
トヨタ アルファード エグゼクティブラウンジ(GGH35W・30系・2018年式)とは、日本の「高級ミニバン」というジャンルを事実上作り上げた、最上級グレードの1台。2015年に登場した3代目(30系)で新設されたこのグレードは、後席の快適性を極限まで追求し、いまや芸能人・政治家・企業経営者の送迎車として真っ先に名前が挙がる「日本のVIPカー」の代名詞になっている。
そしてもう一つ、本記事のユニークな軸がある。走ることを競うレースゲーム「GT7(グランツーリスモ7)」に、なぜかこの実用ミニバンが収録されているのだ。GT7史上初のMPV(多目的車)という異色の存在として——。
「高級ミニバン」と「レースゲーム」という一見交わらない2つの世界が、この1台でどうつながっているのか。中古相場からGT7での立ち位置まで、じっくり見ていこう。
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目次
アルファード エグゼクティブラウンジ(GGH35W)の基礎スペック
まず型式から確認しておこう。本記事の主役は「GGH35W」という型式のアルファードだ。
30系アルファードには複数の型式があり、意味を知っておくと中古車選びで迷わなくなる。
| 型式 | エンジン | 駆動方式 |
|---|---|---|
| AGH30W | 2.5Lガソリン | 2WD(FF) |
| AGH35W | 2.5Lガソリン | 4WD |
| GGH30W | 3.5Lガソリン | 2WD(FF) |
| GGH35W(本記事) | 3.5Lガソリン | 4WD |
| AYH30W | ハイブリッド(E-Four専用) | 4WD |
つまりGGH35Wは「3.5Lガソリンエンジン+4WD」という組み合わせで、後述するハイブリッド仕様(AYH30W)とは完全に別の型式になる。
中古車情報サイトで検索する際に、この違いを知らないと「アルファード」でひとくくりに見てしまいがちなので、まず整理しておきたいポイントだ。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 型式 | DBA-GGH35W(3代目アルファード・後期型) |
| グレード | 3.5 Executive Lounge(4WD) |
| 発売時期 | 2018年1月〜(2017年12月マイナーチェンジ後の後期モデル) |
| エンジン | 2GR-FKS型 3.5L V6 DOHC |
| 最高出力 | 301PS(221kW)/6,600rpm |
| 最大トルク | 36.8kgf・m(361N・m)/4,600〜4,700rpm |
| トランスミッション | 8速AT |
| 駆動方式 | 4WD |
| 車両重量 | 約2,210kg |
| 全長×全幅×全高 | 4,950×1,850×1,950mm |
| ホイールベース | 3,000mm |
| 乗車定員 | 7名(Executive Loungeシートは2列目が独立2席) |
2017年12月のマイナーチェンジで、3.5L V6エンジンは最高出力280PSから301PSへ向上し、組み合わされるトランスミッションも6速ATから8速ATへと多段化・高効率化された。
フロア部分やドア開口部の剛性向上対策も施され、走行性能と快適性の両方が一段引き上げられた世代——それが本記事の2018年式GGH35Wだ。
2列目のシート、乗り心地、静粛性——「移動する応接室」としての完成度が評価されている車なんだ。それが次の章のテーマだ。
「高級ミニバン」というジャンルを作った30系の歩み
初代2002年から続く「高級ミニバン」への挑戦
日本独自のユーティリティカーとして人気の高いミニバン市場は、各自動車メーカーがしのぎを削る激戦区だ。
そのなかで「最上級ミニバン」としての確固たる地位を築いているのが、トヨタ・アルファードである。
2002年に登場した初代モデル以来、「高級ミニバン」という価値を追求し、進化させ続けてきた。
もともとアルファードは、トヨタが展開していた「グランビア」「レジアス」など複数のミニバン系車種を統合する形で誕生した経緯がある。
単なる後継車ではなく、「1台で高級車市場の頂点を狙う」という明確な意志を持って企画された車だった。
いまやVIPをもてなすリムジンとして選ばれるモデルの筆頭にもなるなど、名実ともに日本の高級車の代名詞となっている。
2015年・3代目(30系)で「大空間高級サルーン」へ進化
2015年に登場した3代目(30系)アルファードは、高級さと快適性の追求に一段と磨きがかけられた世代だ。
リヤにはダブルウィッシュボーン式サスペンションを新採用し、上質な乗り心地を追求。
そして象徴となったのが、2列目シートの快適性をあますことなく追求したラグジュアリーグレード「Executive Lounge」の新設だった。
このグレード専用として採用される2列目「Executive Loungeシート」は、標準モデルのシートよりひとまわり大ぶりな独立式シート。
温度やベンチレーションといった各種調整機能のほか、格納式ミニテーブルなども装備し、レザーの仕立てなど品質にも徹底的にこだわった。
まるで旅客機のハイクラスのようなおもてなし空間が与えられ、アルファードは「ミニバン」から「大空間高級サルーン」へと進化を遂げたのである。
30系は2015年1月〜2023年6月という約8年に及ぶロングセラーとなり、2018年1月のマイナーチェンジを境に前期型・後期型に分かれる。
本記事のGGH35W '18は、この後期型のスタート地点にあたる年式だ。
30系アルファードは2015年1月〜2023年6月まで生産され、2017年12月発表・2018年1月販売開始のマイナーチェンジで前期型・後期型に分かれる。マイナーチェンジでは予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」の第2世代を全車標準装備し、外装・内装デザインも変更された。
トヨタ自動車 公開資料・各種自動車メディアを基に作成(2026年時点)
次の章では、その頂点にある「Executive Lounge」というグレードが、具体的にどれだけ贅を尽くしているかを見ていこう。
Executive Loungeという頂点——さらに上の「ロイヤルラウンジ」も
格納式テーブル・独立2席——「移動する応接室」の装備
Executive Loungeグレードの核心は、2列目シートにある。
標準グレードでは2列目にも3列目にも人が座れるレイアウトが一般的だが、Executive Loungeは2列目を独立2席の「Executive Loungeシート」に振り切っている。
- 標準シートよりひとまわり大ぶりな独立式シート
- 座面・背もたれの温度調整機能/ベンチレーション機能
- 格納式ミニテーブル(使わないときはしまえる)
- 上質なレザーの仕立て
これらの装備が組み合わさることで、2列目は「移動する応接室」と呼ぶにふさわしい空間になる。
後席に座る人をもてなす発想で作られたクルマ——これがExecutive Loungeという名前の意味するところだ。
さらに上の「ロイヤルラウンジ」——価格1,500万円超のコンプリートカー
実は、Executive Loungeよりもさらに上のグレードが存在した。
トヨタのカスタマイズブランド「モデリスタ」が手掛けたコンプリートカー「ロイヤルラウンジ」だ。
ロイヤルラウンジは、Executive Loungeをベースに2列目シートのみの4人乗り仕様とし、後席空間をさらに広々と使えるようにしたモデル。
価格は1,531万円〜1,578万円というレンジで販売されていた(※2026年時点の公開情報。生産終了済みのため現在は中古市場のみ)。
2019年12月に生産を終了しているが、Executive Loungeが「頂点」ではなく、その上にもう1段階の世界があったことを知っておくと、このグレードの立ち位置がより立体的に見えてくる。
ただし本記事の主役GGH35W Executive Loungeも、ロイヤルラウンジほどではないにせよ「後席をもてなす」という発想は共通している。
だからこそ、次の章で見る「VIPカーとしての選ばれ方」につながっていくんだ。
なぜVIPは「アルヴェル」を選ぶのか
高級セダンではなくミニバンが選ばれる理由
アルファードと、その兄弟車ヴェルファイアは、まとめて「アルヴェル」と呼ばれることがある。
この「アルヴェル」が、芸能事務所の送迎車・政治家の移動車・企業経営者の社用車として、高級セダンに代わって選ばれるようになった理由には、いくつかの実用的な背景がある。
- 運転のしやすさ——車高が高く視界が広いため、ドライバーの安全確認がしやすい
- 収まりの良さ——大柄なボディながら、多くの駐車場に収まるサイズ設計
- 静粛性——後席で会話や電話、打ち合わせをしても気にならない車内の静かさ
- もてなしの装備——エグゼクティブパワーシート、脱着式リアマルチオペレーションパネル、バニティミラー付き回転格納式テーブル、下降式サンシェードなど、後席の快適性に振り切った装備群
- リセールバリューの高さ——中古車市場でも人気が高く、走行距離が伸びても他車種に比べて相場が落ちにくい傾向がある
セダンは「運転する人」を主役にした設計思想だが、ミニバンは「後席に座る人」を主役にできるという発想の転換がある。
VIPを乗せて移動するという用途において、この違いは決定的だった。
芸能人・政治家の送迎車事情——「移動オフィス」としての活用
実際にアルヴェルは、力士・政治家・映画スター・ビジネスパーソンなど、あらゆる層に選ばれる車となり、「ショーファーカー(お抱え運転手付きの送迎車)」のニュースタンダードになったと言われている。
芸能事務所の送迎車としてもアルファード・ヴェルファイアは非常に多く使われており、内装をカーテンで仕切ってタレントのプライバシーを確保したり、大型モニターを搭載した車両も存在するという。
ある女優には、後部座席をマッサージチェアに改造し冷蔵庫まで完備した「ロイヤルラウンジSP」がカスタマイズされて用意された、というエピソードも伝えられている(※個別の車両カスタム事例。年式・仕様は個体差が大きい)。
政治家の利用理由としてよく挙げられるのが、「移動しながら次の要件の打ち合わせができる」という点だ。
遊説や行事参加のあいだの移動時間を、単なる「待ち時間」ではなく「働く時間」に変えられる——これもミニバンならではの広い室内空間があってこそ実現できる価値だ。
そこは誤解しないでほしいポイントだな。
さて、ここまでは「実車としてのアルファード」の話だった。ここからは、この記事のもう一つの軸——GT7でのアルファードの話に移ろう。
GT7史上初のMPV——なぜレースゲームに送迎車が?
収録は2023年3月・アップデート1.31——「初のMPV」という異色ネタ
GT7(グランツーリスモ7)にアルファード エグゼクティブラウンジ '18が追加されたのは、2023年3月のアップデート1.31。
このとき話題になったのが、「GT7史上初めて収録されるMPV(多目的車)」という肩書きだった。
GT7には、フェラーリやランボルギーニのようなスーパーカーから、ラリーカー、レースカーまで幅広いジャンルの車が収録されているが、「実用ミニバン」というジャンルはこれが初だった。
速さを競うレースゲームに、後席のおもてなしを追求した送迎車が仲間入りする——このギャップの大きさが、発表時に驚きをもって受け止められた理由だ。
GT7収録データ——PP394.88・296HP・4WD
GT7に収録されているアルファード エグゼクティブラウンジ '18のデータは、以下の通り(※GT7は年数回のアップデートで数値が調整されるため、最新値はゲーム内表示で確認してほしい)。
| 項目 | GT7内データ |
|---|---|
| PP(パフォーマンスポイント) | 394.88 |
| 最高出力 | 296HP/6,500rpm |
| 最大トルク | 361N・m/4,500rpm |
| 重量 | 約2,210kg |
| 駆動方式 | 4WD |
| エンジン | 2GR-FKS-Alphard(3.5L NA V6) |
| 価格 | 75,000Cr |
| 入手方法 | Brand Central |
| 0-400m加速 | 約14.8秒 |
実車の最高出力301PSに対し、GT7内では296HPとやや控えめな数値になっているが、これはPS表記とHP表記の換算差やゲーム内チューニングの前提によるもので、大きな違いではない。
4WD・2,200kg超という車重を踏まえると、PP394.88という数値は「速さで戦う車」ではなく「大きくて重い実用車」であることをそのまま表しているとも言える。
Brand Centralでいつでも購入可能——「日常の1台」としての立ち位置
アルファードは、GT7内の「Brand Central」(メーカーごとの新車販売コーナーのようなモード)から75,000Crでいつでも購入できる。
期間限定のレジェンドカーや、レース勝利でしか手に入らないボーナスカーとは違い、思い立ったときにいつでもガレージに迎えられるのが特徴だ。
GT7は「速く走ることを競う」だけのゲームではなく、車を眺めたり、写真を撮ったり、気に入った車でのんびりドライブを楽しんだりする遊び方も広く親しまれている。
プレイヤー同士が実車さながらの一般車で集まって走る「ドライブ部屋」と呼ばれる遊び方も存在し、そうした場面でアルファードのような実用車が使われる土壌がある。
レースでは主役になりにくい車だからこそ、「所有する楽しさ」「見る楽しさ」という文脈で輝く1台、それがGT7でのアルファードの立ち位置だ。
免許を返納した後でも、こうして「あの高級車」をいつでも所有できるのは、ゲームならではの贅沢だと思うぞ。
中古車相場——2018年式GGH35W Executive Loungeの目安
実車のアルファード エグゼクティブラウンジ(GGH35W・2018年式前後)の中古車相場について、公開情報を基にした目安を紹介する。
あくまで一時点の参考情報であり、実際の価格は年式・グレード・走行距離・状態・地域・時期によって大きく変動するため、最新の相場は中古車情報サイトや販売店で確認してほしい。
| グレード区分 | 価格帯の目安 |
|---|---|
| 3.5 Executive Lounge 全体レンジ | 約97万円〜1,156万円 |
| 2018年式・4WD・状態良好の取引例 | 320万円前後 |
| 走行距離8万km超の個体 | 流通事例あり(距離が伸びても極端な下落はしにくい傾向) |
アルファードは新車価格が高い一方で、中古車市場でも人気が高く、走行距離が伸びても他車種に比べて相場が落ちにくいという傾向がしばしば指摘される。
これは前章で触れた「VIPカーとしての需要の厚さ」が、そのままリセールバリューの高さにつながっている一例と言えるだろう。
なお、より上位グレードの「ロイヤルラウンジ」は2019年12月で生産終了しているため、現在は中古車市場でのみ入手可能。希少性から、状態の良い個体は高値で取引される傾向がある(※個体数が少なく相場の振れ幅も大きいため、詳細は専門店への確認を推奨)。
断定的な金額は言えないから、必ず最新の中古車サイトや販売店で確認してほしい。
まとめ:高級ミニバンの頂点であり、GT7では異色の1台
ここまで見てきたアルファード エグゼクティブラウンジ(GGH35W)'18の3つの顔をおさらいしておこう。
- 「高級ミニバン」というジャンルを作った30系=2002年の初代から続く歴史のなかで、2015年の3代目(30系)が「Executive Lounge」を新設し、大空間高級サルーンへと進化した
- 芸能人・政治家に選ばれる「アルヴェル」文化=運転のしやすさ・静粛性・もてなしの装備が揃い、高級セダンに代わるVIPカーの新スタンダードになった
- GT7史上初のMPVという異色の存在=2023年3月のアップデート1.31で追加され、PP394.88・296HP・Brand Centralでいつでも購入できる「日常の1台」として収録されている
速さを競うレースゲームのなかに、後席のおもてなしを極めた実用ミニバンが収録されている——このギャップこそが、アルファード エグゼクティブラウンジという1台の面白さだ。
実車では簡単に所有できるものではないVIPカーも、GT7のガレージでなら気軽に迎えられる。
フォトモードで撮影したり、ドライブ部屋でのんびり走らせたり——「速さ」以外の楽しみ方を教えてくれる1台として、ぜひガレージに置いてみてほしい。
アルファードは「速く走る車」としてではなく、「頂点まで極めたもてなしの空間」として評価されてきた車だ。
その車がレースゲームに"異色の存在"として収録されているというギャップも含めて、知れば知るほど面白い1台だと思うぞ。




