
グランツーリスモ7に収録されているメルセデスは9台。
その内訳を見ると、この会社に起きた大きな変化がそのまま並んでいることに気づきます。
9台のうち6台が「AMG」。
AMGはもともと、メルセデスとは別の会社でした。外にいた小さな集団が、いつのまにか本体の看板になっている。その道のりが9台の並びに残っています。
※収録内容はアップデートで変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。
メルセデス9台は4つの系譜で読める
| 系譜 | 台数 | 性格 |
|---|---|---|
| ①ガルウィング | 2台 | 上に開く扉。1954年と2010年、56年をまたいだ2台 |
| ②AMG GT | 3台 | 同じ車の3段階。速さの階段がそのまま揃っている |
| ③レースが作った市販車 | 2台 | 規則や提携がなければ生まれなかった2台 |
| ④日常の中の速さ | 2台 | セダンとハッチバック。普段使いできる形の速い車 |
AMGという名前は、アウフレヒトとメルヒャーという2人の技術者、そしてアウフレヒトの故郷グロースアスパッハの頭文字を並べたものです。
1999年にダイムラーが株式の過半数を取得し、2005年1月1日に完全な子会社になりました。
ガルウィング|56年をまたいだ2台
上に開く扉を持つメルセデスは、この2台だけです。
300SL|必要に迫られた形
300SLの扉が上に開くのは、見栄えのためではありません。
この車は車体の骨組みを細い鋼管で組んだ構造で、その骨がドアの下側まで高く回り込んでいました。普通の開き方では扉を付ける場所がなかったのです。
やむを得ず屋根側にちょうつがいを付けた結果、あの姿が生まれました。
必要から出た形が、そのまま象徴になったという例です。
SLS AMG|56年後に戻ってきた扉
2010年のSLS AMGで、ガルウィングが戻ってきます。
この車が特別なのは扉だけではありません。AMGが単独で設計した最初の1台だからです。
GT7ではこの2台を続けて走らせられます。
片方は1950年代、片方は2010年代。同じ扉を持ちながら、中身が半世紀ぶん違うのがはっきり分かります。
AMG GT|同じ車で速さの階段が揃っている
この3台は同じ車の3段階です。
ベースは同じでも、どこまでサーキットに寄せるかが違います。
| グレード | 性格 | 向いている人 |
|---|---|---|
| GT S | 公道でも使える範囲での速さ | まずAMG GTに触れてみたい |
| GT R | サーキット寄りに振った本気の仕様 | タイムを詰めたい |
| ブラックシリーズ | 限界まで削り込んだ最上段 | 速さだけを求める |
3台ともフロントにV8を積み、後輪で駆動するという組み立ては共通です。
鼻先が長く、運転席が後ろ寄りにあるので、曲がるときの感覚は独特です。
レースと提携が生んだ2台
この2台は、作りたかったから作った車ではありません。
外側の事情が形を決めています。
190E Evo II|レースに出るための502台
1990年代のドイツにDTMというレースがありました。
ここには「市販車を一定台数売っていなければ出られない」という規則があり、メルセデスはそのために502台だけを作って売ります。
だからあの巨大な羽根が付いています。
街で使うには過剰でも、レースで使いたい形をそのまま市販した結果です。
SLR McLaren|2つの会社が組んだ車
SLR McLarenは、当時F1で組んでいたマクラーレンとの共同開発です。
設計と生産にイギリス側が深く関わっており、メルセデス単独では出てこない形になっています。
長い鼻先、脇に開く扉、車体の側面から出る排気口。
2つの会社の考え方が1台に同居しているのが、この車の見どころです。
日常の中の速さ|セダンとハッチバック
AMGの仕事は、もともと普通の車を速くすることでした。
その本流にあたるのがこの2台です。
C63 Sは4枚扉のセダンにV8ツインターボを積んだ車。
家族を乗せられる形のまま、後輪を簡単に滑らせるだけの力を持っています。
A45はさらに毛色が違います。
小さなハッチバックに、2リッターとしては当時世界でも屈指の出力を持つエンジンを積み、4輪すべてで駆動します。
【一覧表】GT7のメルセデス9台
| 系譜 | 車種 | 年式 | 駆動 |
|---|---|---|---|
| ①ガルウィング | 300SL クーペ(W198) | 1954年 | FR |
| SLS AMG | 2010年 | FR | |
| ②AMG GT | AMG GT S | 2015年 | FR |
| AMG GT R | 2017年 | FR | |
| AMG GT ブラックシリーズ | 2020年 | FR | |
| ③レースと提携 | 190E 2.5-16 エボリューションII | 1990年 | FR |
| SLR McLaren | 2009年 | FR | |
| ④日常の速さ | AMG C63 S(C205) | 2015年 | FR |
| AMG A45 4MATIC(W176) | 2013年 | 4WD |
※年式は当ブログの各記事で扱っている仕様に基づきます。
メルセデスは「太いトルクをどう抑えるか」
9台のうち8台がフロントエンジンの後輪駆動です。
そして多くがV8。共通するコツがあります。
コツ1|コーナーの途中で踏まない
低い回転から力が出るので、曲がっている最中に踏むと後輪が流れます。
向きを変えきってから開ける。この順番を守るだけで、ずいぶん扱いやすくなります。
コツ2|鼻先の長さを意識する
AMG GTの3台は運転席が極端に後ろにあります。
自分の感覚より車の先端がずっと前にあるので、いつもの位置で曲がり始めると内側に寄りすぎます。ひと呼吸遅らせてハンドルを切ると合ってきます。
コツ3|300SLは別の乗り物として扱う
1954年の車なので、止まる能力も曲がる能力も現代の車とは違います。
ブレーキはひとつ手前から。速く走ろうとするより、当時の運転を追体験するつもりで乗ると楽しめます。
駆動方式ごとの違いは、それぞれまとめ記事があります。
🎮 まとめGT7のFR車まとめ曲がる・流せる操作性で選ぶ定番駆動方式、FR車の収録車一覧。 🎮 まとめGT7の4WD車まとめ悪天候でも安定する4WDの収録車を一覧で。 ⚙️ まとめGT7のV8エンジン車まとめあの咆哮を楽しむV8エンジン車の系譜。V8こそハンコンで乗ってほしい
メルセデスの9台は力が余っている車が多く、どこまで踏めるかを探る操作になります。
そのためハンドル型のコントローラー(ハンコン)の効果が大きく出ます。
Logicool G29は路面の反発が手に返ってくるので、後輪が滑り出す手前が分かるようになります。
アクセルを開ける瞬間を1テンポ遅らせられるかどうかが、そのままタイム差になります。
GT7のメルセデスのよくある質問
Q. GT7にメルセデスは何台収録されていますか?
A. 当ブログで解説している範囲では9台です。そのうち6台がAMGの名を持つ車です。アップデートで追加されることがあるため、最新は公式サイトでご確認ください。
Q. AMGとメルセデスは何が違うのですか?
A. もともとAMGは別会社でした。1967年にメルセデス出身の技術者2人が立ち上げ、既存のメルセデスを速くする仕事をしていました。1999年にダイムラーが株式の過半数を取得し、2005年1月1日に完全な子会社になっています。いまは高性能版を担当する部門という位置づけです。
Q. 300SLの扉はなぜ上に開くのですか?
A. 車体の骨組みがドアの下側まで高く回り込んでいて、横開きの扉を付ける場所がなかったからです。見栄えのためではなく、構造上の必要から生まれた形です。
Q. AMG GTのS・R・ブラックシリーズは何が違いますか?
A. 同じ車をどこまでサーキット向けに寄せたかの違いです。Sは公道でも使える範囲、Rはサーキット寄り、ブラックシリーズは限界まで削り込んだ最上段にあたります。上に行くほど速い代わりに、扱いは難しくなります。
Q. 190E エボリューションIIはなぜ502台だけなのですか?
A. DTMというレースに出るための規則が理由です。市販車を一定台数売っていることが参加の条件で、その数を満たすためだけに作られました。あの大きな羽根も、レースで使いたい形をそのまま市販したものです。
Q. 初心者に向いているメルセデスはどれですか?
A. A45です。9台で唯一の4輪駆動で、いちばん安定しています。後輪駆動の8台は力が強く、コーナーの途中でアクセルを開けると流れやすいため、慣れてからのほうが安心です。
9台の並びが、そのままAMGの年表になっている
- 9台のうち6台がAMG。外の工房が本体の看板になるまでの道のりが残っている
- ガルウィングは2台だけ。1954年の300SLと、56年後のSLS AMG
- SLS AMGはAMGが単独開発した最初の1台。手を入れる側から、作る側になった節目
- AMG GTは3段階が揃っている。同じ車で速さの階段を上れる
- 4輪駆動はA45だけ。ほか8台はすべて後輪駆動
メルセデスは高級車の会社という印象が強いはずです。
けれどGT7に並ぶ9台を順に走らせると、見えてくるのは別の顔です。レースの規則に合わせて502台だけ車を作り、外部の工房を迎え入れ、他社と組んで1台を仕立てる。そういう会社でもありました。
気になる1台が見つかったら、その車の記事も読んでみてください。
どんな事情で生まれた車なのかを知ってから走ると、同じ1周がまるで違って感じられます。










