
ルノー メガーヌ R.S. トロフィーは、2011年6月17日にニュルブルクリンク北コースで8分07秒97を記録した、500台限定のホットハッチです。
当時の量産前輪駆動車の記録を塗り替えた1台で、ステアリングを握ったのはルノー・スポールの開発ドライバー、ロラン・ウルゴンでした。
2.0リッターターボの出力は265ps。いまの基準ではとくに大きな数字ではありません。
この車が語られ続けているのは、出力そのものではなく、その265psを前輪だけで路面に伝えて記録を出したという一点によります。
グランツーリスモ7には「メガーヌ R.S. Trophy '11」として収録されています。ブランドセントラルでCr.3,850,000。
この記事では、記録が出た日に何が起きたのか、265psがどこから来たのか、日本ではどう売られたのか、そしてGT7での走らせ方まで、順番に辿ります。
※収録内容はアップデートで変わることがあります。最新は公式サイトでご確認ください。
記録を出した車と、買えた車は1年ずれていた
メガーヌ R.S. トロフィーの話をややこしくしているのは、「トロフィー」という名前が、時期によって別の中身を指していることです。
2011年に記録を出した欧州の限定車、2012年から日本のカタログに載ったグレード、そして2014年と2019年に出た「トロフィーR」。名前は同じでも、それぞれ違う車です。
ここでは、まず2011年の1台に話を絞ります。
記録が出た日、その車に何が積まれていたのか、そして日本の読者がその中身を手に入れられるようになるまでに、どれだけの時間があったのかを順に見ていきます。
①|2011年6月17日、ニュルで何が起きたか
ルノー・スポールは2011年6月17日、ニュルブルクリンク北コースで8分07秒97を記録したと発表しました。
当時の量産前輪駆動車の記録としては、それまでのタイムを大きく更新する数字でした。
走らせたのはロラン・ウルゴン。ルノー・スポールの開発ドライバーで、この人はのちに2014年と2019年にも同じコースで記録を更新することになります。
ニュルのFF記録という枠は、実質的にこのドライバーが何度も塗り替えてきたものです。
記録に使われた車は、当時発表されたばかりのメガーヌ R.S. トロフィーでした。
標準のR.S.をベースに、過給圧を上げて出力を引き上げ、足まわりをサーキット寄りに振った仕様です。
②|ルノーが破ったのは、ルノーの記録だった
この記録で見落とされやすいのは、破られた側もルノーだったという点です。
それまでこの枠を持っていたのは、2008年のメガーヌ R26.R。8分17秒という数字で、2代目メガーヌのR.S.をベースにした軽量版でした。
R26.Rは、後席を外し、リアウィンドウを樹脂に替え、内装を削って軽さで攻めた車です。
対して2011年のトロフィーは、その方向を取っていません。標準のR.S.とほぼ同じ装備のまま、出力と足まわりで10秒短縮しています。
軽さで攻めた車の記録を、軽くしていない車が破った。
この3年でルノー・スポールが何を学んだのかが、いちばんはっきり出ている部分です。
③|265psは「圧力を0.2バール上げた」だけ
トロフィーの出力は265ps。標準のR.S.は250psなので、差は15psです。
この15psがどこから出てきたのかというと、ターボの過給圧を2.3バールから2.5バールへ引き上げたことによります。
排気量は1,998ccのまま。エンジンそのものを作り替えたわけではありません。
トルクは340Nm(34.7kgm)から360Nm(36.7kgm)へ増え、3,000〜5,000rpmという広い範囲で出続ける設定になりました。
エンジンの型式はF4R。ルノーが長く使ってきた2リッター4気筒で、クリオR.S.をはじめとするルノー・スポールの車に載ってきた基本設計です。
新しく作った特別なエンジンではなく、手の内にある素材の使い方を変えたというのがトロフィーの中身になります。
0-100km/hは6.1秒から6.0秒へ、最高速度は250km/hから254km/hへ。
数字の変化としてはわずかです。15psの上乗せがラップタイムに効いた分より、下で述べる足まわりの変更のほうが大きかったと考えるほうが自然な差になっています。
④|速さの本体は、足まわりのほうにあった
トロフィーにはカップシャシーが組み合わされます。サーキット寄りにセッティングされた足まわりで、標準のR.S.でもオプションとして選べたものです。
さらに機械式LSDが標準装備になりました。
前輪駆動で出力を上げると、決まって同じところで詰まります。コーナーの立ち上がりで、内側の前輪が空転するという現象です。
アクセルを開けても片方が空回りしてしまい、出力が路面に届きません。
LSDは、この空転する側にトルクを逃がさないための装置です。
265psという数字だけを見ると小さく思えますが、その265psを取りこぼさずに前輪へ渡せたことのほうが、8分07秒97という結果には効いています。
タイヤはブリヂストンのポテンザRE050A、ホイールは19インチ。
ブレーキ、ダンパー、デフ、タイヤ。速さを作った部品を並べると、エンジンより下まわりの比重が大きいことが分かります。
⑤|500台限定・35,500ユーロという売られ方
トロフィーは500台限定で、欧州主要国での受注が2011年6月20日に始まりました。
フランスでの価格は35,500ユーロ。当時のレートで約410万円にあたります。
外観では、黒いルーフ、専用のデカール、形状を変えたリアスポイラー、LEDのデイタイムランニングランプが与えられました。
内装にはレカロのバケットシートが入り、センターコンソールにはデータロガーが備わります。
データロガーというのは、走行中のラップタイムや加速度を記録する装置です。
これが最初から付いているという時点で、この車が想定していた使われ方が分かります。
⑤.5|R.S.だけが3ドアだった
見落とされやすいのですが、メガーヌIIIのR.S.は3ドアのクーペボディです。
標準のメガーヌIIIには5ドアハッチバックがありましたが、R.S.はクーペのほうだけに設定されました。
日本市場でも順番が独特でした。2010年12月に高性能版のR.S.(クーペ)が先に発売され、5ドアハッチバックのプレミアムラインとGTラインが並んだのは2011年5月です。
普通は量販グレードから入って高性能版が後から来ますが、この世代は逆になりました。
3ドアである意味は、見た目だけではありません。
後席ドアがないぶん車体の横方向のねじれに強く、足まわりを固めたときに車体側が負けにくくなります。カップシャシーのように固いセッティングを入れるなら、この差は効いてきます。
⑥|スペック(メガーヌ R.S. トロフィー)
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| ベース | 3代目メガーヌ(メガーヌIII)のR.S. |
| エンジン | 直列4気筒 1,998cc ターボ |
| 過給圧 | 2.3バール → 2.5バール |
| 最高出力 | 265ps/5,500rpm |
| 最大トルク | 360Nm(36.7kgm)/3,000rpm |
| 駆動方式 | FF(前輪駆動) |
| トランスミッション | 6速MT |
| 0-100km/h | 6.0秒 |
| 最高速度 | 254km/h |
| パワーウェイトレシオ | 5.09kg/ps |
| 車重 | 日本のカタログ値1,430kg/GT7の表記は1,387kg |
| タイヤ | ブリヂストン ポテンザ RE050A |
| ホイール | 19インチ |
| 生産 | 500台限定(2011年6月20日受注開始) |
| ニュルブルクリンク北コース | 8分07秒97(2011年6月17日) |
※車重は計測の基準が国と資料で違います。日本のカタログ値とGT7の表記に43kgの差があるのは、この基準の違いによるものです。
⑦|系譜|ニュルのFF記録は、どう動いてきたか
メガーヌの位置づけは、前後の記録と並べるといちばん分かりやすくなります。
| 年 | 車 | タイム |
|---|---|---|
| 2008 | ルノー メガーヌ R26.R | 8分17秒 |
| 2011 | ルノー メガーヌ R.S. トロフィー | 8分07秒97 |
| 2014 | ルノー メガーヌ 275 トロフィーR | 7分54秒36 |
| 2015 | ホンダ シビック タイプR(FK2) | 7分50秒63 |
| 2016 | VW ゴルフGTI クラブスポーツS | 7分47秒19 |
| 2017 | ホンダ シビック タイプR(FK8) | 7分43秒80 |
| 2019 | ルノー メガーヌ R.S. トロフィーR | 7分45秒39 |
※2017年以降は、計測に使う1周の距離(20.6kmと20.832km)が資料や年によって違い、数字を単純に並べて比べられない時期に入ります。上の表は同一の出典にまとめられた一覧の値をそのまま並べたものです。
この表で目を引くのは、2008年から2014年まで、3回続けてルノーが自分の記録を更新していることです。
ホンダとフォルクスワーゲンが入ってくるのは2015年から。それまでの6年間は、ルノー・スポールがひとりで数字を押し下げていました。
2011年のトロフィーは、その3連続の真ん中にあたります。
R26.Rの軽量路線から、出力と足まわりの路線へ切り替えた地点であり、2014年の7分54秒36につながる出発点でもあります。
⑧|なぜホットハッチがニュルの記録を狙ったのか
スーパーカーではなく、量販のハッチバックがニュルのタイムを競う。
これは一見すると回り道ですが、メーカー側には分かりやすい理由がありました。
ひとつは、前輪駆動という条件が縛りとして機能することです。
後輪駆動や4WDなら、出力を上げれば上げただけタイムに反映されます。前輪駆動はそうなりません。前輪が曲げる仕事と進む仕事を同時に抱えるため、どこかで頭打ちになります。だから記録を更新するには、出力以外の部分を作り込むしかありません。
もうひとつは、そこで作り込んだものが、そのまま量販車に降りてくることです。
足まわりの設計、デフの効かせ方、ブレーキの容量。これらは限定車のためだけの部品ではなく、翌年からカタログモデルに載る技術になります。実際、日本のメガーヌ R.S. は2012年にトロフィーの中身を受け取りました。
ホットハッチのニュル競争は、メーカーにとって「前輪駆動をどこまで良くできるか」を公開の場で試す実験でもありました。
ルノー、ホンダ、フォルクスワーゲンが10年以上この枠を奪い合ったのは、結果が自社の量販車にそのまま返ってきたからです。
日本のR.S.は、記録車の中身を1年後に受け取った
2011年6月のトロフィーは、欧州主要国での500台限定でした。
日本の読者がこの265ps仕様に触れられるようになったのは、そこから約1年後になります。
ルノー・ジャポンは2012年7月にメガーヌ R.S. をマイナーチェンジし、出力を250psから265psへ、トルクを340Nmから360Nmへ引き上げました。
ニュルで記録を出したトロフィーの仕様を、標準モデルが受け継いだ形です。価格は385万円。R.S.パックリュクスを付けると+64万円でした。
つまり日本では、限定車を買い逃したかどうかという話にならなかったことになります。
1年待てば、同じ中身がカタログモデルとして並んだからです。
日本仕様には、もうひとつ知っておきたい点があります。
本国には2種類のシャシーセッティングが用意されていましたが、日本に入ってきたのは固いほうのカップ仕様でした。前輪の空転を抑える機械式のデフも入っています。
つまり日本のメガーヌ R.S. は、記録車の出力と、記録車の足まわりの両方を持っていたことになります。
限定の500台と同じ内容が、カタログモデルとして買えたわけです。
なお、日本のカタログには「ルノー・スポール トロフィー」というグレード名も登場します。
ただし、この日本向けトロフィーの販売時期と価格は、資料によって食い違います。カーセンサーの車種カタログは2011年2月〜2012年11月・385万円と記載し、GAZOOの車種カタログは2012年7月〜2013年10月・408万円と記載しています。
数字が割れる理由は、日本市場では「標準のR.S.」と「トロフィーを名乗るグレード」が近い時期に並んでいたためだと考えられます。
中古で個体を見るときは、グレード名だけで判断せず、年式と出力の表記を実車の書類で確かめるのが確実です。
年式より、どの出力の個体かを見る
メガーヌIIIのR.S.は、2011年式と2013年式で出力が違います。
250psの時期と265psの時期があり、外観では見分けがつきにくいためです。
中古で探すときに、この車で先に見ておきたいのは次の点です。
- 出力が250psか265psか。2012年7月のマイナーチェンジが境になる。書類とエンジンの型式表記で確認する
- カップシャシーが入っているか。標準の足とは乗り味がはっきり違い、街乗り中心なら好みが分かれる
- 機械式LSDの有無。グレードと年式で装備が変わるため、現車で確認するのが早い
- クラッチとタイヤの残り。6速MTのみの設定で、走らせて楽しむ買われ方をしてきた個体が多い
- 整備をどこで受けてきたか。正規ディーラーの記録が残っている個体は、その後の部品調達がしやすい
台数がもともと多い車ではないため、条件をすべて満たす個体が常に市場にあるとは限りません。
金額を先に決めて探すより、出てきた個体を1台ずつ見て、上の5点でふるいにかけるほうが現実的です。
もうひとつ、この年代の輸入ホットハッチで見落とされやすいのが電装まわりです。
ドアミラーの格納、パワーウィンドウ、エアコンの吹き出し切り替えなど、走りに関係しない部分の不調は、試乗の短い時間では気づきにくくなります。現車確認のときに一通り動かしておくと安心です。
部品については、メガーヌIIIは欧州で数が出た車なので、足まわりや消耗品は比較的手に入りやすい部類に入ります。
手当てが要るのはR.S.専用部品のほうです。ブレーキやデフまわりは同じメガーヌでも標準車と共通ではないため、購入前に取り扱いのある店を確かめておくと後が楽になります。
※価格は個体の状態・仕様・時期によって大きく変わります。最新の実勢は各販売店の掲載情報でご確認ください。
グランツーリスモ7のメガーヌ R.S. Trophy
GT7には「メガーヌ R.S. Trophy '11」として収録されています。
ブランドセントラルで購入でき、レジェンドカーディーラーのように入れ替わりを待つ必要はありません。
| 項目 | GT7での表記 |
|---|---|
| 入手先 | ブランドセントラル |
| 価格 | Cr.3,850,000 |
| 最高出力 | 265PS/5,500rpm |
| 最大トルク | 36.7kgfm/3,000rpm |
| 排気量 | 1,998cc(ターボ) |
| 車重 | 1,387kg |
| 駆動方式 | FF |
| PP | 482.38 |
| 全長×全幅×全高 | 4,299×1,848×1,435mm |
Cr.3,850,000という価格が示していること
GT7でのこの車の価格はCr.3,850,000です。
そして日本で売られたメガーヌ R.S. の新車価格は385万円でした。桁までそろっています。
GT7のブランドセントラルは、収録された市販車をおおむね当時の実売価格に近い数字で並べています。
クリオR.S. 220トロフィーがCr.3,200,000であることを見ても、この車の3,850,000という数字が実車の値札を引き写したものだと分かります。
ホットハッチとしては安くない部類ですが、実車を買って維持することを考えれば桁が違います。
後半のコスパ比較で、その差を並べます。
PP482.38という置き場所
買ったそのままの状態でPPは482.38。
500PP以下のレースにそのまま持ち込める位置で、GT7のなかでは「まだ余裕のあるほう」の枠に入ります。
この枠は、前輪駆動の車が多く集まる場所でもあります。
同じくらいのPPには、シビック タイプR、ゴルフGTI、フォーカスST、インテグラ タイプRといった顔ぶれが並びます。実車の世界で記録を争ってきた相手と、ゲームの中でも同じ枠に入るという構図です。
どのコースで強みが出るか
前輪駆動でターボという組み合わせなので、得意な場所ははっきりしています。
- 中低速コーナーが連続するコース。前輪で引っぱる特性が生きる。鈴鹿の東コース区間やツクバのような場所
- 路面のミューが安定した舗装。前輪が仕事を2つ(曲げる・進む)抱えるため、グリップの変化に弱い
- 長いストレートが少ない構成。265psという数字そのものは大きくないので、直線勝負だと分が悪い
ニュルブルクリンク北コースは、この条件のうち1つ目と2つ目にきれいに当てはまります。
中低速のコーナーが延々と続き、路面も舗装が中心。実車がこのコースで記録を出せた理由は、コースの性格と車の性格が合っていたことにもあります。
逆に苦手なのは、低速コーナーからの立ち上がりが長いレイアウトです。
アクセルを早く開けると前輪が逃げるため、開ける位置を後ろにずらす分だけ時間を落とします。ここはLSDの効きと、開け方の練習でだいぶ変わる部分です。
チューニングをどう考えるか
この車は素の状態で完成度が高いので、いじる順番を間違えると遅くなります。
- まずタイヤ。PPの上がり方に対して、いちばん素直にタイムへ返ってくる
- 次にLSDとサスペンションのセッティング。前輪の空転を減らす方向へ振ると、立ち上がりで踏める位置が前に出る
- 出力アップは最後。前輪で伝えられる量には上限があり、上げすぎると空転が増えてかえって遅くなる
- 軽量化は効く。1,387kgはこのクラスでは軽いほうではないため、削った分がそのまま回頭性に出る
前輪駆動の車は、出力を上げるより、上げた出力を逃がさない方向へ手を入れたほうが速くなります。
実車のトロフィーが15psの上乗せよりLSDとカップシャシーで10秒を縮めたのと、同じ話です。
メガーヌと比べてみたい3台
同じPP帯で、性格の違いがはっきり出る3台を挙げます。
- シビック タイプR(FK2):2015年にニュルのFF記録をルノーから奪った車。同じターボFFでも、乗り味の作り方が違う
- ゴルフGTI:ホットハッチの原型。速さより扱いやすさに寄せた側の答えとして比較できる
- インテグラ タイプR(DC2):ターボもLSDの助けも借りずにFFの限界を攻めた車。時代の差がそのまま出る
走らせ方のコツ
メガーヌで最初に慣れたいのは、ブレーキを残したままハンドルを切り始める感覚です。
前輪駆動は、フロントに荷重が乗っているあいだのほうが素直に曲がります。ブレーキを完全に離してから切ると、外へふくらみます。
立ち上がりでは、ハンドルを戻しながらアクセルを増やすのが基本になります。
切ったままアクセルを開けると、前輪が2つの仕事を同時にできずに空転します。戻す量と踏む量を交換していくイメージです。
もうひとつ、ターボの過給が立ち上がる3,000rpmから上を外さないこと。
実車で「3,000〜5,000rpmで出続ける」と説明されているトルクの帯は、GT7でもそのまま使える範囲です。
8分07秒97を、自分で追いかけてみる
GT7にはニュルブルクリンク北コースが収録されています。
この車で記録が生まれた場所を、この車で走れるという組み合わせは、収録車のなかでもそう多くありません。
ただし最初から8分台を狙うのは現実的ではありません。
北コースは1周が20km以上あり、コーナーの数は170を超えます。まずは止まらずに1周回ることから始めるのが順当です。
- 1周目は完走が目標。ラインもタイムも気にせず、コースの並びを覚える
- 区間を切って練習する。カルーセルやフォックスホールなど、名前の付いた区間ごとに区切ると覚えやすい
- 下り区間でブレーキを早めに終わらせる。北コースは高低差が大きく、下りながらの制動で前輪の負担が跳ね上がる
- タイムは10秒単位で見る。1周が長いぶん、1コーナーの改善が数字に出るまで時間がかかる
実車の記録はプロの開発ドライバーが専用の準備をして出した数字です。同じ土俵で比べるものではありません。
それでも、同じ車で同じコースを走ってみると、8分07秒97という数字がどれくらいの走りだったのかは体で分かります。それがこの車をGT7で選ぶ理由になります。
前輪の逃げは、指先では拾いにくい
前輪駆動の車は、限界の手前で「曲がらなくなる」という形で合図を出します。
コントローラーのスティックだと、その合図が来てから戻すまでの間に、必要な操作量を通り過ぎてしまうことがあります。
ハンドルコントローラーなら、握った角度がそのまま車の向きになります。切りすぎた分を少しだけ戻すという操作ができるようになると、前輪が逃げはじめた場所で立て直せるようになります。
ペダルも同じで、踏む量を足で決められると、ブレーキを残しながら向きを変える走り方が組み立てやすくなります。
<まず必須>これがあれば、すぐにGT7で走り出せる
GT7を遊ぶ土台です。
PS5本体・GT7ソフト・ディスクドライブがあれば走り出せます。
さらにハンコンを足せば、"自分でハンドルを握る"運転体験に。
<あるとより実車に近づく>足すほど没入感が一段ずつ上がる
ここから先は"より実車に近づく"ための投資。
コックピットで姿勢が決まり、シフトで操作感が増し、VRで視界ごと没入できます。
※機材価格・在庫は時期・モデルによって変わります。最新の金額は各販売店でご確認ください。
🕹️ 機材GT7おすすめハンコン比較予算別に選び方をまとめています。実車を追いかける vs ゲームで乗る
① 実車のメガーヌ R.S. を維持する場合の年間目安
輸入ホットハッチを日本で維持すると、費目ごとにどうなるかを並べます。
車両の購入費は含まない、年間のランニングコストの目安です。
| 項目 | 年間の目安 |
|---|---|
| 自動車税(2.0L級・13年超は重課) | 約4〜5万円 |
| 任意保険(輸入スポーツ・車両保険込み) | 約8〜18万円 |
| 車検(2年分を1年換算) | 約6〜12万円 |
| 整備・部品(輸入車・専用部品あり) | 約10〜30万円 |
| 駐車場 | 約12〜30万円 |
| 燃料・タイヤ・消耗品(19インチ) | 約12〜25万円 |
| 年間合計(目安) | 約52〜120万円 |
この車で効いてくるのはタイヤ代です。
19インチで、しかも走らせて楽しむ性格の車なので、減りが早い個体では消耗品の比重が想定より上がります。
② GT7で味わう場合の機材コスト
| 機材 | 価格の目安 |
|---|---|
| PS5本体 | 約6.6〜8万円 |
| グランツーリスモ7(ソフト) | 約6,000〜9,000円 |
| 車両購入(Cr.3,850,000) | プレイ内で稼げば実質0円 |
| ハンドルコントローラー(エントリー) | 約2.5〜4万円 |
| レーシングコックピット(任意) | 約2〜5万円 |
| 一式(目安) | 初期 約9〜17万円+以降ほぼ0 |
一度そろえれば、あとは電気代くらいです。タイヤも減りませんし、駐車場も要りません。
③ 結論
- 実車:車両購入費 + 毎年およそ52〜120万円
- ゲーム:初期9〜17万円 + 以降ほぼ0(車両はCr.3,850,000でゲーム内入手)
メガーヌ R.S. トロフィーは、実車では年式と出力とグレードを見分けながら個体を探す車です。GT7なら、ブランドセントラルで買った瞬間から265psの状態で走れます。
もうひとつ、実車には「どの個体を買うか」という手間が乗ります。
250psか265psか、カップシャシーが入っているか、LSDが付いているか。この車は同じ名前で中身が分かれるため、探す時間そのものがコストになります。
GT7にはその手間がありません。ブランドセントラルに並んでいるのは265psの1種類だけで、買った瞬間から記録車と同じ仕様です。
個体差という概念がないのは、この車に限ってはかなり大きな利点になります。
しかもGT7には、この車が記録を出したニュルブルクリンク北コースがそのまま収録されています。
8分07秒97という数字を、自分の手で追いかけられるというのは、この車に限っては大きな意味を持ちます。
「GT7をきっかけに、軽くて速いスポーツカーに興味が出た」。そんな方こそ、いま乗っている愛車の"本当の価値"を知っておきませんか。中古車相場が動いている今は、手放す側にとっても追い風です。
※査定額・中古相場は車種・年式・走行距離・時期によって変動します。実際の金額は査定でご確認ください。
日本で現物を見られる場所
メガーヌIIIのR.S.は、限定車ではなくカタログモデルとして日本でも売られました。
そのため、現物に会える場は残っています。
- フランス車のミーティング:国内で開かれるフランス車の集まりに、R.S.系が並ぶことがある
- サーキットの走行会:もともとサーキット寄りの性格なので、走行枠に入っている確率は街より高い
- ルノーの正規ディーラー:中古車の取り扱いがある店舗なら、実車を見て座らせてもらえることがある
現物を前にして分かりやすいのは、フロントフェンダーの張り出しです。
標準のメガーヌより前トレッドが広げられており、写真では伝わりにくい部分になります。
見るときに確かめておきたいのは、3ドアであることと19インチのホイールの収まり方です。
写真だと5ドアのメガーヌと区別がつきにくいのですが、実車を横から見るとドアの枚数とサイドウィンドウの形がはっきり違います。
もし運転席に座らせてもらえる機会があれば、レカロのバケットシートの位置の低さを確かめてみてください。
標準のメガーヌとは着座位置が違い、この車が何を優先して作られたのかが座った瞬間に分かります。
※イベントの開催内容・出展車両は年により変わります。訪問・観覧前に各公式サイトでご確認ください。
手元に置いて楽しむ|メガーヌのモデルカー
メガーヌIIIのR.S. トロフィーそのものを再現した完成品モデルは、日本で流通している数が限られます。
そのかわり手に入りやすいのが、この車が破った側の記録を持っていたメガーヌ R26.Rのモデルです。
R26.Rは2008年に8分17秒を記録した2代目メガーヌのR.S.。後席を外して軽さで攻めた仕様で、リキッドイエローの車体色が特徴です。
下のモデルは2011年のトロフィーとは別の世代の車になります。棚に並べるときは、トロフィーが更新した相手として置く形になる点をご承知おきください。
1/43スケールでも、R26.Rの張り出したフェンダーと大きなリアスポイラーは残ります。
2008年の8分17秒と、2011年の8分07秒97。10秒の差がどんな形をしていたのかを思い出すきっかけとして、手元に置いてみてください。
メガーヌの位置を、ルノー全体のなかで確かめる本
メガーヌ R.S. トロフィー1台だけを扱った日本語の書籍は、ほとんど流通していません。
そのかわり、ルノーという会社の歩みをまとめた本を開くと、この車がどこに置かれた1台なのかが見えやすくなります。
ルノーは大衆車のメーカーであり、同時にF1のエンジンサプライヤーでもありました。
その両方を持つ会社が、なぜ量販ハッチバックでニュルのタイムを追いかけたのか。下の書籍はルノーの歴史をまとめたもので、メガーヌ R.S. の掲載を保証するものではありませんが、その背景をたどる下敷きとして使えます。
メガーヌ R.S. トロフィーのよくある質問
Q. メガーヌ R.S. トロフィーのニュルブルクリンクのタイムは?
A. 2011年6月17日に、北コースで8分07秒97を記録しました。走らせたのはルノー・スポールの開発ドライバー、ロラン・ウルゴンです。当時の量産前輪駆動車の記録としては、それまでの8分17秒を約10秒更新する数字でした。
Q. 標準のメガーヌ R.S. と何が違うのですか?
A. 3点です。ターボの過給圧を2.3バールから2.5バールへ上げて出力を250psから265psへ、トルクを340Nmから360Nmへ引き上げたこと。サーキット寄りのカップシャシーを組み合わせたこと。機械式LSDを標準装備にしたことです。エンジンの排気量は1,998ccのまま変わりません。
Q. 何台作られたのですか。価格はいくらでしたか?
A. 500台限定でした。欧州主要国での受注が2011年6月20日に始まり、フランスでの価格は35,500ユーロ、当時のレートで約410万円にあたります。
Q. 日本でも買えたのですか?
A. 2011年の500台限定車は欧州主要国向けでしたが、日本のメガーヌ R.S. は2012年7月のマイナーチェンジで、このトロフィーと同じ265ps・360Nmの仕様になりました。価格は385万円で、R.S.パックリュクスを付けると+64万円でした。日本のカタログには「ルノー・スポール トロフィー」というグレード名も登場しますが、その販売時期と価格は資料によって食い違います。
Q. トロフィーとトロフィーRは違う車ですか?
A. 違います。トロフィーRは、後席や内装を外して軽量化したさらに上の仕様です。2014年のメガーヌ275トロフィーRが7分54秒36、2019年の4代目メガーヌ R.S. トロフィーRが7分45秒39を記録しています。2011年のトロフィーは、軽量化ではなく出力と足まわりで記録を取りにいった車です。
Q. トルクが360Nmだったり340Nmだったりするのはなぜですか?
A. モデルが違うためです。標準のメガーヌ R.S. が340Nm(34.7kgm)、トロフィーが360Nm(36.7kgm)です。日本のカタログにも両方の数字が出てきますが、これは2012年7月のマイナーチェンジを境に標準モデルの数値が340Nmから360Nmへ変わったためで、同じ車の数字が揺れているわけではありません。
Q. 車重が1,430kgと1,387kgで違って見えるのはなぜですか?
A. 計測の基準が違うためです。1,430kgは日本のカタログに載る車両重量で、1,387kgはGT7の表記です。国や資料によって、燃料や装備をどこまで含めて量るかが異なるため、同じ車でも数十kgの差が出ます。
Q. GT7ではどこで買えますか。いくらですか?
A. ブランドセントラルで購入できます。価格はCr.3,850,000です。レジェンドカーディーラーのように入れ替わりを待つ必要はなく、いつでも買えます。この金額は、日本で売られたメガーヌ R.S. の新車価格385万円とそろっています。
Q. GT7では初心者でも扱えますか?
A. 扱いやすい部類です。前輪駆動なので、アクセルを開けすぎても後ろが流れて回るという壊れ方をしにくく、曲がらなくなるという分かりやすい形で限界を教えてくれます。慣れが要るのは立ち上がりで、ハンドルを戻しながらアクセルを増やしていく操作を覚えると、前輪の空転が減ってタイムが安定します。
Q. GT7でチューニングするなら何から手を付けるべきですか?
A. タイヤ、次にLSDとサスペンションのセッティング、出力アップは最後という順番が向いています。前輪駆動は前輪が曲げる仕事と進む仕事を同時に抱えるため、出力を上げすぎると空転が増えてかえって遅くなります。実車のトロフィーが15psの上乗せよりカップシャシーとLSDでタイムを縮めたのと、同じ考え方です。
15psではなく、逃がさなかったことが速さだった
- 2011年6月17日、ニュル北コースで8分07秒97。ロラン・ウルゴンのドライブで、当時の量産前輪駆動車の記録を更新した
- 破られた側もルノーだった。それまでの記録は2008年のメガーヌ R26.Rで8分17秒。3年で約10秒縮めた
- 265psは過給圧を0.2バール上げただけ。標準のR.S.との差は15psで、排気量は1,998ccのまま
- 速さの本体はカップシャシーと機械式LSD。前輪の空転を減らして、265psを取りこぼさずに路面へ渡した
- 500台限定・35,500ユーロ(当時約410万円)。2011年6月20日から欧州主要国で受注
- 日本のR.S.は1年後に同じ中身を受け取った。2012年7月のマイナーチェンジで265ps・360Nm・385万円
- GT7ではブランドセントラルでCr.3,850,000、PP482.38。日本での新車価格385万円と桁までそろっている
265psという数字だけを見れば、メガーヌ R.S. トロフィーは特別な車ではありません。
特別なのは、その265psを前輪だけで路面に渡しきったという一点です。
軽くして記録を取ったR26.Rを、軽くしていない車が10秒上回りました。
足したのは15psの出力と、カップシャシーと、機械式LSD。出力を増やすより、増やした出力を逃がさないほうが速いという答えを、この車は数字で残しています。
GT7には、この記録が生まれたニュルブルクリンク北コースがそのまま入っています。
ブランドセントラルでCr.3,850,000。8分07秒97という数字がどのくらいの走りだったのかは、1周してみるのがいちばん早い確かめ方です。








