので、この2台は乗り比べに向いています。
2003年 M3(E46)|直6でいちばん回った世代
S54型3,246ccの直列6気筒は、343PS/7,900rpm。
「シルキーシックス」と呼ばれるBMWの直6が、自然吸気のまま到達した高いところにある1台です。
2003年には軽量版のM3 CSLも追加されました。カーボン製のルーフを使い、360PSまで上げた仕様です。CSLという名前が、1971年の3.0 CSLから30年ぶりに戻ってきたことになります。
2007年 M3(E92)|M3で唯一のV8
4代目のE92型は、初代から続いた直列エンジンをやめました。
積んだのはS65型4.0L V型8気筒の自然吸気で、420PS/8,300rpm、レブリミットは約8,400rpm。M3としては、これが最初で最後のV8です。
BMW Mとして初めて構造材にカーボン製のルーフパネルを使ったのも、この世代でした。
M3から分かれた2台|M4とM2 Competition
2014年 M4|名前が分かれ、同時にターボになった
2014年、BMWはクーペとカブリオレをM4、セダンをM3と呼び分けることにしました。
それまで「M3クーペ」だった車が、この年から「M4」になったわけです。F82型M4とF80型M3は、車台もエンジンも共通で、ボディの形が違う姉妹車です。
同じ年に、エンジンも変わりました。
S55型3.0L直列6気筒のツインターボで、425HP(約431PS)・550Nm。M3とM4の歴史のなかで、自然吸気からターボへ移った最初の1台です。
GT7でのPPは569.50で、これは10台の中で最も高い数字です。
2018年 M2 Competition|小さい車体に上位のエンジン
M2 Competitionは、2016年に出た無印M2の後継です。
無印はN55型のシングルターボでしたが、CompetitionはM3/M4と同じS55型ツインターボを専用の設定で積みました。出力は410PS・550Nmです。
BMW Mの中でいちばん小さい車体に、格上のエンジンを詰め込んだ車という位置づけになります。
Mを名乗らない2台|Z8とZ4 3.0i
Z8|M5のV8を積んだ、Mではない車
Z8が積むS62型4,941cc V8は、E39型M5と同じエンジンで400PSあります。
それでもこの車の名前に「M」は付きません。速さを競う車ではなく、形のための車として作られたからです。
元になったのは1997年のZ07というコンセプトカーで、これは1956年から1959年に作られたBMW 507へのオマージュとして描かれたものでした。デザインを担当したのは、南カリフォルニアのDesignworksUSAにいたヘンリック・フィスカーです。
生産台数は5,703台。GT7ではPP536.35で、価格は約300,000Crと10台の中で最も高く設定されています。
Z4 3.0i|ドイツ車なのに生まれはアメリカ
Z4 3.0iが積むM54B30型は、2,979ccの直列6気筒自然吸気で231PS/5,900rpm、300Nm/3,500rpm。
0-100km/hは約5.9秒です。
この車で目を引くのは中身よりも生産地で、作られたのはドイツではなくアメリカのスパルタンバーグ工場でした。前身のZ3から続く体制です。
操舵の仕組みも変わっていて、Z3までの油圧式をやめて電動のパワーステアリングになりました。
ただし後から出たZ4 Mだけは油圧に戻されています。走りを突き詰める仕様には油圧のほうがよい、とBMW自身が判断した形です。
10台をどの順番で走らせるか
GT7には車の総合的な速さを示すPP(パフォーマンスポイント)という数字があります。
当ブログの各記事で確認できた数値を並べると、次の順になります。
| PP | 車 | GT7内の表記 | ゲーム内価格 |
|---|---|---|---|
| 569.50 | M4 | BMW M4 '14 | 約120,000Cr |
| 548.30 | M2 Competition | BMW M2 Competition '18 | 約91,000Cr |
| 538.70 | M3(E92) | BMW M3 '07 | 約93,000Cr |
| 536.35 | Z8 | BMW Z8 '01 | 約300,000Cr |
| 約523〜524 | M3(E46) | BMW M3 '03 | 約84,000Cr |
| 463.07 | M3 スポーツエボリューション | BMW M3 Sport Evolution '89 | 約165,700Cr |
| 456.36 | M3(E30・無印) | BMW M3 '89 | 約89,700Cr |
| 419.96 | 3.0 CSL(バットモービル) | BMW 3.0 CSL '73 | 約218,400Cr |
| 412.48 | 3.0 CSL(無印) | BMW 3.0 CSL '71 | 約146,700Cr |
| 未確認 | Z4 3.0i | BMW Z4 3.0i '03 | 未確認 |
※Z4 3.0iは2025年2月のアップデートで追加された車で、当ブログではPP値と価格の確認が取れていません。出力231PSは10台の中で最も小さい数字です。
10台とも後輪駆動なので、共通して気をつける点はひとつです。
コーナーの出口でアクセルを踏むのが早すぎると後ろが流れます。とくにM4とM2 Competitionは550Nmのトルクが低い回転から出るので、車体がまっすぐになるまで待つつもりで踏み始めると安定します。
GT7のBMWのよくある質問
Q. GT7にBMWは何台収録されていますか?
A. 当ブログで解説している範囲では、市販車が10台です。うち6台がMの名前を持つ車(M3が4台、M4とM2 Competitionが1台ずつ)で、残りが3.0 CSL 2台とZ8、Z4 3.0iです。Gr.3・Gr.4などのレース専用車は別枠のため、この10台には含めていません。アップデートで追加されることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。
Q. BMWの「M」とは何ですか?
A. 1972年に設立されたBMWモータースポーツGmbHという子会社が起源です。レースで勝つことを目的に作られた部署で、その最初の仕事が3.0 CSLをレースに出せる状態に仕上げることでした。この部署が手がけた車にMの名前が付きます。速さの等級ではなく、どこが作ったかを示す記号と考えるほうが実態に近く、Z8のようにM5と同じエンジンを積みながらMを名乗らない車もあります。
Q. GT7のM3は4台ありますが、どれから乗ればよいですか?
A. M3(E46・BMW M3 '03)からをおすすめします。ゲーム内価格が約84,000Crと10台の中でいちばん安く、自然吸気の直列6気筒なのでアクセルに対する反応が読みやすいためです。次に扱いやすいのはM3(E30・無印)で、車体が軽いぶん操作の結果が分かりやすくなります。
Q. E36型(2代目M3)はGT7に入っていますか?
A. 当ブログで解説している範囲では、市販車として収録されていません。GT7で見られるM3はE30が2台、E46、E92の合計4台で、1989年から2003年のあいだに空白があります。E36型は直列6気筒のS50型を積んだ世代で、E30の直列4気筒とE46の直列6気筒をつないでいた車です。
Q. なぜM3クーペはM4に名前が変わったのですか?
A. 2014年にBMWがクーペとカブリオレをM4、セダンをM3と呼び分けることにしたためです。車としての系譜は途切れておらず、F82型M4とF80型M3は車台もエンジンも共通で、ボディの形だけが違う姉妹車です。同じ年にエンジンも自然吸気のV8からS55型の直列6気筒ツインターボへ変わったため、名前と中身が同時に変わった年になりました。
Q. GT7のBMWで、ターボが付いているのはどれですか?
A. M4(2014年)とM2 Competition(2018年)の2台だけです。どちらもS55型3.0L直列6気筒のツインターボで、出力はM4が425HP(約431PS)、M2 Competitionが410PSです。残りの8台はすべて自然吸気で、1971年の3.0 CSLから2007年のM3(E92)まで、ターボを使っていません。
10台に、変えなかったものと変えたものが並んでいる
- 10台すべてFR(後輪駆動)。4輪駆動もミッドシップも1台もない
- 自然吸気が8台、ターボは2台だけ。しかもターボの2台は2014年以降で、エンジンも同じS55型
- Mの原点は3.0 CSL。1972年にできたBMWモータースポーツGmbHの、最初の仕事だった
- M3の4台は気筒数が4→6→8と増える。V8を積んだのはE92の1世代だけ
- Mを名乗らない2台。Z8はM5のV8を積みながらMではなく、Z4 3.0iはアメリカで作られた
BMWといえば「直列6気筒の後輪駆動」という言葉がよく使われます。
GT7の10台を見ると、後輪駆動のほうは10台とも守られている一方で、直列6気筒のほうは意外と守られていません。M3は直列4気筒から始まり、途中でV8にまで行っています。
守ったものと、そのつど変えたもの。
その両方が10台に並んでいるのが、GT7のBMWのおもしろいところです。
気になる1台が見つかったら、その車の記事も読んでみてください。
どんな事情で生まれた車なのかを知ってから走ると、同じ1周がまるで違って感じられます。






