ニスモ R34 GT-R Z-tuneとは|19台限定・中古のBNR34を作り直した500PS・GT7

※本サイトで紹介している商品・サービス等の外部リンクには、プロモーションが含まれています。

ニスモ R34 GT-R Z-tune '05は、GT7の公式解説で「第2世代GT-Rがたどり着いた究極のコンプリートカー」と紹介されている1台です。
日産のモータースポーツ部門であるニスモが、創立20周年を記念して作り上げた、試作車を含めて19台しか存在しないコンプリートカーです。

この車の主役は、車名の「R34」でも「GT-R」でもなく、作り方そのものです。新車の生産ラインから生まれたのではなく、すでに世に出ていたBNR34の中古車を買い戻し、いったんバラしてから作り直したという成り立ちを持っています。
GT7のスペック表に並ぶ2,771ccという排気量も500PSという出力も、その作り直しの結果として出てきた数字です。

そしてこの車は、GT7のなかでは日産ではなく「ニスモ」というメーカー欄に置かれています。GT7のニスモ枠にいるのは2台だけで、もう1台は10年前に作られたニスモ400Rです。
2台とも排気量が2,771ccという同じ数字にたどり着いているのは、偶然ではありません。

実車は19台。中古車サイトで「Z-tune」と検索しても、出てくるのはほとんどがZ-tune風のエアロを後から着けた別のBNR34です。手に入れる方法がほぼない車でありながら、GT7ではブランドセントラルで普通に買える。この落差こそが、いまZ-tuneをGT7で走らせる意味だと言えます。

この記事では、Z-tuneがどういう順番で作られたのか、RB26DETT改「Z2」とは何なのか、20台の計画がなぜ19台になったのか、GT7上のスペックの読み方、R34系4台のなかでの立ち位置、中古相場の実態、GT7での走らせ方とハンコンの選び方、実車とゲームのコスパ比較まで、順番に見ていきます。
数字はすべて、ニスモの公式プレスリリースやGT7の収録車種一覧など、確認できた一次情報にもとづいています。資料によって割れる部分は、割れていることごと書きます。

※収録内容はアップデートで変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。

🏁実車の魅力

中古車を買い戻して作った、19台のコンプリートカー

Z-tuneという名前だけを見ると、BNR34の上級グレードのように思えます。
ところが中身を追うと、日産の工場ではなくニスモの手元で、1台ずつ組み直された車だったことが分かります。

ここから先は、ニスモ創立20周年という区切り、レース会場から始まった開発の流れ、ベース車の選び方、エンジン「Z2」の中身、ボディとブレーキ、そして20台の計画が19台で終わったこと、という順番で見ていきます。

①|ニスモ創立20周年という区切り

ニスモ(NISMO)が設立されたのは1984年です。日産のレース活動を担う部門として生まれ、全日本ツーリングカー選手権やル・マン24時間、そして全日本GT選手権(現在のスーパーGT)へと戦いの場を広げてきました。

その20年目にあたるのが2004年です。ニスモはこの節目に、市販車をベースにしたコンプリートカーを1台仕立てることを決めました。それがZ-tuneです。

ルーキールーキー
20周年の記念モデルって、ふつうは特別なカラーとかエンブレムを付けるくらいですよね?
ハマ学長ハマ学長
そこがこの車の面白いところじゃ。Z-tuneはエンジンを積み替え、ボディを補強し、ブレーキとサスまで専用品にした。記念バッジを貼っただけの車ではないんじゃよ。しかも当時、ベースになるBNR34はもう生産が終わっておった。だからニスモは中古車を買い戻すという手を打ったんじゃ。

タイミングも見逃せません。BNR34の生産はすでに終わっており、新車のベースは手に入りませんでした。
20周年の記念車を作るために、ニスモは市場に出た車を買い戻すという、量産メーカーではまず選ばない方法をとりました。

②|始まりは、レース会場のイベントカーだった

Z-tuneという名前が最初に世に出たのは、市販の発表よりずっと前です。ニスモが毎年開催しているファン向けイベント「NISMOフェスティバル」の場でした。

2000年暮れのNISMOフェスティバルで、ニスモは「チューニングカーバトル」に1台のBNR34を持ち込みます。搭載されていたのは600ps以上を発生する「Z1」エンジンで、中身はほとんどレーシングカーでした。ドライブしたのはエリック・コマス選手で、この車はバトルを制しています。

2001年のNISMOフェスティバルでは、エンジンが「Z2」へ置き換わります。出力は600psから500ps以上へと引き下げられ、内装は本革化され、排出ガスや騒音の法規への対応も進みました。
数字だけを見ると後退したように見えますが、これは公道を走るロードカーへ舵を切ったということです。

その後、メインテスターに田中哲也選手を起用して開発が続きます。2003年には「Z-tuneプロトタイプ Ver 2003」がニュルブルクリンクでテストされました。ニスモはこのテストを「卒業試験」と表現しており、ここでスペックが固まっています。

そして2004年12月20日、ニスモは創立20周年を記念するコンプリートカーとして、Z-tuneの発売を正式に発表しました。
この時点での告知は「20台限定」で、「20名の限られたお客様に届けられます」という言い方がされています。

ルーキールーキー
4年もかけてるんですか。しかも600psから500psに下げてる…。
ハマ学長ハマ学長
サーキットで速い車と、ナンバーを付けて公道を走れる車は別物じゃからのう。排出ガスも騒音も基準を通さねばならん。下げたのではなく、通せるところまで作り直したと読むほうが正しいぞ。

③|ベースは、走行3万km以下のBNR34 V-spec

Z-tuneのベースになったのは、スカイラインGT-R(BNR34)のV-specです。ただし新車ではありません。

ニスモは市場から走行距離3万km以下の良質なBNR34 V-specを買い戻し、それをベース車としました。ニスモが状態を認定した車を指す「アプルーブドカー」という言い方がされています。
買い戻した車はそのまま使うのではなく、ストリップ状態と呼ばれる、内外装をはがした裸の状態まで分解されます。そのうえで補強と防錆処理を施し、あらためて組み立て直すという手順です。

「3万km以下」という条件は、ニスモの公式ヒストリーページと当時のプレスリリースの双方で一致しており、資料が割れていません。

この作り方には、もうひとつ意味があります。19台のZ-tuneには、それぞれ別の前歴を持ったBNR34が入っているということです。
同じ型番の新車を19台並べて作ったのではなく、19人の誰かが乗っていた車を集めて作り直した。1台ずつ素性が違うという点で、量産車とは根本的に成り立ちが異なります。

④|RB26DETT改「Z2」は、2,771ccまで広げられていた

Z-tuneの心臓部は、RB26DETTを作り直した専用エンジン「RB26DETT改 Z2」です。
2004年12月20日付のニスモ公式プレスリリース「車両仕様概要」に、数字がそのまま出ています。

項目RB26DETT改 Z2
総排気量2,771cc
ボア×ストローク87mm × 77.7mm(標準比で+4mmのロングストローク)
圧縮比8.5:1
最大出力368kW(500ps)以上
最大トルク540N・m(55kgf・m)以上
ターボIHI製ボールベアリング式
クラッチSUPER COPPERMIX TWIN(441kW/600ps・589N・m/70kgf・m対応)

ここでよく見かける説明が「GT500のエンジンをそのまま積んだ」というものですが、ニスモの公式解説を読むと、そこまでは言っていません。

公式が書いているのは、2001年以降のGT500用エンジンが2.8Lのビッグボア(φ87mm)でハイブーストを実現するために、N1仕様ブロックよりも各部の剛性を上げたブロックを必要としたこと。そしてZ2のブロックはそのノウハウを生かして作られたものだということです。
一方で、クランクシャフトとコンロッドについてはGT500用と同型の実績品が使われたと明記されています。コンロッドは長さ121.5mm、材質SNCM439という具体的な仕様まで公表されています。

ターボも同じ考え方です。IHI製のボールベアリング式で、2001年以降のGT500車両や2004年のニュルブルクリンク24時間耐久仕様車と同系の実績品とされていますが、スペックそのものは別物です。

つまりZ2は、GT500の部品箱から丸ごと持ってきたエンジンではなく、GT500で確かめた設計と部品を、公道用に組み直したエンジンです。ここは資料をていねいに読むと差が出るところなので、幅を持たせずに書いておきます。

ルーキールーキー
2,771ccって、ニスモ400Rと同じ数字じゃないですか!
ハマ学長ハマ学長
よう気づいたのう。1995年のニスモ400Rが積んだ「RB-X GT2」も、RB26を2.6Lから2,771ccへ広げたエンジンじゃ。10年をはさんだ2台のコンプリートカーが、同じ排気量にたどり着いておる。RB26というエンジンを本気で広げると、そこに落ち着くということじゃな。

ニスモが手がけた2台のコンプリートカーが、10年の間隔をおいて同じ2,771ccという数字に行き着いている。これは偶然の一致というより、RB26というエンジンの設計上の余地がその辺りにあるということでしょう。
違うのは出力で、400Rが400ps、Z-tuneが500ps以上です。10年ぶんの進歩が、そのまま100psの差になっています。

⑤|CFRPは2種類ある。ブレーキはbremboとの共同開発

Z-tuneのボディまわりでよく話題になるのがCFRP(炭素繊維強化プラスチック)です。ここは混同されやすい2系統があるので、分けて書きます。

1つめは外装のエアロ部品としてのCFRPです。公式の仕様表では、フロントバンパー(新造形)、フロントアンダーパネル、フロントフェンダー、リアスポイラーフラップがCFRP製と明記されています。フロントフェンダーはブリスター形状になっており、片側15mmずつワイド化されています。

2つめはボディ補強としてのCFRPです。こちらは見た目には出てきません。溶接の熱で変形しやすい部位、具体的にはフロントストラットのアッパー部、フードリッジレインフォース、センタートンネル部といった箇所に、CFRPの成型品を接着で貼り付けて補強するという方法がとられています。

あわせてドア開口部へのスポット溶接の増し打ちも行われています。
ただし「何点増やしたか」という打点数は、今回確認できた資料には出ていません。数字が独り歩きしやすい部分なので、分からないままにしておきます。

足まわりとブレーキも専用品です。

部位内容
サスペンションドイツSACHS社製をベースにした「Z-tuneスペシャルサスペンション」。減衰力3way調整・車高調整式
フロントブレーキbremboとの共同開発。モノブロック6ピストンキャリパー+φ365mm 2ピースローター
リアブレーキφ355mm 1ピースローター(株式会社KIRYUと共同開発)+鋳造4ピストンキャリパー
ABS制御ユニットを専用チューン
ボディカラー専用色「Z-tuneシルバー(KY0)

ボディカラーについては、日本人顧客向けに2台だけ「ミレニアムジェイド」「ミッドナイトパープルIII」で作られたという記述もあります。ただしこれは一次資料での裏付けが取れていないため、参考情報として書き添えるにとどめます。

⑥|20台の計画が、19台で終わった

Z-tuneの生産台数として、19台20台の2つの数字を見かけます。どちらも間違いではなく、指しているものが違います

数字何を指すか出どころ
20台2004年12月の発表時点の計画。プレスリリースの見出しにも「20台限定発売」、価格表にも「*計20台限定」と明記ニスモ公式プレスリリース(2004年12月20日)
19台実際に生産され、顧客のもとへ渡った台数ニスモ公式ヒストリーページ(NISMOコンプリートカー vol.03)

ニスモの公式ヒストリーページは、後年の振り返りとして「最終的に19台が生産された」とはっきり書いています。
一方でプレスリリース側には、エンジン20基すべてにシリアルナンバーを付与してデータ管理するという記述があります。これは発表時点の「20台」計画にもとづく書き方です。

そして、GT7の公式解説はこう書いています。

なおこのクルマは試作車を含めわずか19台のみが作られている。

グランツーリスモ7 公式 収録車種一覧より

なぜ1台減ったのか、その理由は今回確認できた資料には書かれていません。
ベース車の状態が条件に届かなかった、受注が辞退された、社内保有になったなど、いくつかの説明を見かけますが、いずれも一次情報にたどり着けませんでした。分からないものは分からないままにしておきます。

ルーキールーキー
数字が2つあると、どっちを覚えればいいか迷います…。
ハマ学長ハマ学長
計画20台・実車19台」と2つセットで覚えるのがいちばん正確じゃ。片方だけ覚えると、もう片方を見たときに「間違いだ」と思ってしまうからのう。GT7の公式解説が19台と書いておるから、ゲームの中の話をするときは19台でよいぞ。

⑦|当時の価格は、標準車のおよそ3.5倍

ニスモ公式プレスリリースに載った、2004年12月現在の希望小売価格です。

販売の形価格(2004年12月時点)
コンプリート(完成車として販売)本体1,690万円/消費税込 1,774.5万円
パーツコンバージョン(所有車をベースに改造)本体1,250万円/消費税込 1,312.5万円

※保険料・登録諸費用などは別途です。パーツコンバージョンはベース車両に条件が付きます。

比較のために、当時のBNR34標準グレードの新車価格を並べます。中古車カタログの情報では、1999〜2000年モデルで499.8万円、2000〜2002年モデルで504.8万円と、500万円台でした。
単純に割ると、Z-tuneのコンプリート版は標準車のおよそ3.3〜3.5倍にあたります。

ここでも、10年前のニスモ400Rと比べると流れが見えます。400Rは当時1,200万円で、GT-R V-specの新車価格のおよそ3倍と言われました。ニスモのコンプリートカーは、ベース車の3倍前後という価格帯に一貫して置かれていることになります。

⑧|数字で見るZ-tune

項目ニスモ R34 GT-R Z-tune
発表2004年12月20日(ニスモ創立20周年記念)
ベース車スカイラインGT-R(BNR34)V-spec/走行3万km以下の買い戻し車
エンジンRB26DETT改 Z2・直列6気筒ツインターボ
総排気量2,771cc(ボア87mm×ストローク77.7mm・圧縮比8.5:1)
最大出力368kW(500ps)以上
最大トルク540N・m(55kgf・m)以上
駆動方式4WD
ブレーキbrembo共同開発 F:6ピストン φ365mm/R:4ピストン φ355mm
ボディカラーZ-tuneシルバー(KY0)
価格1,774.5万円(税込・2004年12月時点のコンプリート版)
生産台数計画20台/実際19台
🎮GT7

1.61で入った、GT7の「ニスモ」枠2台目

Z-tuneがGT7に加わったのは、2025年7月24日に配信されたアップデート1.61です。
同じアップデートでホンダ N-ONE RS '22と日産 キャシュカイ Tekna 190 2wd e-Power '22も追加され、3台ともブランドセントラルで購入できます。

19台しか存在しない実車が、ゲームの中では在庫を気にせず買える。ここがGT7という場所のいちばん贅沢なところです。

GT7上のスペック

GT7の収録車種一覧に載っている数値です。ゲーム内の正式な車名は「ニスモ R34 GT-R Z-tune '05」で、メーカー欄は日産ではなくニスモになっています。

項目GT7での値
カテゴリGr.N
パフォーマンスポイントPP 575.47
排気量2,771cc
駆動方式4WD
吸気TC(ターボチャージャー)
最高出力500 PS / 6,800 rpm
最大トルク55.0 kgfm / 5,200 rpm
車両重量1,600 kg
全長×全幅×全高4,600 × 1,810 × 1,330 mm

実車の公称値は「500ps以上」「55kgf・m以上」でした。GT7はこの下限の数字をそのまま採用しています。
ニスモが「以上」と付けた含みまでは再現されませんが、公表値を素直に置いた形です。

全幅1,810mmという数字にも、実車の作り込みが出ています。Z-tuneはフロントフェンダーをブリスター形状にして片側15mmずつ広げており、標準のBNR34より広い数値がそのままスペック表に載っています。

ルーキールーキー
メーカーが「ニスモ」になってるのは、どういう意味があるんですか?
ハマ学長ハマ学長
GT7はコンプリートカーを作ったところをメーカーとして扱うんじゃ。日産が作った車ではなく、ニスモが作った車だからのう。ブランドセントラルでも日産の棚ではなく、ニスモの棚に並んでおるぞ。

GT7の「ニスモ」には、2台しかいない

GT7の収録車種一覧を開くと、メーカー別の並びにニスモという項目があり、そこには2台だけが入っています。

GT7内の車名PP最高出力車重ベース
ニスモ 400R '95528.92400 PS / 6,500 rpm1,550 kgBCNR33 V-spec
ニスモ R34 GT-R Z-tune '05575.47500 PS / 6,800 rpm1,600 kgBNR34 V-spec

ニスモ枠の2台は、どちらもベース車を買い足して作られた台数限定のコンプリートカーで、どちらも排気量が2,771ccです。
400Rは99台、Z-tuneは19台。10年をはさんで、限定台数はさらに絞り込まれました。

PPで見ると575.47 対 528.92で、Z-tuneが46.55ポイント上です。
車重はZ-tuneのほうが50kg重いので、この差はほぼそのまま100PSぶんの出力差が効いていると読めます。

GT7に入っているR34系4台のなかでの位置

GT7には、R34型GT-Rをベースにした車が3台と、その源流にあたるニスモ400Rが1台入っています。並べると階段になります。

GT7内の車名PP最高出力車重性格
日産 スカイライン GT-R V・spec II Nür (R34) '02505.36341 PS / 7,500 rpm1,560 kgノーマルのR34。基準点
ニスモ 400R '95528.92400 PS / 6,500 rpm1,550 kgR33ベースの先輩コンプリートカー
ニスモ R34 GT-R Z-tune '05575.47500 PS / 6,800 rpm1,600 kg公道用に作り込まれた頂点
マインズ BNR34 GT-R N1 base631.92630 PS / 7,200 rpm1,350 kgチューナーによる軽量ハイパワー

この表で読み取ってほしいのは、Z-tuneは最強ではないということです。
マインズのBNR34はPPで56ポイント上を行き、しかも250kgも軽い。数字だけで速さを競うなら、そちらのほうが上です。

ただしマインズの1台は、レース用のN1ベース車から仕立てたチューニングカーです。1,600kgという重さを引き受けたまま500PSを出しているZ-tuneとは、狙いが違います。
ナンバーを付けて公道を走り、排出ガスと騒音の基準を通し、内装は本革のまま。その条件で500PSに届かせた車が1,600kgになった、という順番です。

ルーキールーキー
Z-tuneがいちばん重いんですね。CFRPを使ってるのに…。
ハマ学長ハマ学長
CFRPは軽くするためではなく、剛性を上げるために足されたからのう。補強用のCFRPは貼り付ける部品じゃから、貼れば重くなる。スポット溶接の増し打ちも同じじゃ。Z-tuneは軽量化を狙った車ではなく、500PSを受け止められるボディに作り直した車と考えるとよいぞ。
🏎️走らせ方

1,600kgの4WDを、どこで曲げるか

PP575.47・500PS・1,600kg・4WDという組み合わせは、GT7のなかでは扱いやすい部類に入ります。同じPP帯のミッドシップやFRに比べると、明らかに安心して踏めます。

ただし「安心して踏める」と「速く走れる」は別の話です。この車には、重さと4WDに由来する2つのクセがあります。

①ブレーキを、思っているより手前で始める

1,600kgという重さは、コーナーの入口で効いてきます。
実車のZ-tuneがフロントにφ365mmの6ピストンキャリパーを与えられたのは、この重さを止めるためです。GT7でも同じことが起きます。同じPP帯の軽い車と同じ位置でブレーキを踏むと、確実に曲がりきれません。

コツはブレーキを一段手前で始めて、そのぶん早く放すことです。奥まで残すのではなく、早めに減速を終わらせて、あとは4WDの安定を使って向きを変える。GT-R系に共通する走らせ方です。

②立ち上がりは、早く踏めるぶんだけ稼げる

4WDの取り柄はここです。コーナーの出口で、FRなら滑り出す領域でもアクセルを開けていけます。
500PSという出力を、4本のタイヤで分けて路面に伝えられるのがこの車の強みです。

入口で失った時間を出口で取り返す。これがZ-tuneでタイムを詰める順番になります。
雨のレースでも同じで、GT7の4WD車は路面が濡れるほど相対的に有利になります。

③ターボの立ち上がりを、シフトで待たない

Z2は最大トルク55.0kgf・mを5,200rpmで発生します。最高出力の6,800rpmとの間が狭く、使える帯が高い側に寄っているエンジンです。

ギアを上げすぎて回転を落とすと、次の加速までに間ができます。
ターボ車全般に言えることですが、1段低いギアで引っ張るほうがこの車は走ります。ここはボタンよりも、レバーを手で動かすシフターがあると分かりやすくなる部分です。

🕹️機材

4WDの粘りは、ペダルの踏み分けで見えてくる

Z-tuneのような4WDのターボ車は、コントローラーのボタン操作だと「安定して速い車」で終わってしまいがちです。
実際にはコーナーの出口でアクセルをどこまで開けられるかを探る車で、その探りはペダルの踏む量でしか出せません。

ハンドルとペダルを足すと、この車の「入口で我慢して出口で稼ぐ」という走らせ方が、そのまま体の動きになります。
1,600kgの重さも、ブレーキペダルを踏んだときの残り方として手ごたえで返ってきます。

<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる

GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、"自分でハンドルを握る"運転体験に。

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<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる

ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、6速シフターでZ2の高い回転域を自分で選べるようになり、VRで視界ごと没入できます。

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※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。

💰中古相場

中古車サイトに出てくるのは、ほとんどが「Z-tune風」

この章は、他の車種記事とは書き方を変えます。Z-tuneには、参照できる中古相場がほぼ存在しないからです。

国内の中古車サイトで「Z-tune」を検索すると何が出るか

大手中古車検索サイトで「r34 z-tune」と入れて、実際にヒットした車を1台ずつ確認しました(2026年9月10日時点)。
結果は、ヒットした4台とも、ニスモ製のコンプリートカーではありませんでした。

出てきたのは、たとえば「スカイラインGT-R 2.6 V·specII 4WD NISMO Z-tuneエアロ LMGT4」といった車です。
つまり一般のBNR34やスカイラインクーペに、Z-tune用のエアロパーツやLMGT4ホイールを後から装着した車が、検索に引っかかっているということです。

ルーキールーキー
えっ、じゃあ中古車サイトで「Z-tune」を見つけても、本物じゃないってことですか?
ハマ学長ハマ学長
そう考えて見たほうが安全じゃな。Z-tuneのエアロは単品でも売られておったから、外観だけ似せた車は珍しくないんじゃ。19台しかない本物が、一般の中古車ポータルにぽんと並ぶことは、まず無いと思っておくとよいぞ。ただし出品側が偽っておるとは限らん。多くは「Z-tuneエアロ装着車」と正直に書いておる。読む側が車名だけで判断しないことじゃ。

海外の取引事例は、金額そのものが確定していない

本物のZ-tuneは、専門店や海外のオークションを通じて動いていると見られます。ただし確定した成約額として引用できる事例が見当たりません

よく引用されるのが、2021年末ごろに米国で1台のZ-tuneが引き渡されたという話です。当時「約198万5,000ドル」という金額が報じられ、日本語でも「2億円弱」として広まりました。
ところがこの金額は、のちに購入者本人が誤りだと否定しています。同じ取材記事のなかでは、2015年ごろの売却時に提示された金額として60万ドルという数字も参考に挙げられています。

つまり、2億円という数字は当事者に否定された報道であり、実勢価格の根拠にはできません
この記事でも金額を断定せず、「一般の中古車市場には出てこない車で、動くときは専門のルートを通る」という書き方にとどめます。

※相場は時期・状態・個体のヒストリーで大きく変わります。ここに書いた金額は、報道された数値とその後の否定という経緯を示すためのもので、売買の目安ではありません。

⚖️コスパ比較

実車を維持する vs ゲームで乗る

他の車種記事では、実車を1年維持した場合とGT7の機材を揃えた場合を並べています。
Z-tuneの場合、1つめの表は成立しません。買える車がないので、維持費を計算する前提そのものが立たないからです。

① 実車のZ-tuneを持つ場合に、何がかかるか

金額ではなく、必要になる条件のほうを並べます。

項目Z-tuneの場合
そもそも買えるか19台。一般の中古車市場には出てこない
取得のルート専門店・海外オークションなど、個別の交渉になる
取得価格確定した成約額として引用できる事例が無い
部品Z2エンジンは19基のみ。専用部品の供給は一般車と同じには考えられない
使い方資産として保管される個体が多いとみられ、日常的に走らせる前提は置きにくい

参考までに、ベースとなったBNR34そのものであれば中古市場に流通しており、そちらは維持費を計算できます。Z-tuneはその延長線上には置けない、というのがここでの結論です。

② GT7で味わう場合の機材コスト

構成内容目安
最小構成PS5本体+GT7ソフト約8万円〜
標準構成上記+ハンドルコントローラー(G29など)約12万円〜
本格構成上記+コックピット+6速シフター約20万円〜
没入構成上記+PSVR2約28万円〜

※金額は構成・時期・購入先によって変わります。目安としてご覧ください。

③ 結論

他の車種なら「実車の1年ぶんの維持費で、ゲームの機材が一式そろう」という比べ方ができます。
Z-tuneでは、その比較の前段にある「買えるかどうか」で結論が出てしまいます

ハマ学長ハマ学長
19台の車を、8万円の入口から動かせる。GT7という遊びの価値がいちばん分かりやすく出るのが、こういう車じゃな。本物を持てない代わりではなく、本物を持っておる人でもそう簡単には全開にできん車を、思いきり走らせられると考えるとよいぞ。
🚗実車に触れる

19台のうち1台に出会う機会はあるか

Z-tuneを実際に見る機会について、確認できた範囲で正直に書きます。

日産には、歴史的な車両を収蔵している施設があります。日産ヘリテージコレクション(神奈川県座間市)は約500台規模を収蔵する完全予約制の見学施設で、日産グローバル本社ギャラリーのヘリテージゾーンでも歴代の車が順次展示されています。

ただしZ-tuneがこれらの施設に収蔵・展示されているかどうかを明記した情報は、今回確認できませんでした。
座間は収蔵車種の詳細な一覧が公開されておらず、ニスモ本社のギャラリーについても常設展示を示す情報は見つかりませんでした。「見に行けば会える」とは書けない、というのが今回の結論です。

現実的に出会いやすいのは、ニスモが毎年開催しているNISMOフェスティバルのようなイベントです。Z-tuneの開発そのものがこのイベントから始まっていることもあり、歴代のコンプリートカーが集まる場になっています。開催の有無や内容は年によって変わるので、参加を考えるときは公式の告知を確認してください。

※展示内容・開催予定は変わります。訪問前に各施設・主催者の公式サイトでご確認ください。

🎁見て楽しむ

1/18で、Z-tuneシルバーを手元に置く

実車が19台となると、模型の意味合いが他の車とは変わってきます。写真より近くで見られる、事実上いちばん現実的な手段になるからです。

下のオートアート製1/18スケールは、専用色Z-tuneシルバーを再現した完成品モデルカーです。1/18というスケールは全長25cmほどになるため、片側15mmずつ広げられたブリスターフェンダーの張り出しや、CFRP製フロントバンパーの造形まで目で追えます。

ハマ学長ハマ学長
この商品はいくつかの店で扱われておるが、値段と在庫がずいぶん違うんじゃ。同じ品番77461でも、2026年9月10日に調べた時点で7万4,800円・お取寄せ扱いという店もあった。ここで案内しておるのは、その時点で在庫ありと表示されていて、しかも金額が下だった店のほうじゃ。買えるほうを選ぶのが筋じゃからのう。

※価格・在庫は時期によって変わります。最新の情報は各販売サイトでご確認ください。

📖読んで楽しむ

400RとR34の特集号を、電子版で読む

Z-tuneだけを扱った書籍やムックを楽天ブックスで探しましたが、2026年9月10日の時点で購入できるものは見つかりませんでした。ヒットしたGT-R関連のムックは、いずれも「ご注文できない商品」の表示でした。

そこで、この記事では現在も刊行が続いている専門誌のほうを案内します。「GT-R Magazine」は、ハコスカ・ケンメリからR32・R33・R34、そしてR35までを対象にした、GT-R専門の月刊誌です。

下の2026年9月号は、この記事と内容がよく重なる号です。目次には「生誕30周年を迎えた伝説のデモカー『NISMO 400R 再会』」と、「本誌ニュル号の4つのアイテムを刷新 R34の走りを変える新たなアプローチ」が並んでいます。
Z-tuneの直接の先輩である400Rと、ベースになったR34の両方が同じ号に載っているという、ちょうどよい1冊です。

ルーキールーキー
Z-tuneの本が無いのは残念ですけど、400RとR34が両方載ってるならむしろ嬉しいかも。

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FAQ

ニスモ R34 GT-R Z-tuneのよくある質問

Q. Z-tuneは何台つくられたのですか?19台と20台の情報があります。
A. どちらも出どころのある数字で、指しているものが違います。2004年12月のニスモ公式プレスリリースは「20台限定発売」と告知しており、これが発表時点の計画です。一方、ニスモ公式のヒストリーページは後年の振り返りとして「最終的に19台が生産された」と書いています。GT7の公式解説も「試作車を含めわずか19台のみ」としています。計画20台・実際19台、と2つセットで覚えるのが正確です。なお、なぜ1台減ったのかを説明した一次情報は確認できていません。

Q. Z-tuneのエンジンは、GT500のエンジンをそのまま積んでいるのですか?
A. そのままではありません。ニスモの公式解説では、2001年以降のGT500用エンジンで必要になった高剛性ブロックの「ノウハウを生かした」ブロックである、という書き方がされています。ただしクランクシャフトとコンロッド(長さ121.5mm・SNCM439材)については、GT500用と同型の実績品が使われたと明記されています。ターボもGT500車両やニュル24時間耐久仕様車と同系ですが、スペックは別です。

Q. ベース車は新車ではなく中古車だというのは本当ですか?
A. 本当です。Z-tuneの開発時点でBNR34の生産は終わっていたため、ニスモは走行距離3万km以下のBNR34 V-specを市場から買い戻し、ベースにしました。買い戻した車はストリップ状態まで分解され、補強と防錆処理を施したうえで組み立て直されています。この「3万km以下」という条件は、ニスモの公式ヒストリーページとプレスリリースの双方で一致しています。

Q. GT7のZ-tuneはいつ追加され、どこで買えますか?
A. 2025年7月24日配信のアップデート1.61で追加され、ブランドセントラルで購入できます。同じアップデートでホンダ N-ONE RS '22と日産 キャシュカイ Tekna 190 2wd e-Power '22も追加されました。GT7内のメーカー欄は日産ではなくニスモで、ニスモ枠にはこのZ-tuneとニスモ400R '95の2台だけが入っています。

Q. GT7のなかでZ-tuneはいちばん速いR34ですか?
A. いちばんPPが高いR34ではありません。GT7にはマインズ BNR34 GT-R N1 baseというチューニングカーが収録されており、こちらはPP631.92・630PS・車重1,350kgで、Z-tuneのPP575.47・500PS・1,600kgを上回ります。ただしマインズの1台はレース用のN1ベース車から仕立てた車です。Z-tuneは公道を走る条件を満たしたうえで500PSに届かせた車で、狙いが違います。

Q. 中古のZ-tuneはいくらぐらいですか?
A. 引用できる確定した成約額が見当たりません。2021年末に米国で引き渡された1台について「約198万5,000ドル」という金額が報じられましたが、この数字はのちに購入者本人が否定しています。また、国内の大手中古車検索サイトで「r34 z-tune」を検索してヒットする車を1台ずつ確認したところ、2026年9月10日時点ではすべてZ-tune用のエアロやホイールを後から装着した一般のBNR34などで、ニスモ製のコンプリートカーは含まれていませんでした。車名だけで判断しないことをおすすめします。

Q. Z-tuneとニスモ400Rは、どういう関係ですか?
A. どちらもニスモが作ったコンプリートカーで、GT7では同じ「ニスモ」のメーカー欄に並ぶ2台です。400Rは1995年にBCNR33 V-specをベースに99台限定で、Z-tuneは2004年にBNR34 V-specをベースに19台つくられました。エンジンはどちらもRB26を拡大したもので、排気量は2台とも2,771ccです。出力は400Rが400ps、Z-tuneが500ps以上で、10年ぶんの差が100psとして表れています。

Q. 実車のZ-tuneはどこかで見られますか?
A. 常設で見られる場所は確認できませんでした。日産ヘリテージコレクション(座間)や日産グローバル本社ギャラリーのヘリテージゾーンは実在しますが、Z-tuneがそこに収蔵・展示されていることを示す情報は今回見つかりませんでした。開発の出発点になったNISMOフェスティバルのようなイベントは、歴代のコンプリートカーが集まる機会になります。訪問前に主催者・施設の公式サイトで確認してください。

🏁まとめ

買い戻して、バラして、組み直した19台

ニスモ R34 GT-R Z-tuneは、ニスモ創立20周年を記念して作られたコンプリートカーです。
特別なのは出力でも価格でもなく、作り方でした。生産の終わったBNR34 V-specを走行3万km以下という条件で買い戻し、ストリップ状態まで分解し、補強したうえで組み直す。20台の計画で始まり、実際に世に出たのは19台でした。

エンジンのRB26DETT改 Z2は2,771ccで500ps以上。10年前のニスモ400Rも同じ2,771ccで400ps。ニスモが2度たどり着いた排気量が、そのまま2台のコンプリートカーの共通点になっています。

GT7では、PP575.47・500PS・1,600kgの4WDとして走ります。
入口では1,600kgぶん手前からブレーキを始め、出口では4WDの安定を使って早く踏む。この順番を守ると、この車はきれいにタイムが出ます。

そして、この車をいちばん強く感じられるのは、数字そのものではありません。
19台しか存在せず、中古車サイトで名前を探しても出てくるのは外観を似せた別の車ばかり。その1台が、GT7ではブランドセントラルの棚に並んでいて、いつでも買える。この落差ごと味わえるのが、Z-tuneという車のいちばん贅沢なところです。

🔗回遊

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