
BMW Z4は、BMWが3つのことを同時に変えたロードスターです。
作る場所、ハンドルの仕組み、そして面の作り方。どれも従来と違いました。
結果として、登場した2002年当時は評価が割れた車でもあります。
ただし20年以上たったいま並べてみると、その3つはどれも「その後のBMWがたどった道」でした。
グランツーリスモ7には「BMW Z4 3.0i '03」として収録されています。追加されたのは2025年2月のアップデートで、比較的新しく仲間入りした1台です。
この記事では、実車の成り立ちとスペック、いまの相場、そしてGT7での走らせ方までまとめました。
※収録内容はアップデートで変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。
賛否を呼んだ、3つの変更
Z4は1995年から売られていたZ3の後継として登場しました。
役割は同じ「BMWの小さなオープンスポーツ」。ところが中身の方針は、いくつもの点で切り替わっています。
スペック|数字で見るZ4 3.0i
| 正式名称 | BMW Z4 3.0i(E85型 ロードスター) |
|---|---|
| 生産期間 | 2002年〜2008年(3.0iは2006年に3.0siへ切り替え) |
| エンジン | M54B30型 直列6気筒 DOHC 自然吸気 |
| 排気量 | 2,979cc |
| 最高出力 | 231PS/5,900rpm |
| 最大トルク | 300Nm(約30.6kgm)/3,500rpm |
| 駆動方式 | FR(後輪駆動) |
| 変速機 | 6速MT/自動変速機(年式・仕様により5速AT・SMGなど) |
| 0-100km/h | 約5.9秒 |
| 最高速度 | 約244〜250km/h |
| 寸法 | 全長4,091×全幅1,781×全高1,299mm |
| ホイールベース | 2,495mm |
| 車両重量 | 約1,290〜1,415kg(資料・仕様により幅あり) |
| 生産工場 | アメリカ・サウスカロライナ州スパルタンバーグ |
※車両重量と最高速度は資料によって数字が分かれます。理由はFAQで説明しています。
変更①|ドイツ車なのに、生まれはアメリカ
Z4を組み立てていたのはアメリカ・サウスカロライナ州のスパルタンバーグ工場です。
BMWが1990年代に立ち上げた北米の拠点で、先代のZ3もここで作られていました。
オープンスポーツがよく売れるのは北米市場です。
現地で作れば輸送の手間も為替の振れも抑えられます。Z4がアメリカ生まれなのは、そういう素直な理由です。
変更②|油圧をやめて、モーターに任せた
Z4でBMWは、ハンドルを軽くする仕組みを切り替えました。
Z3まではエンジンの力で油圧を作る方式。Z4ではモーターが操舵を助ける方式、いわゆる電動パワーステアリング(EPS)になっています。
利点はふたつあります。エンジンが油圧ポンプを回さなくてよいので燃費に有利。それに、速度に応じた重さの味付けを電気的に決められます。
一方で、路面の情報が手に伝わる濃さは油圧のほうが上だとされ、当時は評価が割れました。
面白いのはここからです。
※EPSの採用時期は、2002年の登場時からとする資料と、2004年モデルからとする資料が見られます。当ブログでは「Z3の油圧からZ4で電動へ切り替わった」という流れとして扱っています。
変更③|面の作り方が変わった
Z4を見て最初に目に入るのは、ボンネットから前輪の上を通り、側面を貫いて後ろまで抜けていく鋭い折れ線です。
この面の作り方はフレイムサーフェシングと呼ばれます。当時のデザイン責任者クリス・バングルの体制で進められた方針で、Z4はその代表例とされています。E85型ロードスターの造形を担当したのはアンダース・ワーミングです。
丸みのあるロードスターに慣れた目には刺激が強く、登場時は好き嫌いがはっきり分かれました。
その後のBMWがこの方向へ進んでいったことを思うと、Z4は先に出た1台だったことになります。
同じBMWのオープンでも、Z4のひとつ前には性格の違う車がありました。
🇩🇪 兄にあたるオープンBMW Z8507へのオマージュとして作られた最高級オープン。V8を積む別格の1台。 🧬 直6の先祖BMW 3.0 CSL(E9)軽さだけで勝負した1971年のCSL。BMWの直6の原点。BMW Z4 3.0i は今いくら?
Z4のE85型は、いまのところ手が届きやすい部類の輸入スポーツです。
同じ時代のBMWでもM3やZ8のような値上がりは起きておらず、球数もそれなりにあります。
理由は3つあります。
- 生産台数が多い。限定車ではなく、世界中で普通に売られた車
- 2.5iなど下位グレードの数が多い。3.0iはその中では上位だが、希少というほどではない
- のちのZ4(E89・G29)が現役で流通している。中古としての比較対象が新しい
気をつけたいのは、車両価格よりも入ってからの費用です。
- 電動パワーステアリングの不具合。E85でよく話題になる箇所で、修理費がまとまることがある
- ソフトトップ。開閉機構と幌の劣化は年式なりに進む
- 20年前の輸入車としての一般的な消耗。ゴム類・冷却系・電装
※価格は個体の状態・走行距離・仕様・時期によって大きく変わります。最新の実勢は販売店や専門店の掲載情報でご確認ください。
グランツーリスモ7のBMW Z4 3.0i
GT7には「BMW Z4 3.0i '03」として収録されています。
追加は2025年2月のアップデート。同じ回にメルセデス・ベンツ ウニモグとプジョー 205 GTIが加わりました。
GT7でのZ4の性格
- 自然吸気の直6。ターボのような段差がなく、踏んだぶんだけ出る
- 後輪駆動で車体が短い。向きの変わり方が素早い反面、後ろが出るのも早い
- 出力は控えめ。速度域が高くならないので、操作の練習に向く
- 屋根のないロードスター。視界が広く、車体の向きをつかみやすい
走らせ方のコツ
コツ1|回転を上げて使う
自然吸気の直6は、回転を上げたところで力を出します。低い回転で粘らせるより、1段低いギアで回してやるほうが前に出ます。
コツ2|曲がる前に速度を落としきる
車体が短いぶん、荷重が動いたときの反応が早い車です。曲がりながら強くブレーキを残すと後ろが出やすくなります。直線のうちに落としきるほうが結果が安定します。
コツ3|出口では少しずつ開ける
後輪駆動なので、立ち上がりで一気に踏むと後ろが逃げます。ハンドルを戻しながら踏み足していくと、まっすぐ加速に移れます。
コツ4|自分の操作を確かめる車として使う
出力が控えめな車は、操作の粗さが速さの差に出ます。同じコースを何周かして、区間タイムがそろうかどうかを見ると練習になります。
駆動方式やエンジン形式ごとの特徴は、まとめ記事でも解説しています。
🎮 まとめGT7のFR車まとめ曲がる・流せる操作性で選ぶ定番駆動方式、FR車まとめ。 ⚙️ まとめGT7の直列6気筒エンジン車まとめシルキーシックスと呼ばれた直6の収録車を一覧で。出力が控えめな車ほど、操作の差が出る
Z4のように力で押し切れない車は、アクセルとブレーキの細かさがそのままタイムに出ます。
踏む量を指先ではなく足で決められるかどうかが、この手の車では効いてきます。
Logicool G29はペダルの踏み込み量を細かく調整できます。
「あと少しだけ開ける」という操作ができるようになると、後輪駆動の立ち上がりが安定します。
実車を持つ vs ゲームで乗る
① 実車のZ4を持つ場合
- 車両価格:同世代の輸入スポーツとしては手が届きやすい部類
- 維持:20年落ちの輸入車。ゴム類・冷却系・電装は年式なりに手が入る
- 電動パワステ:E85で話題になりやすい箇所。まとまった修理費になることがある
- 幌:開閉機構と生地の劣化は避けられない
② GT7で味わう場合
- PS5+GT7:ソフト1本で全収録車に乗れる
- ハンコン:入門機なら3万円前後から
- 維持費:電気代のみ
- 壊す心配:ゼロ。何度でもやり直せる
③ 結論
Z4は「買えないほど高い車」ではありません。
ただし20年前の輸入車である以上、入ってからの出費が読みにくいのは事実です。
GT7なら、その1台に今日から乗れます。
後輪駆動の練習台として使い倒しても、費用はかかりません。実車を検討する前の下見としても向いています。
「GT7をきっかけに、ドイツ製のオープンスポーツに興味が出た」。そんな方こそ、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。中古車相場が動いている今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
BMWのZ|小さなオープンの流れ
BMWは「Z」の名前で、小さなオープンスポーツを断続的に出してきました。
並べると、Z4がどこに立っているのかが見えます。
| 年 | 車名 | 性格 |
|---|---|---|
| 1989年 | Z1 | ドアが下に沈む実験的な少量生産車 |
| 1995年 | Z3 | 量産のロードスター。生産はアメリカへ |
| 2000年 | Z8 | 507へのオマージュ。V8を積む別格の高級オープン |
| 2002年 | Z4(E85) | Z3の後継。電動パワステと鋭い面へ切り替え |
| 2009年 | Z4(E89) | 屋根が金属になり、クーペとオープンを兼ねる形へ |
Z3からZ4への変化は、見た目だけの話ではありませんでした。
作る場所は引き継ぎ、操舵の仕組みと面の作り方を入れ替えた。この整理の仕方が、Z4という車の性格そのものです。
BMW Z4 3.0i のよくある質問
Q. なぜドイツのBMWなのにアメリカで作られたのですか?
A. Z4を作っていたのはアメリカ・サウスカロライナ州のスパルタンバーグ工場です。BMWは1990年代にこの工場を立ち上げ、先代のZ3からロードスターの生産をここに置いていました。北米はオープンスポーツがよく売れる市場で、現地で作れば輸送や為替の影響を抑えられます。Z4はその流れをそのまま引き継いだ車です。
Q. 電動パワーステアリングにして、何が変わったのですか?
A. エンジンの力で油圧を作る方式をやめ、モーターで操舵を助ける方式に切り替わりました。エンジンの負担が減るぶん燃費に有利で、速度に応じた重さの制御もしやすくなります。一方で路面から手に伝わる感触は油圧のほうが濃いとされ、当時は評価が分かれました。
Q. Z4 Mだけ油圧式なのはなぜですか?
A. 上位版のZ4 Mは電動ではなく油圧式のパワーステアリングを積んでいます。BMW自身が、走りを突き詰めるモデルでは油圧のほうが向くと判断したことになります。同じ車体でも狙いが違えば選ぶ仕組みも変わる、という分かりやすい例です。
Q. 車両重量の数字が資料によって違うのはなぜですか?
A. 欧州の資料では約1,290〜1,365kg、日本の資料では1,400kg台という記載が見られます。空車状態で測るのか、燃料や運転者ぶんを含めるのかという測り方の違いに加え、年式や装備の違いも重なります。当ブログでは幅を持たせて記載しています。
Q. Z4のデザインが当時賛否を呼んだと言われるのはなぜですか?
A. ボンネットから側面へ抜ける鋭い折れ線が、それまでの丸みのあるロードスターと大きく違ったからです。この面の作り方はフレイムサーフェシングと呼ばれ、当時のデザイン責任者クリス・バングルの体制下で進められました。E85型ロードスターの造形を担当したのはアンダース・ワーミングです。
Q. GT7で初心者でも扱えますか?
A. 扱いやすい部類です。後輪駆動ですが自然吸気で出力の出方に段差がなく、踏んだぶんだけ前に出ます。速度域も高すぎないので、荷重の移し方を覚える練習台に向いています。
その後のBMWを先に見せた1台
- 生産はアメリカ。サウスカロライナ州スパルタンバーグでZ3から続けて作られた
- 電動パワーステアリング。Z3の油圧から切り替え、Z4 Mだけは油圧に戻された
- フレイムサーフェシング。クリス・バングル体制の代表例で、造形はアンダース・ワーミング
- M54B30型の直6。2,979ccの自然吸気で231PS・300Nm
- GT7には2025年2月に追加。後輪駆動と自然吸気の組み合わせは練習台に向く
登場時に評価が割れた3つの変更は、その後どれもBMWの標準になっていきました。
Z4は先に出たぶんだけ、風当たりも受けた車だったことになります。
GT7でこの車に乗ると、数字の派手さでは説明できない良さが分かります。
231PSという控えめな出力で、操作の粗さがそのまま出る。上達を測る物差しとして、これほど分かりやすい車もそう多くありません。








