
メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIとは、1990年に502台だけ作られた、DTM(ドイツツーリングカー選手権)で勝つためのホモロゲーションモデルです。巨大なリアウイングと張り出したフェンダーは飾りではなく、レースで勝つために必要だから付けられました。上品なセダンで知られたメルセデスが、なぜこんな姿の車を売ったのか。その答えは、当時のレース規則の中にあります。
この記事では、Evo IIの生まれた理由・スペック・中古相場から、GT7での乗り方、そして宿敵BMW M3との関係まで、まるごと解説します。
売らないと出られなかった
1990年代のツーリングカーレースには、「市販している車でなければ出場できない」という規則がありました。
しかも「一定の台数を実際に売ること」が条件です。これをホモロゲーションといいます。
Evo IIの巨大なリアウイングも、張り出したオーバーフェンダーも、レースで使うために市販車へ付けたものです。
公道で必要な装備ではありません。ただ、市販していなければレースで使えなかった。
作られたのは502台。日本へ正規に輸入されたのは50台とされています。
スペック|数字で見るEvo II
| 項目 | メルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションII |
|---|---|
| 登場 | 1990年 |
| 生産台数 | 502台(日本正規輸入は50台とされる) |
| エンジン | 2,463cc 直列4気筒DOHC(コスワース製ヘッド) |
| ボア×ストローク | 97.3mm×82.8mm |
| 最高出力 | 235PS/7,200rpm |
| 最大トルク | 25.0kgm/5,000〜6,000rpm |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) |
| 外観 | 大型リアウイング、大型フロントスポイラー、オーバーフェンダー |
| 目的 | DTM出場のためのホモロゲーションモデル |
※スペックは当時の資料に基づきます。個体や仕様により異なります。
注目したいのは7,200回転で235PSという出し方です。
2.5Lで235PSという数字自体は突出していませんが、その回転数まで回して出しているところにこの車の性格が出ています。
大排気量でゆったり走るメルセデスのイメージとは、まるで違う成り立ちです。
コスワースという名前
このエンジンのヘッドを手がけたのはコスワースです。
F1でエンジンを供給し続けてきたイギリスの会社で、この時代の「速い市販車」にはたびたび登場します。
メルセデスが自社で完結させず、外部の専門家に任せた。
勝つために必要なら、看板よりも中身を選ぶという判断がここに表れています。
BMW M3という相手がいた
Evo IIを理解するには、BMW M3(E30)の存在が欠かせません。
同じDTMを戦い、同じ規則の下で作られ、同じように市販された車です。
BMWは早くからツーリングカーレースで結果を出していました。
そこへメルセデスが本気で乗り込んでいく。相手が強かったからこそ、Evo IIはあの形になったと言えます。
どちらも「限られた台数だけ作られた最終進化形」という点で共通しています。
M3スポーツエボリューションは600台、Evo IIは502台。
GT7では両方に乗れるので、同じ時代の2台を走り比べられます。
もう買える車ではなくなった
Evo IIの相場について、まず正直にお伝えします。
一般的な中古車サイトで在庫を探しても、まず見つかりません。
世界で502台、日本に正規輸入されたのは50台とされています。
売買はクラシックカー専門店やオークションが中心で、取引のたびに話題になる類の車です。
DTMのDNAを宿し「数千万円で取引される」190Eの究極バージョン
出典:Life in the FAST LANE.
※相場は時期・個体の状態・来歴で大きく変動します。実際の取引価格は専門店やオークションでご確認ください。
グランツーリスモ7のEvo II
グランツーリスモ7にはメルセデス・ベンツ 190E 2.5-16 エボリューションIIが収録されています。
実車では手の届かない1台も、GT7の中では走らせることができます。
GT7でのEvo IIの性格
後輪駆動で、パワーは飛び抜けていません。
そのぶん車の動きが分かりやすく、失敗しても立て直せる1台です。
大きなウイングとフェンダーは見た目のためではないので、速度が乗るほど安定してきます。
走らせ方のコツ
- 回転を落とさない。7,200回転で最高出力を出すエンジンなので、早めにシフトアップすると持ち味が消えます
- ブレーキは早めに終わらせる。重量物を積んでいない素直な後輪駆動なので、向きを変えてから踏むときれいに立ち上がります
- 高速コーナーで本領を発揮する。ウイングが効いてくる領域では、見た目より安定します
- タイヤ選びを軽視しない。パワーが控えめなぶん、グリップの差がそのままタイムに出ます
同じ時代のライバルや、後輪駆動の扱い方は別の記事にまとめています。
🎮 まとめGT7のFR車まとめ駆けぬける楽しさの原点。GT7収録のFR名車を一覧で。 🎮 攻略グランツーリスモ7 攻略|初心者が最初にやること5つ最初の1台・カフェ・ライセンス・お金の増やし方を順番に。回転を保つ操作はハンコンで効く
Evo IIは回転を落とさずに走らせることが持ち味の車です。
シフト操作の回数が多くなるため、6速シフターを足すと自分の手で回転を管理する感覚に近づきます。
Logicool G29は路面の反発が手に返ってくるため、後輪がどこまで踏ん張っているかを感じ取れます。
パワーで押し切る車ではないぶん、この情報量の差がそのままタイムに出ます。
実車を手に入れる vs ゲームで乗る
① 実車のEvo IIを手に入れる
車両価格に加えて、35年前の希少車を維持する費用がかかります。
専用部品は生産が終わっており、探すこと自体に時間と費用がかかります。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(2.5L・13年超の重課) | 約58,600円 |
| 任意保険(希少車は割増になることも) | 約10〜20万円 |
| 車検(2年分を1年換算) | 約8〜15万円 |
| 整備・部品(専用部品は入手困難) | 約20〜60万円 |
| 保管(屋内保管が望ましい) | 約12〜48万円 |
| 燃料(年3,000km・ハイオク) | 約7〜10万円 |
| 年間合計(目安) | 約60〜160万円 |
※地域・使用状況・個体の状態で大きく変わります。あくまで一例としてご覧ください。
② GT7で"実車感覚"を味わう機材コスト
| 機材 | 費用の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| ハンコン(Logicool G29等) | 約3〜6万円 |
| シフター(6速MT感覚を再現) | 約1〜2万円 |
| コックピット(固定・姿勢) | 約2〜5万円 |
| 維持費 | ほぼ0円 |
| 一式(目安) | 初期 約10〜25万円+以降ほぼ0 |
③ コスパ比較の結論
- 実車:数千万円規模+毎年60〜160万円。しかも出物を待つ必要がある
- ゲーム:初期 10〜25万円+以降ほぼ0
Evo IIのような車は、お金の問題以前に「売りに出るかどうか」という壁があります。GT7ならその壁がありません。ハンコンを足せば、7,200回転まで引っぱる感覚も、ウイングが効いてくる高速コーナーの安定感も、かなり近いところまで味わえます。
「いつか本物を」と思っている方も、それまでの間はGT7で乗り続けられます。
まずはハンコンから始めるのが、いちばん費用を抑えて実車感覚に近づく方法です。
「GT7で惚れて、いつか本物のEvo IIに」。その前に、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。旧車相場が高騰している今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
Evo IIをひと目で見分ける
190Eには数多くの仕様があり、外から見て区別しにくいものもあります。
ただしEvo IIだけは、誰でもひと目で分かります。
| 見どころ | Evo IIの特徴 |
|---|---|
| リアウイング | トランクの上に大きく立ち上がる二段式。他の190Eには存在しない |
| フェンダー | 前後とも張り出したオーバーフェンダー |
| フロント | 大型のロアスポイラー |
| 足元 | ワイド化に合わせた専用ホイール |
上品なセダンの車体に、これらが後から足されています。
不釣り合いに見えるほど大きいのは、公道での見栄えではなくレースでの効果を優先したためです。
190E Evo IIのよくある質問
Q. なぜあんなに大きなウイングが付いているのですか?
A. DTMというレースで使うためです。当時の規則では、レースで使う部品は市販車にも付いている必要がありました。公道での見栄えではなく、レースでの効果を優先した結果です。
Q. 何台作られたのですか?
A. 502台とされています。日本へ正規に輸入されたのは50台と伝えられています。
Q. エンジンはメルセデス製ではないのですか?
A. シリンダーヘッドをイギリスのコスワースが手がけています。高回転型の小排気量エンジンは当時のメルセデスの得意分野ではなく、専門の会社に任せる判断がなされました。
Q. BMW M3とはどういう関係ですか?
A. 同じDTMを戦ったライバルです。どちらも規則に合わせて限られた台数だけ作られた最終進化形で、M3スポーツエボリューションは600台、Evo IIは502台でした。
Q. いくらぐらいで買えますか?
A. 数千万円規模で取引されると報じられています。一般的な中古車サイトにはほとんど出回らず、専門店やオークションが主な流通経路です。相場は時期や個体の状態で大きく変動します。
Q. GT7では初心者でも扱えますか?
A. 扱いやすい部類です。パワーが飛び抜けていないため挙動が分かりやすく、失敗しても立て直せます。ただし後輪駆動なので、コーナーの途中でアクセルを開けすぎると滑ります。
Evo IIは「勝つために売られた」車
- 502台限定のDTMホモロゲーションモデル。日本正規輸入は50台とされる
- 巨大なウイングもフェンダーもレースで使うために市販車へ付けたもの
- エンジンはコスワースが手がけた2.5L直4。235PSを7,200回転で出す
- 宿敵はBMW M3(E30)。同じ規則、同じ時代、同じ目的で作られた
- 相場は数千万円規模と報じられ、出物を待つ必要がある
- GT7なら一式10〜25万円で、今日から走らせられる
上品なセダンに、不釣り合いなほど大きな翼を付ける。
普通に考えれば売れるはずのない車を、メルセデスは502台作って売りました。そうしなければレースに出られなかったからです。
あの形には理由があります。
それを知ってからGT7でハンドルを握ると、同じ1周がまるで違って感じられるはずです。








